特定秘密保護法案について
まったく必要ない法です③
(2013.11.18.)

多くの方々が危険性を指摘している『特定秘密保護法案』ですが、驚く事に、安倍内閣はまだ成立させようとしています。

まったく呆れたものです。

「そんなに、アメリカとベタベタしたいのかよ。あなた方は、アメリカとの秘密の共有と、日本人の自由と、どちらが大事なの?」と思います。

『特定秘密保護法案』は、アメリカの要請が出発点になっています。

この問題は、「情報公開」か「情報統制」か、「自主独立」か「対米従属」か、というのが本質ですね。

法案に対する態度で、「情報について、その人がどの様な信念を持っているか」が分かります。

多くの人が、「秘密情報は必要だ」と考えているようですが、私はそうは思いません。

そうした秘密主義は、長い目で見ると、人々を抑圧したり、人々を誤った道に陥れると思うからです。
歴史を見れば、それは明らかだと思います。

一般的には、安倍晋三さんは「自主独立派」とされていますが、その行いを見ていると違うと分かります。

TPPについてもそうですが、アメリカにべったりです。
「自主独立」というのは、アメリカからも独立するものだと思いますよ。

実は、私は、『この法案は、廃案になる』と確信しています。

1週間くらい前だったと思いますが、この法案に反対する声明を、田原総一郎さんや鳥越俊太郎さんらが、発表しました。

これを見た時に、「ここまで反対運動が広がってきた以上、成立させるのは無理だな」と直感しました。

すでに多くの団体や有識者が、「この法案は、自由を奪う危険なものだ」と喝破・指摘しています。

私は、田原さんらの声明を知った時に、「今までの積み重ねに、これが加わった。流れは決まったな。私たちは、勝利した」と感じたのです。

毎日新聞は、連日のように、法案の問題点を指摘する記事を載せています。

私は、尊敬心で一杯です。

中でも11月13日の記事は、特に面白いものでした。
それを、ここから紹介したいと思います。

○ 情報公開クリアリングハウスの三木由希子の話

『特定秘密保護法案』は、「特定秘密」の指定解除や、文書の保存・公開についての基準がありません。

都合の悪い情報を、闇から闇へと葬る恐れがあります。

自衛隊法の改定によって指定が始まった「防衛秘密」では、2007年~11年に5.5万件が指定されましたが、解除は1件しかありません。

「自衛隊のどの部局が何件の秘密指定をしたか」は、非公開です。

『特定秘密保護法案』の成立によって、こうした運用が、外交・スパイ活動防止・テロ防止にも広がれば、説明責任はますます果たされなくなります。

別表の文言により、事実上は政府の判断で、何でも指定できるようになっています。

この法案の背景には、アメリカの要請があります。

現在でも「防衛秘密」は、防衛相の同意が無くても文書を廃棄できます。

他の省庁の文書は、『公文書の管理法』により、廃棄には首相の同意が必要です。

実際には、「内閣府の公文書管理課」が、首相に代わって廃棄するかを判断しています。

2011年度末で公文書のファイルは1400万件あり、年間に200万件ほどが廃棄されました。

現場では、担当者はファイルのタイトルを見るだけで、廃棄するかを判断しているそうです。

国民には何も知らされずに、公文書が捨てられるのが現状です。

現在は、情報公開法に基づいて公開請求をしても、防衛・外交・治安維持に関するものは表に出てきません。

政府がどの情報を公開するかを、選別しています。

責任者の匿名化を許さないシステムや、市民が情報にアクセスできる仕組みが必要です。

参考になるのは、アメリカの国立公文書館です。

日本とは比べものにならない位に、権限と予算があります。

日本の国立公文書館は、あまり権限がなく、文書の管理に口を出せていません。

(アメリカの国立公文書館は、スタッフが2500人います。 
 日本の国立公文書館は、わずか40人です。)

○ 毎日新聞の社説から抜粋

毎日新聞の世論調査では、『特定秘密保護法案』への反対は59%に上っています。

審議を重ねるほどに問題点が浮き彫りになる事が、反映しているのでしょう。

自民党は、中曽根政権時代の1985年に、今回と似た法案を提出して、それは「スパイ防止法案」と呼ばれました。

この法案は、国家機密を漏らした場合には、「最高刑は死刑」とする内容でした。

野党や自民党の若手議員の反対で、法案は廃案となりました。

当時に反対した谷垣禎一さんは、今回は賛成に回っています。

一方、同じく反対した村上誠一郎さんは、今回も反対を表明しています。

『特定秘密保護法案』に当初は慎重姿勢だった公明党は、賛成に転じましたが、きちんと考えを説明していません。

与党であっても考えを改めるのは、恥ずかしい事ではありません。再考を求めます。

(毎日新聞の抜粋はここまで)

私が今回の一連の報道で驚いたのは、『国民の「知る権利」が、憲法などの法律に明記されていない』という事実です。

率直に言って、「まさか、そんな事が!!」と思いましたよ。

自民党は、知る権利を『特定秘密保護法案』に明記する方針ですが、「情報公開法に『知る権利』を明記しなければ、有効に機能しない」と、情報公開の専門家は指摘しています。

民主党が国会に提出した『情報公開法の改正案』は、私は内容を見ましたが、かなり前進できる良いものです。
「知る権利」も明記されています。

『特定秘密保護法案』とセットになる場合には、トータルで見ると大幅なマイナスになってしまいますが、『情報公開法の改正案』そのものは悪くないです。

今の日本の最良の選択は、『特定秘密保護法案』を廃案にした上で、『情報公開法の改正案』を成立させる事です。

皆さん、これを主張しましょう!

野党の皆さんは、この主張で結束して下さい。お願いします。


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