ニール
どうすれば、国家間の戦争をなくせますか?
神
分裂をなくせばいい。
新しい世界の枠組みを、創ればいい。
あなた方は、他国に干渉する時に、「弾圧された人々を助けるためだ」と大嘘をつく。
実際は、自分の利益を守っているだけだ。
その証拠に、利害関係がない所には関心を持たない。
世界を変えようと思うなら、他者の利害を自分のものとして考えることだ。
世界はそろそろ、「人類の唯一の問題は、愛の欠落だ」という事に、気づいた方がいい。
全人類を自分の家族と考え、世界の国々は団結すべきだ。
ニール
国連がありますよ。
神
国連は、無力で無能だ。
それぞれの国家が平等な発言権を持ち、世界の資源を平等に分け合う、新しいコミュニティを創ればいい。
ニール
でも「持てる者」は、「持たざる者」と分け合わないでしょう。
だいたい、どうしてそんな事をしなければならないのですか?
神
それが、「持てる者の最善の利益」だからだ。
貧しい者を助けて、全ての人の尊厳のために資源を使うなら、犯罪原因は無くなり、新しい職が生まれ、小さな政府さえ実現するかもしれないだろう?
ニール
その新しい世界政府は、税金を徴収するのですか?
神
税金を徴収する必要はない。
財源は、『軍事費を縮小する事』で生まれる。
大胆に縮小すればいい。
唯一残るニーズは、国内の秩序の維持用だけだ。
ニール
それほどの大金は節約できないでしょう。
それに、「自衛用の武器まで捨てろ」と言っても、聞き入れないと思うな。
神
今(1994年時点で)、世界の国の政府は、合わせて毎年1兆ドルを軍備に費やしている。充分な金額だ。
自衛用の武器まで捨てるには、方法は二つある。
一つは、世界の富と資源を平等に分かち合い、誰もが他人のものを欲しがったりしないようにする事だ。
誰もが人間らしく、暮らせるようにする。
もう一つは、違いを解決するシステムを作り、戦争の可能性を無くしてしまう事だ。
ニール
違いを解決するなんて、できないでしょう。
神
すでにやっている国がある。その名は、『アメリカ』という。
アメリカは、個々の州がゆるやかに連携し合い、中央の権威に従っている。
最初はどの州も嫌がったし、頑強に抵抗した。
どの州も、「連合する事は、自分たちの利益にはならない」と主張した。
各州は、連合規約には合意したものの、規約に従わなかった。
各州は独自に外交をし、徴税をし、国家のようにふるまっていた。
だが、時が経つにつれて、少数の進歩的な指導者が力を伸ばし、「連合すれば、失うものより得るものの方が多い」と市民を説得した。
そして、現実はその方向へ進んだ。
今日、世界の国々が連合すれば、アメリカの州同士の戦争がないように、世界から戦争がなくなるだろう。
ニール
それでも、紛争はあるでしょう。
神
その通りだ。
本当に戦争をなくす方法は、人間の霊的な解決方法しかない。
人々が霊的な真実を生きない限り、紛争は残るだろう。
ここでは、地政学的な解決方法を話しているのだよ。
今日、各州の間には、様々な争いがもちあがるだろう?
だが、合意に達する。
どこかが法を破ったら、問題は裁判所に持ち込まれ、それでも解決しなければ中央政府に持ち込まれる。
これが、連邦制度の仕組みだ。
この制度は、国家の間にも当てはめられる。
ニール
どうしてこれまで、そういう試みがなかったのでしょう?
神
あったよ。国連がそうだ。
だが、わずかの効果を上げているだけだ。
効果が上がらないのは、大国が「制度を変更すれば損をする」と恐れているからだ。
ニール
大国が、手に入れたものを手放したくないと言うのは、理不尽ですか?
神
さっきも言った通り、世界の年間軍事費1兆ドルを、人道的な目的に振り向ければいいだけだ。
誰も損をしない。損をするのは、軍事産業だけだ。
(『神との対話2』から)