(『しんぶん赤旗2014年8月24日』から抜粋)
8月13日に発表された4~6月期のGDPの速報は、衝撃的な数字が並んだ。
家計消費は、戦後最大級の落ち込みとなった。
実質GDPは前期比で-6.8%となり、東日本大震災のとき(-6.9%)に匹敵する。
GDPの6割を占める家計消費は、実質19.2%も減少した。
この下落率は、1997年の消費増税時(13.3%減)を大きく上回り、第1次石油ショック時(1974年1~3月期)に匹敵する落ち込みである。
増税前の駆け込み需要(1~3月期の増加分)を差し引いても、10%以上のマイナスになっており、単なる反動減ではない。
実は、消費増税の前から、賃金は上昇しないのに円安で物価が上がり、実質賃金は減少し続けていた。
そこに消費増税が追い打ちをかけ、実質賃金は3%を超える減少を続けている。
アベノミクスの恩恵は、大企業と役員・株主に集中している。
2013年度の上位500社の決算では、利益は12兆円→22兆円と、ほぼ倍加した。
ところが、肝心の従業員給与は14.7兆円→14.9兆円と、微増にとどまっている。
その一方で、内部留保は242兆円→262兆円と、20兆円も増えている。
さらに、株主配当は5.8兆円→7兆円、役員報酬は2015億円→2162億円と、かなり増えている。
『大企業の利益が、内部留保・役員・株主にばかり回っている事』、そこにこそ日本経済の最大の病因がある。
○ 高橋乗宣さん(元三菱総研の理事)の話
今回のGDPの減少は、駆け込み需要の反動というには大きすぎます。
今や、企業の設備投資は海外向けが主流で、企業は海外の生産拠点から商品を供給しています。
ですから、日本の輸出が(円安になっても)増える見込みはありません。
アベノミクスは、為替を円安に誘導しました。
その結果は、ガソリンなどの価格高騰で国民生活を痛めつけただけです。
こんな状況で消費税をさらに上げて10%にしたら、リーマンショックよりも影響が大きくなる恐れがあります。