7月6日に、「石丸幹二コンサート・2013」を観てきました。
正直な話、石丸さんについては一度も舞台を見たことはなく、全く興味はなかったのですが、花總まりさんがゲスト出演するというので、観に行きました。
先日に観た、まりさんの出演する「ブロードウェイ・ミュージカルライブ2013」が、楽しめない内容だったので、同じ会場(東京国際フォーラムC)だった事もあり、家を出る時には「何か行く気が起きないなあ、さぼっちゃおうかなあ」と、ちらっと思ってしまいました。
「いかん! せっかく行くんだから、楽しまなければ。心を楽にするんだ! リラック~ス」と思って、自分を盛り上げつつ有楽町に向かいました。
順調に有楽町駅に着き、そのまま歩いて会場入り。
先日の「ブロードウェイ・ミュージカルライブ2013」では3階席でしたが、今回は2階席です。
席が10列目なので、「何だよ、まりさんのブログでチケットを取ったのに、前回は3階席で今回も良くない席なのかよ」と、少々やさぐれていました。
でも、行ってみたら最前列でした!
2階席は、1~9列目は左右のサイド席しかないのです。
中央部分は、10列目が最前列でした。
ありがとう、まりさん&スタッフさん。
かなり機嫌が良くなった私は、入場したのが20分前だった事もあり、余裕をこいて自席で開演を待っていました。
すると、隣の方が「まりさんのファンなのですか?」と声をかけてきました。
私が男なので、まりさんのファンだとにらんだのでした。
(このコンサートに来たほとんどは、石丸ファンの女性です)
私は、「はい、そうなんです。あなたも、まりさんのファンなんですか?」と答えました。
時間があったので、その方と雑談をしました。
40~50代の女性で、宝塚の熱心なファンです。
娘さんと2人で観に来ていて、娘さんは隣に(私の2つ隣に)座っていました。
しばらく話していき、良い席のチケットの入手方法にも話題が及びました。
そこで私は、「なかなか1階席で見られない」と愚痴をこぼしました。
すると、その方の娘さんから「良い席を取りたいなら、まりさんのファン・クラブに入らないとだめですよ。」と諭されました。
分かってはいるのですが…。
正直な話、まりさんが宝塚に在団していた時には、ファン・クラブに入っていたんですよ。
そして、『お茶会』という、まりさんとファンが交流するイベントにも参加しました。
私は、ファン特有の、「まりちゃん、キャー」の歓声とか、「目をキラキラさせて過ごす」とか「まりさんと握手して、感動する」という世界に、どうも馴染めないのです。
お茶会の何とも説明し難い、独特の雰囲気には、私はついていけませんでした。
すご~く肩身がせまい感じで、借りてきた猫の心情、になってしまうのです。
もう一度、ああいった世界に加わっていくのは、心情として無理です。
ただし、まりさんは現在は宝塚を退団しているし、新たなファン・クラブを立ち上げたばかりです。
その活動は、かつてと違った内容になるのかもしれません。
少し様子を見ようと思っています。
あとは、まりさんとは役者とファンとしてではなく、「一人の人間同士として素直に接したい」という気持ちがあります。
具体的に言うと、恋人か夫婦か親友として、接していきたいのです。
一人の人間同士といっても、単なる友達はきついな。それは無理です。
私は、「ファンとして応援するなら、私よりも向いている人が沢山いるじゃないですか」と思っています。
私はお金持ちではないし、性格が冷静なタイプなので、チケットの大人買いや、追っかけや、入り待ち出待ちや、グッズの大量購入やらは、出来ません。
熱狂度としては、2流3流だと自覚しているし、1流の熱狂度になれるほど盲目的な性格ではないです。
……何だか、コンサートから、もろに話が脱線していますね。
話を戻しましょう。
今公演については、まりさんのブログにある直近の読者コメントで、情報を得ていました。
それを読むことで、まりさんはデュエットで3曲、ソロで1曲歌うと、知っていました。
総数で4曲だし、開演してからもすぐには出てこないと予想していました。
だから、「ブー」と開演のブザーが鳴っても、「まりさんはまだだろ、石丸幹二ってどうなの?聴けるレベルで歌えるのかなー」みたいな、楽~な気持ちでいました。
で、石丸さんが出てきて、歌い始めたのですが、随分と緊張していましたよ。
リズムが固くて、小粋な歌なのに、その良さが出ていませんでした。
「まだ最初の曲だからなー。コンサートの最初は、調子が出ないのが普通だからなー。」と思いながら、聴きました。
