神
ヒトラーは、天国へ行ったのだよ。
ニール
どうして天国に行けるのですか?
神
第一に、地獄というものが無いからだ。
彼が行けるのは、天国(神のもと)しかない。
本当の問題は、『ヒトラーの行動は悪か』という事だ。
「あなた方が死と呼ぶものは、実は最高の出来事だ」と言ったら、どうかな?
ニール
とても、そうは思えません。
神
あなたは、地上の暮らしが天国よりも良いものだと思っているのか?
いいかね。
死の瞬間にあなたは、最大の自由・平安・喜び・愛を知るだろう。
ニール
でも、当人の意思に反して、この世の生を絶たれるべきじゃない。
私達は、何かを成し遂げ学ぶために、ここに来た。
神
あなた方は、何かを学びにここに来たのではない。
人生は学校ではない。
ここでの目的は、学ぶ事ではなく、思い出す事だ。
(私たちは、魂のレベルではすべてを知っています。
だから、大切なのは魂と繋がり、愛や真実を思い出す事なのです。)
死について、一緒に探ってみようか。
誰かが病気で亡くなったら、それは「間違っている」だろうか?
ニール
間違っていないでしょう。
病死は自然なことですから。
神
それでは、事故死は?
ニール
同じことです。
悲劇でしょうが、それも神の意志です。
神
では、神の意志を信じるのだね?
ニール
はい。
神
だが、ヒトラーに関しては違うわけだ。
あれは、神の意志ではなかった?
ニール
ええ。ヒトラーは神の意志を踏みにじったんですよ。
神
私は全能なのに、どうしてそんな事が起こったのだろう?
ニール
それは、彼の行動を放置したからでしょう。
神
私が放置したなら、それが私の意志だろう。
ニール
うーん、そのようですね…。
彼に自由な選択をさせる、それがあなたの意志だった。そうじゃないですか。
神
誰もが、自由な選択をする事ができる。
私が望む選択をしなかったからといって、私はその人を罰したりはしない。
ニール
神に罰されるのではなく、単なる自然の法則ですよ。
因果(カルマ)の問題だ。
神
あなたは神学の組み立て方を、実によく勉強したようだね。
責任を、私に負わさない工夫をしている。
だが、その自然の法則があるとしたら、創ったのは誰だろう?
私以外にあるだろうか?
どうして私は、あなた方が苦しむ可能性を残したりしたのか。
あなたの神学を合理化する唯一の方法は、私を無力な神にすることだ。
そこが分かっているのかな?
あなたは本当に、神がコントロールする力を持っていないと思っているのか?
ニール
もちろんあなたは、全てをコントロールできる。
ただ、あなたはそうしないんだ。
悪魔に私たちを誘惑させているのです。
神
何のために?
ニール
私たちが自ら選択をして神のもとへ行くことを、望んでいらっしゃるからです。
あなたは天国と地獄を創りだし、選択をできるようになさった。
神
どうしてそう考えるのか、よく分かるよ。
あなた方の世界を『相対的な世界』に創ったのは、私だ。
あなた方は、神の世界も同じだろうと考えている。
しかし、私のいる世界は『絶対の世界』で、すべてが愛である所だ。
全ては一つ、その認識と経験の世界だ。
ニール
それでは、私たちが地上で考え、言い、行った事の結果は、死後には何もないのですか?
神
死後の絶対の世界にあるのは、平和と愛と喜びだけだ。
そこであなた方は、自分が愛であると知るだろう。
「自分は愛ではない」という思考は、外部の狂気の世界の産物で、それが狂気の行動に駆り立てる。
審判と非難、そういう外部の世界だ。
狂気の世界では、他者があなたに審判を下し、その審判に従ってあなたは自分に審判を下す。
だが、私は審判を下さない。
ニール
私たちが信じているのは、狂気の神学だとおっしゃるのですね。
だが報酬と懲罰のない神学なんて、あり得るのでしょうか?
神
「人生はテストだ、試練だ」と考えれば、あなた方の神学は筋が通る。
だが、「人生は機会であり、自分に価値がある事を思い出すプロセスだ」と考えれば、筋が通らない。
「神は利己的で、目的のためには人殺しも辞さない」と考えれば、あなた方の神学は筋が通る。
だが、「神は何も必要とはしておらず、知識と愛の源である」と考えれば、筋が通らない。
いいかね。人生の目的は、神を喜ばせることではない。
自分とは何者であるかを知って、自分を再創造する事なのだよ。
自分を知り、自分を再創造すれば、神を喜ばせる事になるのだ。
ヒトラーの行動は、未発達な者の行動だ。
しかし過ちは罰するものではなく、修正するチャンス、発達するチャンスを与えるものなのだ。
ヒトラーの過ちは、死に至らしめた人々を何ら害することも、侵すこともなかった。
彼らの死を悼むのは、彼らの魂がどんな喜びへと分け入ったかを知らないからだ。
死を経験したら(死の経験をおぼえていたら)、誰も死を悼んだりはしないよ。
あなたは「殺された者は時ならぬ死をとげたのだから、その死は間違っている」と言うが、それは「宇宙では起こるべきでない事が、起こりうる」と言っているのと同じだ。
宇宙で起こる事はすべて、完璧に起こるべくして起こっている。
あなたが賛成できない事についても、完璧なのだと考えられるなら、悟りを開いた事になる。
(『神との対話2』から)