日本の大学事情(以下は『週刊文春 2024年5月16日号』清水克行の記事から抜粋)
大学事情を知らない人は、授業の受講生が多いほど優秀な教授だと誤解するが、実際は違う。
多くの場合、受講生の多さは、試験が簡単で単位を楽に取れるとか、その時間に他の授業がないといった理由なのだ。
また、現在は少子化が進み、ほとんどの私大は大教室での授業が減っている。
大教室が残っている大学は、実はとっても恥ずかしいことなのだ。
大教室で授業をすると、講議は一方通行になり、学生のやる気は出ない。
教える側も、試験では何百人もの答案を見なければならず、負担は深刻だ。
(以下は『週刊文春 2024年10月10日号』から抜粋)
🔵中国人の留学生
日本に在留資格をもつ中国人は、2023年12月末時点で82万人を超えた。
東大に入学する中国人の数が伸び続けている。
2024年5月の時点で、東大には1.4万人の学部生がおり、大学院生は1万3500人いる。
そのうち中国籍の留学生は3396人で、12%超を占めている。
東大の中国人留学生は、2014年5月は1136人だったから、10年で3倍になった。
早稲田大学も、中国人留学生は3300人ほどいて、学生の7%を占めている。
東大では、学部や大学院のゼミが、日本人はゼロで大多数は中国人という所も出てきている。
ちなみに東大には、日本政府から800億円ほどのカネが投入されている。
城山英巳・北海道大学教授はこう解説する。
「中国では、一流大学を卒業しても就職できない若者であふれている。
さらに習近平政権は言論統制を強化し、自由に学問できない。
それで若者が日本の東大を目指すようになった。」
東大で学ぶ留学生の李さん(仮名)は、こう話す。
「私は子供の頃から、中国共産党の教育方針に違和感がありました。
嘘ばかり教えていると感じてました。
それで来日し、日本語学校に通って東大に合格しました。
日本企業は、日本の大学を卒業した中国人を求めていて、東大卒ならば引く手あまたです。」
最近は、来日して日本の中学校や高校に入り、そこから東大を目指すというパターンもある。
その影響で、首都圏で中国人の子供向けの学習塾が増加している。
日本に住む中国人たちは、SNSで教育事情を情報共有している。
なお中国では受験戦争が過熱し、社会問題になっている。
東京都内で働く劉さん(仮名)は言う。
「中国では、高卒で働く人々は社会の底辺であるとの刷り込みがすごい。
もし自分に子供ができても、決して中国で子育てしません。」
都内の大学に通う陳さんは言う。
「習近平政権になってから、ネットの監視が強化され、メディアはフェイクニュースばかり流している。
自由のない中国で暮らすつもりはありません。」
(以下は『週刊文春 2023年10月5日号』から抜粋)
🔵OIST(沖縄科学技術大学大学院)
OIST(オイスト)は、沖縄科学技術大学・大学院の略称だ。
ここは特別な大学で、独自の立法により2012年9月に開校された。
膨大な国家予算が投入されているが、国立大学ではない。
教授と准教授の差は研究歴だけで、立場はフラットだ。
それぞれが独立した研究チームを率いている。
研究資金は潤沢で、給与も格段に高い。
こんなに恵まれているのは、文科省ではなく、内閣府・沖縄振興局から年200億円もの予算を得ているからだ。
OISTは、研究者と学生(大学院生のみ)が世界中から選抜される。
現在、教授と准教授の半数が外国人だ。
学生は8割が外国人である。
学内の公用語は英語だ。