コンサートが始まってまず感じたのは、「バック・ミュージシャンの質が、かなり良い事」でした。
先日の「ブロードウェイ・ミュージカルライブ2013」では、バック・ミュージシャンのテンションの低さにがっかりしたので、「おおっ、今回は大丈夫そうだな」と、まず安心しました。
具体的に言うと、ドラムの藤井摂さんが、特に良かったです。
リズムに、まろやかさがありました。
ついでなんで、先にバック・ミュージシャンの評価を書いちゃおうかな。
バンマスでピアノとアレンジを担当した奥山勝さんは、なかなかのプレイを見せており、アレンジは素敵でした。
聴き易いアレンジで、好感が持てました。
サックス&フルートの藤田明夫さんは、おそらくサックスが本職だと思うのですが、フルートの方がはるかに良かったです。
フルートは素敵でした。サックスは、アドリブ・メロディに魅力が無かったです。
ベースの澤田将弘さんは、もうひとつでした。
音に重みがないんですよねー。リズムもずれている時があったし。
真面目すぎる音でした。
シンセサイザーの奥山真理さんは、リズムがもうひとつでした。リズムを向上させて下さい。
…書いてみると、あまり高い評価になっていない人もいますね。
こうやって見ると、私は芸術については辛口ですね。
今回のバック・ミュージシャン達は、全員が一体となっていました。
それが、重要なんです。
一体感があったから、1人1人で見ると課題点があっても、トータルではかなり良かったです。
石丸さんに話を戻すと、2曲目からは安定した歌声を披露していました。
彼は、声の質が良いです。
あと、音の強弱の付け方もいいです。
よくなかったのは、「フレージング」でした。
節回しがおかしいんですよねー。
「なぜ、そのタイミングでフレーズを始めるんだ」と、しょっちゅう思いました。
歌い始めや、音の伸ばし方が、スウィングしないやり方なんですよ。
そこが改善されたら(フレージングをもっと勉強したら)、2倍の聴き心地になります。
私は、断言します。
いよいよ、花總まりさんについて書きます。
まりさんは、第1部では「私が踊る時」と「私だけに」を歌いました。
どちらも、ミュージカル「エリザベート」からの選曲です。
まりさんの性格をけっこう知っている私は、今回はゲストとして参加しているので、遠慮がちに登場してくるのかと思っていました。
しかし予想に反して、堂々と「主役、現わる」みたいな空気で出てきましたねー。
どうも最近のまりさんは、以前よりも女優としての自分にだいぶ自信を持ってきているようです。
とっても良い事だと思います。
石丸さんは優しい性格なので、まりさんの登場によって完全に主役を持っていかれても、愛情を持って受け入れていました。
ナイスな仕事っぷりです。私は好感を持ちました。
『私が踊る時』は、デュエットで歌ったのですが、私の知っている「宝塚ヴァージョン」と違い、「東宝ヴァージョン」でした。
アレンジが異なるのですが、「東宝ヴァージョン」の方がはるかにステキなアレンジですね。
「宝塚ヴァージョン」の、3倍は良いです。
聴きながら、「この曲は、こんなに良い曲だったのかー!」と驚きました。
2人の掛け合いは、すばらしかったです。
石丸さんは、押されていましたが。
『私だけに』は、まりさんはソロで歌いました。
この曲は、エリザベートの中でも名曲であり、しばらく前の「エリザベート・ガラコンサート」でもまりさんは歌っていました。
宝塚の宙組時代にも、彼女はエリザベートを演じているので、彼女が歌う『私だけに』は、生で聴いたのは通算で今回が5回目です。
何度も聴いてきたわけですが、今回はとにかく素晴らしいクオリティで、私は圧倒されました。
表現している内容の深さ、声音の魅力、曲を通しての展開の妙、声の迫力など、すべてが最高でした。
聴きながら思ったのですが、私が生で聴いた歌声の中では、今まで人生で聴いた中でベストでした。
これ以上の歌声は、レコードで聴く、音楽史に残るミュージシャンたち(ジョン・レノン、ジョアン・ジルベルト、ルイ・アームストロング、スティービー・ワンダーなどなど)しか、知らないです。
私は、心底から感動しました。
この歌は、このコンサートのハイライトでした。
まりさんは、1年ほど前に事務所を移籍して、本格的に女優業に復帰したのですが、だいぶ声量や声質が復活してきていますね。
そして表現力は、宝塚時代の比ではないです。
バック・ミュージシャン達は、良い演奏をしていたのですが、まりさんが凄すぎたので釣り合いがとれず、スカスカの音に聴こえました。
