(『原発のウソ』小出裕章著から抜粋)
なぜ原発推進派は、嘘をついてまで推進しようとするのか。
それは、電力会社や三菱・日立・東芝といった大企業が、原発に群がって利益を得ているからです。
原子力産業は、「3兆円の産業」と呼ばれるほどに膨れ上がっています。
これは、原発に関係のない企業や人々にとっては、とても迷惑な事です。
なぜなら、原発の費用や利潤を出すためのお金が、電気料金に上乗せされるからです。
すでに多くの国が、「原発には将来性はない」と気づいています。
窮地に陥った世界の原子力産業は、アジアや中東に輸出する作戦に出ています。
日本でも、ベトナムやトルコに「官民一体」の売り込みをかけています。
しかし実は、日本は海外に売り出せるだけの原発技術を持っていません。
日本は、1945年に敗戦すると、占領軍に核技術の研究機関をすべて潰されました。
52年に「サンフランシスコ講和条約」に調印してからは、原発の開発は可能になりましたが、技術は周回遅れになっていました。
1966年の日本初の原発(東海原発)は、イギリスから技術を買ったものです。
現在の日本の原発技術は、アメリカから買ったものです。
ウェスティング・ハウス(WH)からは三菱が技術を買い、ジェネラル・エレクトリックからは東芝と日立が技術を買いました。
技術を買った日本企業は、三菱は1970年から毎年1基ずつ造ることにし、東芝と日立は1年交替で1基ずつ造ることにしました。
その結果、1990には合計40基の原発ができました。
アメリカの技術のコピーなので、トラブルが起きると自力では対処できません。
福島原発の事故対応で、それは明らかです。
日本で行き詰っている三菱・東芝・日立は、外国に原発を売りつけて利益を出そうとしています。
世界の趨勢は圧倒的に「加圧水型の原子炉」なので、東芝は2006年に、加圧水型の元祖であるWHを丸ごと買収しました。
6000億円超のお金を使ったそうです。
WHと提携していた三菱は、この買収に困り、ヨーロッパの加圧水型メーカーであるアレバと提携をしました。
日本は、『原子力の後進国』です。
「日本の原発は安全だ」とされてきましたが、ついに福島で史上最大級の事故を起こしました。