ニール
最も偉大な社会をつくり出したのは、資本主義と自由競争システムでしょう。
神
アメリカ人は階級を、個人の努力の結果だと見る傾向がある。
だが、その考えは単純で幼稚すぎる。
アメリカでも、金持ちと権力者は金と権力を握りしめ、さらに増やそうと奮闘しているのだよ。
ニール
だから? それが、いけない事ですか?
神
彼らは、システマティックに競争を排除し、富を集団的に支配している。
彼らは大衆から搾取し、学閥のネットワークを利用して新参者を制限し、政府の政策を支配して、大衆がコントロールされたままでいるようにしている。
ニール
信じられないな。ごく一部の者のたくらみでしょう。
神
金持ちや権力者の大半は、一人ひとりは良い人だが、彼らの立場をおびやかす考え方を示されると文句を言い出す。
社会構造を変えようとする試みに、頑なに反対する。
搾取は、こんな風に行われる。
金持ちの実業家は、貧しい国に工場を建設し、長時間の労働をさせて、低い賃金を払う。
そして、こう言う。
「前よりも生活は良くなっただろう? チャンスをやったんだよ!
しかも、全てのリスクを負うのは、こちらだからな!」
一足125ドルのスニーカーを作る労働者に、75セントの時間給を支払って、どんなリスクがあるというのだろう?
こうした恥ずべきシステムが存在するのは、『人間の尊厳』ではなく、『利潤率』が最優先される社会だけだよ。
(『神との対話2』から)