(『原発のウソ』小出裕章著から抜粋)
青森県・六ヶ所村には、使用済み核燃料の再処理工場があります。
1997年12月に操業開始の予定でしたが、様々なトラブルが重なり、現在でも試運転中です。
それでも、すでに六ヶ所村には使用済み核燃料が3000トンも運び込まれています。
本格操業が始まったら、1年間に800トンの使用済み核燃料が各地の原発から運び込まれ、ウランとプルトニウムを取り出す事になります。
東日本大震災の時は、六ヶ所村でも外部電源がストップし、非常用電源を使いました。
その際、電源の1つでトラブルが起きています。
再処理工場での大きなトラブルは、「高レベルの放射性廃棄物」を処分するための「ガラス固体化の製造工程」で起きました。
日本は、再処理工場はフランスの技術を導入して建てました。
ガラス固体化の製造工程だけは、日本の技術にしたのですが、失敗してしまい、原爆3発分の放射性物質を出してしまう事故を起こしたのです。
これが、「世界一優秀」と放言する日本の原子力技術の実態です。
再処理工場の危険性は、群を抜くものです。
再処理工場ではプルトニウムを取り出しますが、放射能の量が段違いに多く、『原発1年分の放射能を、たった1日で出す』といいます。
再処理はもともと、『核兵器の製造』のために開発された軍事技術です。
日本はこの処理を、イギリスとフランスに依頼してきました。
イギリスのウィンズゲール再処理工場は、操業する中で120万キュリー(原爆400個分)のセシウム137を、アイリッシュ海に流してきました。
計画的に、セシウムを海に流してきて、アイリッシュ海の海産物は食べられないレベルに汚染されました。
日本は再処理を依頼してきたので、この汚染に加担しています。
原発はすべて、放射性物質を環境に捨てる場合、「濃度の規制」をうけます。
つまり、一定の濃度に薄めてからでないと、捨てられません。
ところが再処理工場は、この規制から除外されており、薄めずに放出できるのです。
六ヶ所村の再処理工場から放出される予定のトリチウム3は、1日あたり60テラベクレルです。
本来は60ベクレルに薄めなければなりませんが、そのためには毎日100万トンの水が必要で、それは不可能です。
だから、「そのまま海に流してよい」ことになっています。
トリチウムの他にも、クリプトン85、炭素14といった放射性物質が出ます。
それらも、たれ流しになります。
当初は、六ヶ所村・再処理工場は、「7600億円で建設できる」と発表されていました。
ところが次々と計画が変わり、すでに2兆円もつぎ込まれています。
2002年の試算では、総額で12兆円もかかります。
安全性から見ても、経済性から見ても、六ヶ所村・再処理工場は完全に放棄するのが良いです。