(以下は『マイルス・デイビス 自叙伝』から抜粋
2026年9月20日に作成)
『ハーレム・リズムズ』というラジオ番組を聴き始めたのが、オレが音楽に入れ込み始めた最初で、7~8歳の時だった。
毎日8時45分から始まるから、よく学校に遅れた。
だが聴かずにはいられなかった。
たいていは黒人のバンドがかかり、ルイ・アームストロング、ジミー・ランスフォード、ライオネル・ハンプトン、カウント・ベイシー、ベッシー・スミス、デューク・エリントンなんかを聴いて興奮した。
それよりもっと前、6~7歳の頃だったが、アーカンサスに住む祖父の所に遊びに行った時、田舎の暗い夜道を歩いていると、突然に音が聞こえてきた。
道端にB・B・キングみたいなギターを弾いてる奴がいて、男と女が失望について語り、歌っていた。
凄い音楽で、特に女の歌は凄かった。
あの時、オレは何かを身に付けた。
ブルースとか教会音楽とかファンクとか言われるサウンド、リズムが、オレの体に染みついたんだ。
ふくろうが鳴く、気味の悪いアーカンサスの道で。
だから音楽の勉強を始めた時、どんなサウンドが良いかを、オレはもう知っていた気がする。
オレの音楽の始まりが、あのアーカンサスの道端と、ラジオの『ハーレム・リズムズ』だったのは間違いない。
9~10歳になってから、音楽の個人レッスンを受け始めた。