体温について

(『Newton2018年1月号』から抜粋)

私たちの体が冷めずに温かいままなのは、内部で熱を生み出しているからである。

体温の元となる熱は、化学反応から生まれる。

食べた物を別の物質やエネルギーに変換したり、得られたエネルギーを用いて筋肉を動かしたりして、熱を生み出している。

この一連の活動は「代謝」と呼ばれており、その実体は膨大な化学反応だ。

食べ物として摂取したエネルギーのうち、最終的に約70%は熱として放出されるという。

厳密な意味での体温とは、「深部体温」のことである。

深部体温とは、脳や内臓の体温であり、37℃前後に保たれている。

一方で、体の表面の温度である「皮膚温」は、大きく変化する。

外気の温度は皮膚で感知されて、神経回路を通じて脳の視床下部へ送られる。

そして視床下部は、皮膚表面の血液を調節する指令を出す。

具体的には、外気が暑い時は皮膚近くの細い血管を広げて、熱を血流にのせて体の表面に運び、体外に逃がそうとする。
この時は、皮膚温は高くなる。

反対に外気が寒い時は、皮膚近くの細い血管を狭くして、熱を外に逃がさないようにする。
この時は皮膚温は下がる。

なお、血管の太さの調整の他でも、体温の調節は行われている。

例えば汗をかくことで、皮膚の表面から気化熱を出して、体を冷やす。

逆に寒い時には、体を震えさせることで、熱を発生させて温める。

ちなみに一般の体温計は、深部体温と皮膚温の両方を測っている。

そして皮膚温は、その人の代謝量や脂肪の付き方で変わるので、平熱にも個人差が出るのである。

風邪をひくと体温が上がるのは、それで病原体を排除しやすくするためだ。
(だから安易に薬で熱を下げないほうが良い)

ただし38.5℃を超える高熱が続くと、食欲の減退や体力の消耗が生じる。

また、食事をしていると体が暑くなることがあるが、消化と吸収に伴って熱が発生するためである。

実は、深部体温も1日の中で0.5℃程度の幅で変化する。

これは代謝量が体内時計でコントロールされているからで、活動が活発になる時間は体温が上昇する。

だから平熱を測る時刻は、いつも同じにするのが望ましい。

現在は、平熱は「朝の目覚めた時に、わきの下で測った温度」と定義されている。

そして平熱よりも1℃以上高い状態は、熱があるといえる。

(2022年11月4日に作成)


『人体の勉強』 目次に戻る

『サイトのトップページ』に行く