神
今は、間違った人間が子育てをしている。
ニール
「間違った人間」って誰の事です?
神
両親だ。
ニール
両親が育てるのは、間違っているのですか?
神
両親が若い時には、そうだ。
若い親ほど、子供を育てるのに不適切な人間はいない。
大抵の親は、自分が育ち終わっていなくて答えを探しているのに、子育てを始める。
だから、間違ってしまう。
あなた方は、生まれてから40年、50年は、まだ子供なのだよ。
ニール
40年も50年も「子供」なのですか?
神
まさかと思うだろうが、人類のふるまいを見れば、私の言う事が正しいと分かるのではないかな。
子供をつくるのは、若者だ。
そして子供を育てるのは、年長者の役目だ。
あなた方の社会では、子供をつくった者に、子育ての責任を負わせる。
その結果、子育てが難しくなり、性的なエネルギーまで歪められる。
進んだ社会では、年長者が子供を育てる。
だから、若いうちに子供をつくる事が間違っているとはみなされないし、性の抑圧もない。
ニール
そんな社会が地球上にあるんですか?
神
あるよ。
ただし、消えかけているがね。
あなた方は、彼ら(先住民族などの自然と共に暮らす人々)を「野蛮」だと考え、滅ぼそうとしてきた。
ところが、野蛮でないつもりのあなた方の社会では、子供は「親の所有物」と考えられ、子供をつくった者が子育てをしなければならない。
若い時代は、真実を教えるためではなく、真実を探求するためにある。
若者には、まだ自分自身の真実はない。
まだ、模索中だから。
50歳になる頃に、あなた方は自分自身の真実を発見・経験し、落ち着く。
最大の真実とは、『固定した真実など無い』という事だ。
真実は生命のように変化し、成長し、進歩していく。
ニール
ええ。私も50歳を過ぎて、ようやくその段階に達しました。
神
あなたは今こそ、子供を育てるといい。
真実を、人生を知っているのは、年長者だ。
年長者たちに子育てをゆだねなさい。
コミュニティ全体で、子育てをすればいい。
あなた方は、互いから遠ざかってきた。
コミュニティを解体して、大都市を作った。
大都市にはコミュニティが少ない。
だから実質的には、年長者がいない。
もっと悪い事に、あなた方は年長者を片隅に追いやった。
あなた方の社会は、若者を崇拝し、年長者を追放している。
社会が個人化し、若者化したために、大勢が感情的にも心理的にも、貧しく枯渇した暮らしをしている。
ニール
この悪循環を断ち切る方法は、あるのでしょうか?
神
第一に、それが事実だと認めることだ。
多くの者が、この現実から目をそらしている。
真実を無視しない者だけが、真実に慰められる。
その時、真実は快いだけではなく、インスピレーションの源になる。
あなた方は最近になって、コミュニティを再び築くようになった。
しかも若者たちは、年長者を尊敬するようになってきている。
(『神との対話3』から)