「アート・テイタム~ベン・ウェブスター」のおまけ記事として、同アルバム収録の「My Ideal」のコード進行を紹介します。
この曲は素晴らしいコード進行をしていて、演奏も最高なので、この記事のためにコードをギターで採った後、演奏に合わせて4ビート・バッキングで弾いてコード確認していたら、とても幸せな気分になれました。
気持ち良い響きと進行をしている曲ですねー。
イントロ
|E♭M7 A♭7 |B♭ Dm7G7|C7 F7 |B♭ F7 |
A
|B♭ G7(9) |Cm7 |A♭7 G7 |C7(9) |
|Cm7(9) F7 |Cm7(11) F7(13)F♯dim|Gm7 C7 |F♯7 F7 |
B
|B♭ G7(9) |Cm7 |A♭7 G7 |C7(9) |
|E♭M7 A♭7 |B♭ Dm7G7|C7 F7 |B♭ Cm7 F7|
〇コード進行の解説
イントロは、Bの後半の進行を使っていて、メロディもほとんど借用してます。
このやり方は、演奏技術がないと最初にネタばれしちゃった的なダサいイントロになってしまうのですが、テイタムの手にかかると極上の一品になりますねー。
Aの1小節目のG7(Ⅵ7)は、普通だとオルタード・テンション・ノート(♭9や♯9など)を使う事が多いのですが、ここではナチュラル・テンション(♮9)を用いてます。
それにより、温かい雰囲気になっている。
3小節目は、G7(Ⅵ7)に半音上のA♭7からアプローチする動きになってます。
この動きの後に、4小節目でC7(9)(Ⅱ7)に行く。
ここの響きが、好きなんですよ。
優しい感じと、やや田舎臭いあか抜けない感じがあって、味わいがある。
6小節目は、Ⅱm7ーⅤ7-♯Ⅴdimという動きです。
Ⅴ7からⅥmに進む時に、♯Ⅴdimを経由してベースノートを半音上昇の動きにするアレンジがあります。
8小節目は、普通だとⅡm7ーⅤ7(Cm7ーF7)にしますが、ここでは♯Ⅴ7-Ⅴ7になっています。
こうする事でマイナーコードを無くして、温かみと明るさを出しています。
Bは、1~4小節目はAと同じです。
5小節目ではやや唐突にⅣM7に進み、♭Ⅶ7を経由して6小節目でⅠに解決する。
エンディングはシンプルに終わりますが、最後のコードはB♭M7になります。
この曲はずっとトニック・コードがM7の入らない響きなのですが、最後だけB♭M7にすることで、全てが解決されたという爽やかな開放感を生み出してます。
(2017年6月17日に作成)