コロナワクチンの色々(2021年)

(以下は『東京新聞 2021年8月14日』から抜粋)

コロナワクチンの効果は、高齢者や喫煙者だと低下しやすいことが、国立病院機構・宇都宮病院の調査で分かった。

同病院の職員378人が調査対象となり、ファイザー製のワクチンを接種した。

接種から3ヵ月後の抗体価は、血液1ミリリットル当たり、20代は約1000ユニットだったが、60~70代は約500ユニットと半分だった。

年齢が上がるほど、抗体価は下がる傾向があった。

51~64歳の職員6人を詳しく調べたところ、6人とも接種すると抗体価は10~20倍に上かったが、 3ヵ月後には3分の1から5分の1に低下した。

調査対象378人の抗体価の中央値よりも、喫煙しない人は12%高く、喫煙する人は35%低かった。

飲酒頻度では顕著な差はなかった。

研究チームの杉山公美弥・副院長は、「3回目の接種で抗体を再び上げることが安全策となる」と言う。

米国政府のFDA(米食品医薬品局)は、「免疫力が低下した人に対して、コロナワクチンの3回目の接種を許可する」と発表した。

がん治療患者などが対象で、米国人の成人の3%未満と推定される。

米国では1日あたりのコロナ感染者が10万人を超える日が増えている。

米メディアによると、臓器移植を受けた人は免疫を抑える薬を飲むので、ワクチン接種しても抗体ができにくい。

日本では、ワクチンの1回目を国民の約半数が打ち、データが蓄積されてきた。

厚生労働省によると、モデルナ製だとファイザー製よりも発熱する割合が2~3倍も高い。

厚労省・研究班の代表である伊藤澄信は言う。
「頑強な自衛隊の方でさえ、4割が接種後に病欠したのはちょっとショック」

調査によると2回の接種をした人のうち、37.5度以上の熱が出た人は、ファイザーは4割、モデルナは8割である。

モデルナでは、コロナウイルスに感染したことがある人だと、1回目の接種から副反応が強く出る傾向がある。

未感染者と比べると、発熱は8倍、倦怠感は3倍に上る。

伊藤澄信
「モデルナだと38度以上出る人が6割で、40度の人もいる。」

モデルナ製での発熱者は、諸外国よりも突出して多く、日本特有の現象だ。

横浜市立大の研究では、ファイザー製を2回打った105人のうち、デルタ株への十分な抗体を持ったのは102人で、3人は十分な効果がなかった。

コロナウイルスの変異株である「ラムダ株」だが、7月に日本で初確認されていたと分かった。

その初の感染者は、東京オリンピックの関係者で、ペルーに滞在歴があり、帰国した際に羽田空港の検査で陽性となり、国立感染症研究所がウイルスを分析した。

ラムダ株は、中和抗体を弱める特性があり、ワクチンの効きが弱い恐れがあるとされている。

(※この件では、7月に日本政府はラムダ株が日本に入ったと知りながら、東京オリンピックが開かれるので公表をせず隠した、との説が出ている)

(以下は『東京新聞 2021年8月20日』から抜粋)

米国のバイデン政権は、新型コロナウイルスのデルタ株の感染拡大を理由に、「ワクチンの2回接種から8ヵ月が経過した18歳以上の全国民に対し、3回目の接種を行う」と発表した。

3回目の接種はファイザー製とモデルナ製が対象で、1回接種で済むジョンソン・エンド・ジョンソン製の追加接種は「さらに検証する」とした。

バイデン政権は、2回接した人も6ヵ月経つ頃から感染する例が増えることや、予防効果が92%から64%まで落ちることを示した。

米国では、1日の感染者が平均で13万人に達し、死者も1日に600人を超え、1ヵ月前の3倍近くになっている。

(以下は『東京新聞 2021年8月21日』から抜粋)

イングランドで、コロナウイルスの対策規制がほぼ撤廃されてから、1ヵ月が過ぎた。

1日あたりの感染者は3万人前後で高止まりしている。

レディング大学のサイモン・クラーク准教授は言う。
「感染者数は昨年夏の25倍である」

イングランド政府は、1日の感染者が10万人に達すると警告していたが、今のところその3分の1で推移している。

主な要因は夏休みと見られ、国民は人と接する事を少なくしている。

昨年は、夏休み明けの9月下旬に感染者が急増した。

オックスフォード大学の研究では、ファイザー製ワクチンは2回接種から3ヵ月で予防率は10%落ちて75%になる。
アストラゼネカ製だと61%まで落ちる。

イングランド政府は3回目の接種を9月から始める方針だ。

日本の厚生労働省の分科会は、コロナククチンの接種後に起きた健康被害の医療手当の申請を、初めて審査した。
そして41人中、29人の救済を認めた。

救済の対象になると、自己負担した医療費や、入院・通院に応じて手当が出る。

認定されたのはワクチン接種後にアナフィラキシーが出た29人で、そのうち28人は女性である。

コロナワクチンは、緊急に実施される「臨時接種」であり、健康被害が認められれば補償の対象となる。

死亡すると一時金4420万円などが国から支払われ、一級障害が生じた場合は年間505万円の障害年金が給付される。
請求の期限はない。

(※実際のところ現状では、重大な健康被害や死亡になっても、ワクチンとの因果関係がはっきりしない、評価不能として、切り捨てられている)

国内外で3回目のワクチンを打つ動きが出ている。

河野太郎・ワクチン接種大臣は、医療従事者への3回目の接種について「準備している」と述べた。

厚労省によると、7月25日時点で、医療機関から報告されたワクチンの副反応疑いは2万105件で、そのうち重篤者は3338件である。

国立感染症研究所によると、2回目の接種から14日以上経ってから感染した人は、4~6月に27部道府県で67人いた。

海外では、イスラエルとチリが今月(8月)から3回目の接種を本格化し、米国も9月に始める。

これに対しWHOのテドロス事務局長は、「接種が進んでいない貧しい国へのワクチン供給を優先してほしい」と訴えている。

元WHO事務局長・上級顧問の渋谷健司はこう話す。

「WHOはできるだけ広範囲にワクチンを射ち、パンデミックを防ぎたい。
一方で各国は自国民に3回目を射ちたい。
ウイルスは変異をくり返すので、コロナワクチンは定期的に射たなければならないかもしれない。」

元国立感染症研究所員の原田文植(ふみうえ)は言う。

「副反応はワクチンが効果を発揮し、確かな抗体が作られる証だ。恐れなくていい。」

接種後の発熱や頭痛が多いため、市販の解熱鎮痛剤は品薄の状態にある。
調査会社のインテージによると、5月から売り上げが伸び、7月も前年同月より36.9%増である。

(以下は『東京新聞 2021年8月23日』から抜粋)

国立がん研究センター中央病院は、コロナウイルスのワクチンをがん患者に接種させて、どのくらい効果があるかの検証を始めた。

同病院の患者1200人を対象に、接種前、2回目接種の1ヵ月後、半年後、1年後に調査をする。

抗体の量などを測り、がんの種類や受けている治療で効果に違いがあるかを調べる。

がん患者のコロナワクチン効果を調べる研究は、国内では初めてだ。

英国の研究では、フィイザー製のワクチンを2回接種後、大腸がんや肺がんの患者では95%に十分な抗体ができたが、白血病やリンパ腫といった血液がんの患者では60%だった。(十分な抗体ができなかった)

十分な抗体ができなかったのは、抗がん剤が影響している可能性がある。

なお、上の国立がんセンターの調査では、同病院の医療従事者200人も、比較対象として参加する。
がん患者との副反応の差を調べる。

(2025年2月13~15日に作成)


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