肥料について⑤
成分の土中での動き

(『今さら聞けない肥料の話』農文協編から抜粋)

肥料は、土壌中の水に溶ける。

土壌は、実は「固体」「空気」「水」の3つで出来ていて、3割が水である。

畑において水は、「土壌団粒」に蓄えられる。

(※土壌団粒とは、土が小さなだんご状になったもので、良質の土によく見られるものである)

硫安を畑にまくと、土壌中の水に溶けたとたんにアンモニアと硫酸に分かれる。

そしてアンモニア(チッソ)は、水の中を漂って「土壌コロイド」にくっつく。

土壌コロイドとは、粘土と腐植から成り、土壌団粒の骨格である。

アンモニアが土壌コロイドにくっつくのは、アンモニアはプラスの電気を帯びていて、土はマイナスの電気を帯びているからだ。

一方、硫酸はマイナスの電気を帯びているため、土にくっつかない。

カリやマグネシウムやカルシウムも、水に溶けるとプラスの電気を帯びて、土にくっつく。

カリ、マグネシウム、カルシウム、アンモニアなどの、プラス・イオン(塩基類)が沢山ついた土は、アルカリ性になる。

アンモニアと分かれた硫酸は、マイナス・イオンなので、プラス・イオンのマグネシウムやカルシウムとくっつこうとする。

塩基類(プラス・イオン)が(硫酸などに)引っ張り出されて、代わりに水素イオンなどが土にくっつくと、土は酸性になる。

塩基類をどれだけ土にくっつけられるかが、保肥力となり、土中に粘土と腐植が多いほど高まる。

土壌団粒は、「硝化菌」の住みかにもなっていて、アンモニアは硝化菌によって硝酸に変わる。

硝酸はマイナス・イオンなので土にくっつかず、土中の水に流れ出しやすくなる。

植物の根は、硝酸やアンモニアなどを吸う。

根は水素(プラス・イオン)を放出して、代わりにプラス・イオンの肥料(アンモニアやカルシウムなど)を吸う。

吸うと塩基類が土中から減るので、酸性に傾く。

(2022年10月30~31日に作成)


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