(東京新聞2015年4月28日から抜粋)
日米の両政府は、4月27日午前にニューヨークで、『日米の新ガイドライン』で合意した。
中東のホルムズ海峡を念頭に、「戦時の機雷掃海で、自衛隊と米軍は協力する」と明記された。
日本国内では、戦時の機雷掃海に公明党は慎重で、議論が続いている。
与党協議よりも、アメリカとの合意が先行する事になった。
新ガイドラインでは、「アジア太平洋地域を越えた地域においても、平和と安全に主導的な役割を果たす(軍事行動をする)」とした。
「周辺事態」という地理的な概念を削除した『重要影響事態』では、弾薬提供も含めて地球規模でアメリカ軍を支援していく事が盛り込まれた。
『存立危機事態』では、アメリカへの弾道ミサイルを日本が迎撃するといった、集団的自衛権に基づく米軍への支援を示した。
日米間の協議機関として、『日米同盟の調整メカニズム』の常設を明記し、自衛隊と米軍の一体化を強める方針である。
(実際には、自衛隊が米軍の指揮下に入るだろう)
国連以外が行う(アメリカが行う)復興支援と治安維持への参加を可能にし、自衛隊の駆けつけ警護と邦人救出作戦も可能とする。
平時から、海洋での監視や訓練で協力し、共同活動中のアメリカ軍を防護する。
与党(自民党+公明党)は、新しい安保法制について、まだしっかりとは決めていない。
にも関わらず、安倍政権は対米支援を約束してしまった。
何のための与党協議だったのか。
日米安保条約では、「日本と極東の平和と安定」が目的となっている。
今回の新ガイドラインは、その枠組みを超えて、地球規模になっている。
ガイドラインは条約ではないため、国会は関与できない。
だがガイドラインは、国際約束に等しい重みを持つ。
国会の承認を得ずに、政府の一存だけで合意したが、現実には大きな力を持つ。
まだ国会に提出すらされていない新法制を、安倍政権は日米間で決定した。
(正に国民を裏切る行為であり、『アメリカに隷属する政権』と言えます)
柳沢協二(1997年のガイドライン改定に関わった人)の話
「今回の新ガイドラインは、米軍の役割は今までと変わらないのに、自衛隊の役割は格段に増えている。
すごくアンバランスだ。
しかも、日本の役に立たず、むしろ日本を争いに巻き込む心配がある。
日米の共同訓練は、挑発行為になり、摩擦が起きて日本への攻撃を誘発する恐れがある。
もし有事になったらどうするか考えていないのも、問題だ。
自衛隊は『作戦を主体的に実施する』とあり、米軍は『支援および補完』だけとなっている。
このガイドラインを見ると、尖閣諸島の防衛には、沖縄の米軍海兵隊は出ない。
尖閣に出ないならば、海兵隊を沖縄に置く必要はない。
1997年の改定は、朝鮮半島の有事で日本が米軍を支援する想定が、はっきりしていた。
今回のは、米軍が何をするかがはっきりしない。
自衛隊がホルムズ海峡やマラッカ海峡までカバーしたら、自衛隊の力が分散して、日本の防衛は不可能になる。」
新ガイドラインの大きな特徴の1つは、集団的自衛権の行使を明記したことである。
世界規模で米軍の支援をして、アメリカに追随しようとしている。
「周辺事態」という言葉が、今回の改定では削除される。
アメリカは、中国が軍事進出を強めている南シナ海で、自衛隊が活動する事を期待している。
新ガイドラインに盛り込まれた「船舶検査」や「警備監視」を自衛隊が南シナ海で行った場合、中国との緊張は高まる。
国際協力の名の下に、「駆けつけ警護」を盛り込んだが、戦闘行為につながりかねない。
○村本のコメント
これを読むと分かりますが、安倍首相は「中国が日本を狙っている。日本の防衛力を高めるためには、アメリカ軍との連携がもっと必要だ。」と主張していますが、このガイドラインで日本の防衛力は高まりません。
自衛隊が海外にどんどん出て行って、アメリカ軍の代わりに(アメリカの下請けとして)活動するのが、目的なのです。
日本の安全保障とは、何の関係もないものですよ。
国民の多くは「安全保障のためだ」と考えていると思いますが、騙されていますね。
日本国民を蚊帳の外に置いて、アメリカに出向いて勝手に話を進め、その合意をテコにして日本の憲法を事実上変えようというのですから、完全に詐欺行為です。
いまの日本は、国のトップが詐欺を働いているのを、国民が目にしている状態です。
問題は、『どれだけの人が詐欺だと気付くか』ですね。
(2015年5月2日に作成)