(週刊朝日2014年10/31号から抜粋)
『特定秘密保護法』は、2014年12月10日に施行される。
この法律には、危ない部分が多く、国民の知る権利が侵される危険性が高い。
私たちの取材の自由は狭まり、うっかりすると厳罰を食う可能性が高い。
この秘密法は、行政機関のトップの判断で、防衛・外交・テロ防止・スパイ活動防止について、国の所有する情報を「特定秘密」に指定できる。
つまり、(分野が限られるとはいえ)不都合な情報を、官僚たちが恣意的に隠す事ができる。
だから、運用を厳しくチェックする仕組みが必要だ。
政府はそのために、「独立公文書管理監」と、そのスタッフにあたる「情報保全監察室」を設置した。
だが、この仕組みではチェック機能を果たせない。
「独立公文書管理監」は、審議官クラスの官僚から首相が指名し、秘密指定の検証と監察を行う。
省庁に資料提出を求めたり、指定解除もできる。
だが運用基準には、「省庁が安全保障に著しい支障を及ぼす恐れがあると判断すれば、資料提出を拒否できる」とある。
検証できない懸念があるのだ。
アメリカのチェック機関は、「秘密解除の請求権」が保障されていて、日本よりも権限が格段に強い。
日本の「独立公文書管理監」は、内閣府の中に設けられ、任命されるのは局長より下の審議官クラス。
それでは、省庁のお目付け役が担えるか疑問だ。
さらには、監察室の職員には、その後の人事で出身省庁に戻らない「ノーリターン・ルール」が無い。
いよいよ独立性は怪しくなる。
それに加えて、秘密指定から30年以下の文書は、首相の同意で廃棄が可能だ。
政府の説明は不十分であり、国会で十分に審議する必要がある。
その点では、野党に頑張ってもらいたい。