『ウィムス・オブ・チェンバース』のおまけとして、いくつかの曲のコード進行を紹介します。
③では、「Tale Of The Fingers」と「Just For The Love」のコード進行を紹介します。
「Tale Of The Fingers」は、ポール・チェンバースの弓弾きがメインですが、何度聴いても人間技ではないと思いますねー。
「Just For The Love」は、12小節のメジャー・ブルースが元になっていますが、コルトレーンの作曲だから当然ながらコード進行は普通のブルースと違います。
大幅に変えているので、もはやブルースではないと言っていいでしょう。
A
|B♭M7 |B♭M7 |Bdim |Bdim |
|Cm7 |F7 |B♭M7 |Fm7 B♭7 |
B
|E♭M7 |E♭M7 |Edim |Edim |
|Fm7 |B♭7 |E♭M7 |F7(♭9) |
C
|B♭M7 |B♭M7 |Am7 |D7 |
|Gm7 |Gm7 |Dm7 G7 |Cm7 F7 |
A
|B♭M7 |B♭M7 |Bdim |Bdim |
|Cm7 |F7 |B♭M7 |F7 |
○ コード進行の解説
ABCAという、やや変わった形式の曲です。
コード進行は、シンプルな進行ばかりで簡単です。
Bでは、E♭キーに転調しています。
1回目のAの8小節目は、E♭キーに転調するためのⅡ-Ⅴ進行になってます。
Bの8小節目(F7(♭9))は、元のB♭キーに転調するために使われるドミナント・コードです。
2回目のAの8小節目は、次には転調がないので、B♭キーのⅤ7であるF7が使われます。
A
|A♭ |F G♭ |F |Cm7 F7 |
(G♭7 )
|B♭ |B♭m7(11) |Am7 |D7 |
(Am7 D7 )
|Gm7(11) |C7 |Am7 |B♭m7(9)E♭7(13)|
(Am7 D7 )
A
|A♭ |F G♭ |F |Cm7 F7 |
(G♭7 )
|B♭ |B♭m7(11) |Am7 |D7 |
(Am7 D7 )
|Gm7(11) |C7 |Am7 |B♭m7(9)E♭7(13)|
(Am7 D7 )
○ コード進行の解説
1小節目で、いきなり♭Ⅲのコードが出てきます。
そのため、のっけから転調している感じ(安定感の無い浮遊した感じ)がします。
2小節目でF(トニックコード)に行きますが、すぐに半音上のG♭に行きます。
2~3小節目のⅠ-♭Ⅱ-Ⅰという動きは、かなりとんがっていますが、テーマ・メロディにコードを付ける(ハーモナイズする)ならこれがベストだと思います。
3小節目からは、モダンジャズでよく使われるアレンジ(ブルース進行)になります。
11小節目は、普通ならF(トニックコード)に進む所ですが、代理コードのAm7(Ⅲm7)に行きます。
そして12小節目で半音上げて、B♭m7に進んで、B♭m7ーE♭7とⅡ-Ⅴ進行をして、1小節目のA♭に繋ぎます。
アドリブに入ると、2小節目はG♭7(♭Ⅱ7)に代わります。
これは、コード進行を簡略化したのでしょう。
8小節目と11小節目も、アドリブでは( )に書いたようにⅡ-Ⅴ化しています。
8小節目は、ホレス・シルバーは自分のソロの時には、A♭m7(♭Ⅲm7)にして演奏しています。
そのため、他の人のソロとは少し異なる響きがしていますね。
なお、エンディングはこうなってます。
エンディング
|A♭ |F G♭ |F |C7 F |
(Tale Of The Fingersは2014年6月29日に作成)
(Just For The Loveは2014年8月7日に作成)