(『新婦人しんぶん2014年9月4日号』から抜粋)
○ 島 洋子(琉球新報)の話
名護市辺野古へ行ったが、そこで奇妙な光景を見ました。
基地移設に反対する市民と対峙しているのは、オリンピック選手が多く在籍することで知られる民間警備会社(おそらくALSOK綜合警備保障のことだと思う)の人達です。
その後ろに県警の機動隊が居て、工事の発注者である防衛省職員はその内側に居り、米兵はゲート奥で様子見をしている。
『米軍基地の移設を、沖縄防衛局の職員が見守り、職員を県警が守り、県警を民間警備会社が守っている』と揶揄されている光景です。
抗議の座り込みに参加している人達を見ると、家族連れが何組もいました。
小学生の子2人を連れたお母さんは、「こんなにきれいな海が埋め立てられるのは、許せない。子供達にも、大人が基地に反対している光景を見せたいと思って。」と話す。
東京では政府側の人達が、「辺野古で反対しているのは、特定の活動家だ」と流布している。
しかし、辺野古の座り込みを見れば、真実が分かるでしょう。
8月23日には、3600人が何時間もバスに揺られて、辺野古に集まりました。
戦争体験者である、辺野古に住む85歳の女性と、普天間に住む86歳の女性は、「戦争につながる基地は要らない」と声を挙げていた。
民間会社の社員を最前線に立てて工事を強行しようとする日本政府は、このおばあさん達に正面から向き合えるのだろうか。
琉球新報と沖縄テレビの最新の世論調査では、81.5%が「安倍政権を支持しない」と答え、79.7%が「県内移設に反対」と答えています。
これが、沖縄県の世論なのです。
(毎日新聞2014年12月9日から抜粋)
沖縄の知事選では、米軍基地の辺野古移設に反対する翁長雄志が勝利した。
知事選と併せて行われた県議補選(名護市区)では、前共産党市議が勝利し、自民党公認の候補者は敗れた。
だが今回の衆院選挙では、米軍基地をめぐる議論が盛り上がっていない。
先の知事選の結果について、菅義偉・官房長官は「争点は辺野古だけじゃなかった」と語り、移設を進める考えを改めて示した。
日本政府(安倍・自公政権)は、沖縄知事選の3日後に、移設に向けた海上作業を再開する構えを見せた。
移設を取り巻く状況は大きく変わった事を、政府は直視する必要がある。
週末に行われる衆院選で、沖縄は接戦か野党候補の優勢が伝えられている。
自民党は、公約に「辺野古移設の推進」を掲げている。
だが安倍首相は、選挙演説で沖縄問題にほとんど触れていない。
政府内の一部からは、「衆院選で勝利すれば、沖縄知事選の敗北を帳消しにできる」との声が聞こえている。
民意をないがしろにしてはならない。