「ソニー・ロリンズ Vol.2」おまけ②
「You Stepped Out Of A Dream」「Poor Butterfly」のコード進行

「ソニー・ロリンズ Vol.2」のおまけ記事②として、「You Stepped Out Of A Dream」と「Poor Butterfly」のコード進行を紹介します。

前者は、「アップ・テンポの曲なので、そんなに難しい進行ではないだろう」と思っていましたが、コピーしてみたらびっくり! 
とても変わっている、難しい進行でした。

1950年代頃のジャズ・レジェンド達は、実力が超人のレベルに到達してますね。

You Stepped Out Of A Dreamのコード進行を調べて、CDに合わせて一緒に演奏していると、「なんでこのややこしい進行の曲を、これだけ早いテンポで、こうもコードにきちんと則りつつ自由自在に演奏できるの? 妖怪みたいだな……」と驚愕します。

コード進行を分かった上でYou Stepped Out Of A Dreamを聴くと、「凄い演奏すぎて、気持ち悪い」と感じ始めました。

「You Stepped Out Of A Dream」 キーはC  形式はAB

 イントロ

|C(9)      |D(9)      |C(9)      |B(9)     |

|A♭(9)     |Dm7  G7(♭9)|Em7  A7(♭9)|A(♭9)G7(♭9)|

 A

|CM7       |CM7        |DM7       |DM7      |

|E7       |E7        |AM7       |AM7      |

|Gm7        |C7        |FM7       |FM7      |

|Fm7        |B7        |Em7       |Dm7   G7   |

 B

|CM7       |CM7        |DM7       |DM7      |

|E7       |E7        |F7       |F7        |

|Bm7(9)    |Am7   D7   |GM7       |GM7     |

|Dm7       |G7         |CM7  (A7)  |Dm7   G7  |

○ コード進行の解説

Aの前半部分は、CM7ーDM7と進むのが、まず変わっています。

これは、半音上のキーへの転調です。

5小節目からは、Aキーに転調します。

9小節目では、今度はFキーに転調します。(下属調への転調)

13~14小節目は、元のCキーに戻って、ⅣmーⅦ7の進行になります。

その後は、普通はⅠM7かⅢm7に行くのですが、意表をついてEm7(Ⅲm7)にいくのです。
これはトラップですよ。注意しないと間違えてしまう箇所ですねー。

Bは、7小節目からBmキーに入ります。

7は、Ⅴ7です。Ⅴ7ーⅤ7-Ⅰm7と進行します。

10小節目からは、Gキーに転調します。(属調への転調)

そして、13小節目で元のCキーに戻ります。

「Poor Butterfly」  キーはA  形式はAB

 A

|Bm BmM7  |Bm7 E7 |AM7(9)    |AM7(9)    |
                   (AM7 Bm7 Cm7 Bm7 AM7)

|Ddim       |Ddim      |Cm  CmM7   |Cm7 F7   |

|B7        |Bm7  E7 |AM7     |Fm7       |
                            (Fm7  Fm7 B7)

|B7       |B7        |Bm7      |E7      |
(Fm7 B7  B7        Bm7 F7(♯9)m7  F7 )

 B

|Bm  BmM7  |Bm7 E7  |AM7(9)    |AM7(9)    |
                    (AM7 Bm7 Cm7 Bm7 AM7)

|Ddim       |Ddim       |Cm  CmM7    |Cm7  F7   |

|DM7      |Dm7 G7  |AM7      |Fm7  B7   |
                    (AM7 Bm7 Cm7  F7  )

|Bm7       |E7       |AM7 G7  |Cm7  F7(♭9) |
(Bm7      Bm7 E7  AM7      Cm7  F7(♭9)

 エンディング  (Bの13小節目から)

|Bm7       |E7       |BM7   AM7   |AM7     |

○ コード進行の解説

Aの1~2小節目は、クリシェ進行と呼ばれるものです。
声部の1つが、半音で下降していきます。

3~4小節目は、下にもコード進行がありますが、これはロリンズがテーマを吹いている時に、ホレス・シルバーがバッキングで使っているコード・ワークです。

ダイアトニック・コードの中を動くアレンジ手法で、バッキングの定番の1つです。

5~6小節目は、Ⅲdimです。

7~8小節目では、またクリシェ進行になります。

12~16小節目には、下にも( )でコード進行がありますが、これはホレス・シルバーが自分のソロの時に使っているコード進行です。

コピーしたので、おまけ的に書いておきます。

Bは、9小節目からがAとは違います。

9小節目では、ⅣM7に行ってます。

11~16小節目の( )内は、こちらもホレスがソロの時に使っている進行です。

エンディングは、Ⅱ-Ⅴと進行した後に、ⅢM7ーⅡM7ーⅠM7と進行します。

こういったM7コードでの変則的な動きは、エンディングではよく使われます。

(2014年2月1日に作成)


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