安倍政権を見極める② アベノミクス③
保身目的で衆院解散

(東京新聞2017年9月22日から抜粋)

安倍政権(自公政権)は、2017年9月28日に召集する臨時国会において、冒頭で衆院を解散させると決めた。

野党は、森友学園や加計学園をめぐる安倍政権の汚職疑惑について、「政府の説明が不十分だ」として、臨時国会の召集を求めていた。

安倍政権はこれに3ヵ月以上も応じなかっただけでなく、冒頭解散することで審議をさらに先送りさせる。

民進党の前原誠司・代表は、「議論もせずに冒頭解散すれば、戦後初の暴挙だ」と批判している。

安倍晋三・首相は、これから始まる選挙戦で、「消費税を8%から10%に上げたら、その増収分を財政再建から教育無償化などにも回す」、との方針を打ち出すという。

「日本政府の財政のプライマリー・バランスを2020年度に黒字化する」という目標は、先送りするようだ。

安倍首相の掲げた「アベノミクス」は、経済成長によって税収を伸ばし、その果実で財政再建すると説いてきた。

しかし昨年度は税収が減少に転じて、異次元の金融緩和をしているのに、物価上昇の目標を達成していない。

安倍首相は「アベノミクスは道半ば」とくり返してきたが、(すでに安倍政権は4年半も続いており、)もはや(その言い訳は)通用しない状況だ。

消費税を社会保障にあてるのは、民進党の前原代表が訴えてきたものだ。

安倍首相が同じことを唐突に言い出したのは、争点つぶしが狙いだろう。

自民党内からも、「思いつきで言われても…」と不快感を表す声が上がっている。

民進党が打ち出す政策を自民党が盗むのは、他にも「同一労働は同一賃金」などがある。

問題なのは、看板は同じでも、自民党は中身を都合よく変えてしまう事だ。

(※そもそも自公政権は、公約をほとんど実行しない)

佐藤優(元官僚の作家)

「安倍首相が衆院解散・総選挙を行うのは、低下していた内閣支持率が北朝鮮のミサイル発射と核実験で上向いたのを、利用しようとしているのだろう。

安倍は、北朝鮮の脅威が以前とは比較にならないと主張しているが、それならば解散・総選挙で政治の空白をつくってはならない。

また、8月初めに内閣改造を行ってから、2ヵ月も経たないうちに衆院解散を行うのにも抵抗感を覚える。

森友学園や加計学園の問題が、選挙の争点として出てくると思う。」

日銀は、当初は2年間を想定していた「異次元の金融緩和」を、2倍以上の期間にわたって続けている。

この金融緩和はアベノミクスの柱だが、緩和を終える「出口」の段階では、金利を上げることで日銀は(国債買い入れの)多額の利子の支払いを迫られ、損失を出すことになる。

そうなれば、税金が投入される可能性もある。

だが日銀は、出口での国民負担の問題に触れようとしない。

早川英男(元日銀理事)

「出口での損失は、もはや大したことがないというレベルではない。

黒田東彦・日銀総裁は、(来年4月の)退任前に説明する責任がある。」

(※黒田は再任され、2022年8月現在も日銀総裁をしている)

上野剛志(ニッセイ基礎研究所)

「日銀は否定的な情報の全てにフタをして、金融緩和の副作用の存在を認めない姿勢を続けている。」

(※副作用を政治が認めないのは、コロナ・ワクチンだけではない)

(2022年8月30日に作成)


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