おまけとして、「I Remember You」と「Now's The Time」のコード進行を紹介いたします。
前者はスタンダード曲、後者はメジャー・ブルースです。
前者は、とても難しいコード進行をしています。演奏するには勇気のいる曲ですねー。
おしゃれな進行をしているので、上手く演奏できれば、自然にカッコイイものに仕上がるはずです。
イントロ
|FM7(9) |B♭m7 |Am7 D7 |Gm7 C7 |
A
|FM7 |Bm7-5 E7 |Am7 |Cm7 F7 |
|B♭M7 |B♭m7 |Am7 D7 |Gm7 C7 |
A'
|FM7 |Bm7-5 E7 |Am7 |Cm7 F7 |
|B♭M7 |B♭m7 (E♭7) |FM7 |Cm7 F7 |
B
|B♭M7 |Em7 A7 |DM7 |Em7 A7 |
|DM7 |Dm7 G7 |CM7 |Gm7 C7 |
C
|FM7 |Bm7-5 E7 |Am7 |Cm7 F7 |
|B♭M7 |B♭m7 |Am7 |D7 |
(A♭m7)
|Gm7 |C7 |FM7 |Gm7 C7 |
○ コード進行の解説
この曲は、とても難しいコード進行をしており、転調が多くあります。
天才でない人は、練習を経ないと、いい演奏は出来ないでしょう。
まずAですが、2小節目で早くも転調します。
2~3小節目は、Amキーに転調です。
4小節目で、今度はB♭キーに一時転調します。
5小節目で、元のFキーに戻ります。
5小節目のB♭M7は、FキーのⅣM7と考えた方がいいです。
そこからは、ⅣM - Ⅳm ー Ⅲ - Ⅵ - Ⅱ - Ⅴ と進みます。
A'は、Aの最後だけを少し変えたものです。
最後のCm7ー F7は、B♭キーに転調するためのⅡ-Ⅴです。
B、これが難関なんです。
最初はB♭キーですが、2小節目で唐突にDキーに転調します。
ここの所が、滅多にないくらいに唐突な(強引な)転調なので、少しでも油断するとミスしてしまいます。
サビの2小節目で遠隔調に転調するなんて、ほんと珍しいです。
パーカーも、アドリブの1コーラス目では、1小節目で、一瞬ですが音を外しています。
次に難しい転調が待っているので、焦りが生まれて、一瞬とはいえキーを見失ったのでしょう。
6~7小節目ではCキーに転調し、8小節目で元のFキーに戻ります。
Cは、Aの変形です。ここだけ12小節になっています。
「Aの後半部分を引き伸ばして、トニック・コードへの解決も入れ、4小節増やした」、という感じの構造になっています。
8小節目は(A♭m7)も書いてますが、これはアル・ヘイグがアドリブ・ソロの時にこっちで弾いているので、いちおう書いたものです。
イントロ
|F(9) |G7 |Gm7 |C7 |
テーマ
|F7 |B♭7 |F7 |F7 |
|B♭7 |B♭7 |F7 |F7 |
(Am7 A♭m7 )
(FM7 Am7 A♭m7 )
|Gm7 |C7 |F7 |C7 |
(FかFM7 Gm7 C7 )
○ コード進行の解説
まずテーマのコード進行ですが、よくある進行で特に問題ないでしょう。
パーカーはテーマを2回くり返してからアドリブに入りますが、『1回目のテーマの12小節目』では、Bの音(シの音)を「ブー」と少し濁ったトーンで長く出します。
かなり印象的な音ですが、これは12小節目のコードであるC7からするとM7の音になり、すごく不自然な音(使ってはいけない音)なのです。
でも、聴くとそれほど変ではありません。
これを正しい音として解釈するには、12小節目をG7-C7の進行として捉えればいいです。
G7(Ⅱ7)を想定すれば、B音はG7の3度となり、コード構成音の1つになります。
次にアドリブの解説に入りますが、1つ大事なことがあります。
この曲では、テーマ時とアドリブ時では、コード進行が違います。
アドリブに入ると、( )内の進行を使用します。
7~8小節目は( )が2つありますが、基本は上の( )の進行になります。
パーカーは2コーラス目には下の( )の進行で演奏しています。
おまけ的に、両方を書いておきました。
11小節目は、普通のブルース曲だとF7になりますが、アドリブ時はFかFM7にした方がいいです。
というのも、ここに至るまでにⅢm7ー♭Ⅲm7ーⅡm7ーⅤ7と進行しているので、ⅠではM7の音を使うほうが自然な響きになるからです。
パーカーも、ここではM7の音を多用しています。
(2014年1月27日に作成)