(『今さら聞けない肥料の話』農文協編から抜粋)
肥料は、土壌中の水に溶ける。
土壌は、実は「固体」「空気」「水」の3つで出来ていて、3割が水である。
畑において水は、「土壌団粒」に蓄えられる。
(※土壌団粒とは、土が小さなだんご状になったもので、良質の土によく見られるものである)
硫安を畑にまくと、土壌中の水に溶けたとたんにアンモニアと硫酸に分かれる。
そしてアンモニア(チッソ)は、水の中を漂って「土壌コロイド」にくっつく。
土壌コロイドとは、粘土と腐植から成り、土壌団粒の骨格である。
アンモニアが土壌コロイドにくっつくのは、アンモニアはプラスの電気を帯びていて、土はマイナスの電気を帯びているからだ。
一方、硫酸はマイナスの電気を帯びているため、土にくっつかない。
カリやマグネシウムやカルシウムも、水に溶けるとプラスの電気を帯びて、土にくっつく。
カリ、マグネシウム、カルシウム、アンモニアなどの、プラス・イオン(塩基類)が沢山ついた土は、アルカリ性になる。
アンモニアと分かれた硫酸は、マイナス・イオンなので、プラス・イオンのマグネシウムやカルシウムとくっつこうとする。
塩基類(プラス・イオン)が(硫酸などに)引っ張り出されて、代わりに水素イオンなどが土にくっつくと、土は酸性になる。
塩基類をどれだけ土にくっつけられるかが、保肥力となり、土中に粘土と腐植が多いほど高まる。
土壌団粒は、「硝化菌」の住みかにもなっていて、アンモニアは硝化菌によって硝酸に変わる。
硝酸はマイナス・イオンなので土にくっつかず、土中の水に流れ出しやすくなる。
植物の根は、硝酸やアンモニアなどを吸う。
根は水素(プラス・イオン)を放出して、代わりにプラス・イオンの肥料(アンモニアやカルシウムなど)を吸う。
吸うと塩基類が土中から減るので、酸性に傾く。
(2022年10月30~31日に作成)