軍事力が強大なのは、むしろ安全を損なう

(『なぜアメリカはこんなに戦争をするのか』C・ダグラス・ラミス著から抜粋)

20世紀に戦争で殺された人は、どれくらいだろうか。

1億人だとか、2億人だとか、いろいろな説がある。

2億人と算出した学者によれば、2億人の大半は敵の軍隊ではなくて、「自国の軍隊」に殺されたそうだ。

だいたい軍隊とは、自国民の方を多く殺す傾向にある。

ナチス・ドイツや、スターリン時代のソ連が、分りやすい例である。

現在でも、自国民と戦争している軍隊は、世界中にいる。

もしかすると軍隊とは、自国民から政府や軍隊自身を守るために、存在するのかもしれない。

中南米のコスタリカは、憲法で「軍事力を持たない」と定めている。

中南米では、軍がクーデターを起こして軍事政権を作る事が多かった。

だから、国民の安全を守るために、軍隊を持たないのだ。

この考え方は、今後の世界にとって大きな参考になると思う。

日本の自衛隊は、最初は「警察予備隊」という名称であった。

当時の日本を占領していたアメリカ軍が、朝鮮戦争に行ってしまったので、「その留守の間に国内の治安を守る」という事で作られた。

自衛隊が武器を使用していいのは、「他国から侵略された時」か「国内の治安が悪化した時」だけである。

「強い軍隊を持てば、その国の安全は守られる」という説は、正しくない。

日本の軍事力が強大だった(軍の影響力が強大だった)明治~昭和20年は、日本人が戦争で死んだ数がいちばん多かった時期である。

これを見れば、『軍事力が強大であると、むしろ安全ではない』と分かる。

(2014年6月11日に作成)


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