フクシマ 最悪の事故の陰に潜む真実
仏独のドキュメンタリー番組 事故の経過と真相が分かる②

(以下は、TV番組『フクシマ 最悪の事故の陰に潜む真実』の紹介、その後半です)

福島第1原発の事故から1年経った。

2900万トンもの瓦礫を処理しなければならないが、計画は出来上がっていない。

放射能に汚染された瓦礫は、ただ無造作に積み上げられたままだ。

除染された家は、必要な家屋の10分の1に過ぎないと専門家は言う。

原子力ロビーは、早くからマスメディアと癒着してきた。

アメリカの大手メディアであるCBSやNBCは、GE社やウェスティングハウス社を通じて、日本の原子力産業と繋がっている。

CBSらは、事故について控え目のコメントしかしなかった。

アーノルド・ガンダーセン

「事故の2~3日後には、事故については最後にちょこっとしか報道しなくなりました。

原子力産業がニュースに干渉したからです。」

フリー・ジャーナリストである上杉隆は、事故の経過や政府と東電の情報操作を、探ろうとしてきた。

上杉隆

「日本の報道内容は、100点満点のうち1点もあげられません。

マスコミは、真実の隠蔽に貢献してきました。

3月18日だったと思いますが、政府の枝野幸男・官房長官は記者会見で、『フリーのジャーナリストの中に、放射能が検出されているというデマを流している者がいる。市民を不安に陥れているので、即刻やめてほしい。』と言いました。

私の事を指しているのは明らかでした。

そしてそのうち、TVでは『デマに注意しましょう』との宣伝が流れ始めました。

かつて原発会社がスポンサーをしていたTBSでは、私は仕事を失いました。

私がメルトダウンや放射能の拡散について東電に質問をしたところ、彼らはメディアに圧力をかけて、私を排除する動きが始まったのです。」

福島県の前知事である佐藤栄佐久は、プルトニウムが燃料に入ること(MOX燃料)に反対した人である。

佐藤は、汚職疑惑をでっち上げられて、辞職に追い込まれた。

佐藤栄佐久

「日本では情報が抑制され、政府・マスコミ・学界は原発の危険性を訴える人物を排除してきました。

これはファシズムであり、その状況がフクシマの事故を起こしたのです。」

サンフランシスコに住むケイ・スガオカは、長年GE社に勤め、1年に数回は福島原発を訪れていた。

ケイ・スガオカ

「私たちは点検・修理をしていましたが、専門は原子炉内の燃料棒の挿入箇所でした。

点検では、原子炉内の蒸気乾燥機の向きが180度、反対に付けられているのを発見しました。

他にも、配水管に15cmの亀裂も見つかりました。

これらを検査報告書に書こうとすると、責任者たちは止めようとしました。

彼らは、『向きが180度、反対だ』という箇所を削除しました。

その後に、東電とGE社と官庁の間で、報告について話し合われたはずです。

やっと2002年9月になってから、GE社の弁護士が、GE社が東電に何の抗議もしなかった事を認めました。」

スガオカはこの内部告発で有名になり、この情報により東電の持つ全原発が一時停止となり、社長や幹部は辞任となった。

2011年11月に、報道陣が福島第1原発へのバス視察を許可された。

線量計は毎時500マイクロシーベルトを測定し、記者たちはバスを離れる事は許されなかった。

フリー・ジャーナリストの鈴木智彦

「フリーのジャーナリストたちは、はっきりと差別されています。

あのバス視察でも、私たちは排除されました。

通常の記者会見には、フリー・ジャーナリストは入場が許されません。

入場が許される場合は、『質問をしてはいけない』と言われます。」

鈴木智彦は、福島原発に潜入取材をする事に成功した。

労働者として1ヶ月間、事故現場で働いたのである。

そして仕事の合間に、隠しカメラで撮影した。50時間の映像を撮った。

原発事故の後処理で働く労働者たちは、東電の下請け会社に雇われている。

このシステムにより、親会社(東電)は責任から逃れられるのだ。

ヤクザがこの雇用を仕切っているのは、誰もが知っている秘密である。

噂では、急性白血病の死亡者は、かなりいるという。

東電は、大量の汚染水の問題も抱えている。

原発サイトには、ぎっしりと貯水タンクが並んでいる。

鈴木智彦

「貯水タンクに繋がるホースは、簡単なプラスチック製です。

私は早くから『これが冬に凍結したら、ホースが破れて水が漏れる』と言っていたのですが、本当に漏れてしまいました。」

東電は、鈴木に対し「告訴する」と脅しつつ、取材した事を公開するのを禁じようとした。

鈴木

「東電は最初から、安全な設備など作っていません。

時間がかかりすぎるからです。」

野田佳彦・首相は2011年の末に、冷温停止(ステップ2の完了)を宣言した。

この陳腐なプロパガンダ用のトリックは、3号機の燃料プールに沈む瓦礫の山を見るだけでも、嘘だと分かる。

吉岡 斉

「冷温停止というのは、燃料棒が水中にあり、圧力容器内の温度が100度以下に保たれている状態です。

しかし1~3号機では、原子炉はすでに破壊されています。
温度が低く保たれているなら、上から水をかぶせ続けているだけです。

とても冷温停止とは言えません。」

クリストファー・バスビー

「日本の北部は、すべて失われてしまったと言っていい。

私は『早く避難しなさい』と勧めてきました。

これが私からの、心からの忠告です。」

アーノルド・ガンダーセン

「この原発事故では、10~20年後に人々はガンで亡くなります。

少なくとも100万人のガン患者が出るでしょう。

原子力産業は、この数字を公表したくないでしょう。

なぜなら、世界で原発が終わる事になるからです。」

(2014年4月17日~18日)


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