神
高度に進化した社会では、結婚もビジネスも無い。
そういった「人工的な社会機構」は何もなくなる。
結婚している人のほとんどは、施設に入っているような気分だろう。
ニール
多くの人は、結婚という制度を愛し、守ろうとしていますよ。
神
それには異議があるね。
ほとんどの人は結婚で苦労しているし、その経験を好ましいとは思っていないよ。
離婚統計がそれを物語っている。
ニール
では、結婚制度は廃止するべきだと、おっしゃるのですか。
神
私は、どうすべきだとか、すべきでないとかは言わない。
ただ、私は別に結婚制度を望んではいない。
あなた方が望んでいるだけだ。
ニール
私達はなぜ、結婚を望むのでしょう?
神
愛に「永続性」をもたらしてくれる方法として、唯一考えついたのが、結婚だからだ。
パートナーを保証してくれる、唯一の方法だからだよ。
結婚は、まるでビジネスだね。
「あなたがこれをくれれば、私はこれをあげる」という取引だ。
取引の履行を強制するために、「神との神聖な盟約だ」という事にした。
だから離婚をすれば、神から罰を受ける。
それでは上手く行かなくなったので、今度は法律で強制する事にした。
ところが、それさえも上手く行かなくなった。
ニール
どうして、そんな事になるのでしょう?
神
結婚は、自然の法則に反するのだよ。
ニール
説明していただけますか?
神
あなた方の本質は、愛である。
愛は、無制限で自由なものである。
従って、あなた方は元々、無制限で自由なのだ。
あなた方の本質を踏みにじる人工的な機構は全て、あなた方を侵害する。
だから強い不満を抱く。
結婚という制度は、安全を保障しようという試みだ。
結婚とは、『お互いの行動を律しようとする、人工的な社会制度』だ。
ニール
やれやれ、そんな風に考えた事はなかったな。
神
結婚が無制限で自由な愛につながるなら、それは究極の愛の宣言だ。
だが今の結婚は、愛を約束か保証のレベルに引き下げるものだ。
結婚は、「今の状態が永遠であること」を保証しようとする努力だ。
お互いへ抱く感情を、決して他人には持たないと保証し、「この関係は特別だ。私はこの関係を、他の全ての関係の上に置く」と言明することだ。
ニール
それのどこが、いけないのですか?
神
正邪の問題ではない。
あなた方にとって「役立つかどうか」、それが問題だ。
面白い事に、マスターたちはほとんど結婚していないよ。
ニール
ええ。マスターはセックスをしませんから。
神
そうじゃない。
マスターは、今の結婚という仕組みに、誠実に従う事はできないから、結婚をしないのだ。
つまり、「一人の人間が、他の誰よりも特別だ」とは言えないからだよ。
(『神との対話3』から)