(『原発のウソ』小出裕章著から抜粋)
原発を即時ゼロにする事を提案すると、「代替案はあるのか?」との反論が必ず出ます。
しかし、「代替案がなければ止められない」というのは、沈没しかけた船に乗っているのに「代わりの船がないから逃げられない」と言っているようなものです。
命よりも電気を大事にする、誤った考え方です。
「原発を止めると電力不足になる」と言う人もいますが、全ての原発を止めた時に、『実は原発が無くても足りていた』と気づくでしょう。
東日本大震災の前は、総発電量のうち原発の比率は30%でした。
しかしこれは、火力発電所を休ませていたからです。
2005年の統計では、原発の利用率は70%、火力発電所は48%です。
全ての原発を止めても、火力発電所の利用率を70%に上げれば、間に合います。
まだ3割の余力があるほどです。
それだけ多くの火力発電所が、日本にはあるのです。
東日本大震災の後、電力不足になったのは、実は火力発電所が被害を受けたのが大きな理由です。
「電気使用のピーク時には足りなくなる」と言う人もいますが、これも嘘です。
ピーク時でも、水力発電と火力発電でまかなえる量より上になった事は、1990年代の一時期以降はありません。
しかも「ピーク時」とは、真夏の数日間の、さらに午後の数時間にすぎません。
その時間だけ、工場を休ませたり、クーラーの設定温度を変えればいいのです。
○村本尚立のコメント
小出さん達が主張していたこの説は、原発が全て停止している今でも電力不足になっていない事から、完全に証明されました。
原発については、「絶対に安全だ」「未来を開く技術だ」「原発がないと日本社会は成り立たない」「コストが安い」といった嘘が、長年にわたって信じられてきました。
(言い方を変えると、国民は洗脳されてきました)
改めて考えてみると、世間に出回っている常識の中には、実は間違っているものが相当にありそうです。
私たちは、もっと冷静に物事を見つめたり、きちんと情報を集めたり、常識を鵜呑みにしない事が必要ですね。
(2014.1.26)