あの状態のまりさんに付いていくのは、日本のミュージシャンでは無理かもしれません。
1部が終わった時点で、「このコンサートは、良いじゃないか」と思いました。
石丸さんの選曲が良いんですよ。
彼は、愛を表現する歌詞を、意識的に選んでいました。
『愛の歌を集めて歌う』というコンセプトでコンサートを演出したそうですが、とても良かったです。
明るく温かいコンサートになっていた。
愛に生きる私には、とても相性のいい構成です。
第2部(後半)になると、石丸さんの力量も分かったので、私はリラックスして聴きました。
彼は、性格が良いですね。陽性で陰のない性格をしています。
歌やトークに、それが露骨に表現されていました。
まりさんは途中で出てきて、デュエットで2曲を歌いました。
残念ながら、1部ほどの感動はなかったです。
なぜなのか考えたのですが、2部で歌った曲は、「2人の愛」を表現するものだったのです。
1部のような「2人がライバルとして競争する」というコンセプトじゃなかったのが、影響していた気がします。
2人の関係は、ライバル的なものの方が、合っている気がしました。
2人は、合間にトークも披露したのですが、まりさんの如才ないやりとりに、私はびっくりしました。
「そういうの出来る人じゃなかったのになー」と思いましたね。
昨年5月にも、まりさんはコンサートにゲスト参加する仕事をしましたが、その時は「こういうのは慣れていないよー」というのが、態度に出ていました。
1年の間に、進歩しましたよ。
不器用なまりさんが好きな私は、少し寂しい感情も覚えました。
最後のアンコール曲では、まりさんも舞台袖から出てきて、激しく踊りながら大きな身振りで手を叩き、お客に手拍子を要求していました。
テンションが高くなっていて、彼女の手拍子のリズムは思いっきりずれていました。
リズム感の素晴らしい人なので、レアな光景です。微笑ましかったです。
そんな弾けるまりさんを見る日が来るとは、思わなかった。
あの花總まりが、コンサートのアンコールで、全身で踊りつつ手拍子を求めるなんて。
それも、他人が主役のコンサートで。
「まりさん、ドリカムのボーカルみたいだよ。貴方は、そんな世界も内包していましたか。」と感慨ひとしおでした。
長生きはするもんですねー。
まだそんな年齢ではありませんが、そんな心境です。
まあでも、もし私が歌手で、まりさんがゲスト参加したら、「恐れ多いので、アンコールで派手に手拍子を要求するのは、私にまかせて下さい。まりさんはお休みをするか、舞台中央で優雅にしていて下さればそれでOKです。」と言いますね。
というか、ゲスト参加の話があった時点で、「いやー、彼女は凄すぎるでしょ。共演する勇気ないなー、オレ」とか、へたれ発言をしてしまう気がします。
もし共演が決まったら、スーパー緊張して目すら合わせられず、緊張が解けたら解けたで、歌をそっちのけで口説きモードに入りますねー。
だめだめですね、私は。
まあ正直な話をすると、いったん仕事モードに入ったら完全に私情は忘れて、最高のステージになるように努力する可能性が99%ですけど。
本質的にスーパー真面目だし、手を抜けないタイプなので。
ただし、あまりに彼女を好きなので、私情に走る可能性は1%ほどは捨てきれません。
…また脱線してしまいました。
話を戻すと、今回のコンサートを観て、「まりさんは、自分のコンサートを開いても、充分にこなせるなあ。歌だけじゃなく、トークもきちんとこなせそうだし。」と思いました。
まりさんのコンサートが行われたら、観に行きます。
でも、ディナー・ショーだと高いから、迷ってしまうなあ。
ディナー・ショーだけは、やめてほしい。あれは金額設定がおかしいと思う。
普通のコンサート、席は全席自由席、会場規模は収容人数500人まで。
条件は、これがベストです。
会場が、私の住む小田原とか湘南あたりだったら、感動で涙を流します。
最後になりますが、ここまでの全文を読み返していて気付いたことがあります。
それは、『花總ラヴ』の濃さ。
文中で「熱狂度では1流になれない」と書きましたが、他人からみたら『超1流クラスの熱中度』に見えるのかな…。
でも、まりさんを愛しているし、応援しているけど、グッズが欲しいとかサイン会に行きたいとかは無いんだよなー。
ファン・クラブに入って、会報を読むとか会員と交流する等をしたいとも、全く思わないです。
私は変なのだろうか。分からない。
まあ、人と違おうが、人がどう思おうが、全く気にならないけどさー。