(毎日新聞2014年11月28日から抜粋)
○ 諸橋泰樹(フェリス女学院大学の教授)の話
安倍晋三・首相は、「女性の活用」について、フェミニズム的な見地から推進する人ではない。
彼は、イデオロギー的には「女性が輝く社会」とは正反対で、女性は家で子育てに専念すべきだという人である。
女性の活用や女性閣僚の起用は、ポーズ的なものでしかなく、本音を隠して女性の味方を演じているだけである。
その証拠に、登用した女性閣僚5人はいずれも保守的で、リベラルな女性たちではない。
自らのイデオロギーと共鳴し合う「お友達」でしかない。
(問題が発覚して)辞任した2人の女性閣僚(小渕優子と松島みどり)は、男性政治家の手法を踏襲しており、「カネを使った有権者への宣伝」で引っかかった。
自民党だけではないが、女性政治家が男性政治家の手法しか身に付けてこなかった「政党の人材育成のやり方」は、批判されないといけない。
女性が経済的に力を付けるために、雇用が確保されるべきである。
そのためにも、女性がフルタイムで働き易い職場や、女性がここで頑張りたいと思える職場が必要である。
男性が家事・育児・介護を半分は担うような働きかけや、税制面の優遇も大事だろう。
マスコミが女性を報道する時の取り上げ方も、ポイントになる。
選挙では、耳触りの良いことを述べて本音を隠す手法に、乗っからない(引っかからない)事が大切である。
日本人は、「誰かがやってくれれば」という発想が強すぎる。
その発想から抜け出してほしい。
(以下は、2014年12月20日に追記)
先日に衆議院選挙が行われました。
当選した議員のうち、女性がどれだけ居るかを、党別に示しましょう。
自民党 当選者数291人 女性数25人
民主党 73人 9人
維新 41人 2人
公明 35人 3人
共産 21人 6人
(※次世代、生活、社民は、女性の当選はゼロです)
これを見れば、どの党が「女性が輝く社会」を目指しているか、一目瞭然です。
もともと、女性や障害者の権利擁護については、社民党が最も熱心で、その次は共産党です。
自民党は、ずっと女性や障害者の権利拡大に反対してきたんですよ。
私は1990年代の後半に成人し、その頃からずっと日本の政治を見てきましたが、この傾向が続いてきました。
それが最近になって、高齢化が進み若年層が減って労働人口の減少が問題視されるようになると、自民党は「女性をもっと働かせよう」と言い出したのです。
私は、「自民党の本音は、女性の地位向上ではなく、女性がすり切れるまで社会で働かせることだ」と見ています。
労働者派遣法の改定で非正規雇用層を固定化しつつ増やそうとしている事から、それは明らかだと思います。
(現状では、女性の半数以上は非正規雇用です)
1つ1つを、冷静に見ていきましょう。
そうすれば、選挙で投票先に迷うことも無くなります。
(※以下は、2022年9月1日に加筆しました。
東京新聞2016年3月30日からの抜粋になります。)
「保育園落ちた日本死ね!」の匿名ブログ記事を機に、沸き上がった待機児童の問題。
日本政府(安倍政権)は2016年3月28日に、緊急対策を打ち出したが、保育士の処遇には触れず、「子供の詰め込み」ばかりを打ち出した。
この緊急対策では、保育の質を保つために手厚い基準を設けている自治体に、規制緩和を要求している。
「1歳児5人につき保育士1人の基準を、1歳児6人につき保育士1人にする」とか、「0~2歳児を19人以下としている定員を、22人に増やす」といった対策である。
3月28日の会見で、塩崎恭久・厚労大臣は、「都内の認可保育所は2184ある。各々が1人づつ増やしても待機児童は2184名減る」と述べた。
こうした政府の対策は、的外れである。
問題の本質は、「保育士の不足」「保育士の処遇の悪さ」であり、規制緩和をすれば保育士にさらに負担を強いられてしまう。
女性保育士
「詰め込みの保育から生まれるものは何もない。
先生たちはギリギリの状態であり、これ以上に担当する子が増えたら、子供の安全を守るのは難しい。」
別の女性保育士
「今のままで子供を増やせば、子供が泣いても対応できなくなる。
保育士がキツイ仕事で安い給料と知り、保育士の試験を受けない学生は多い。
こんな対策では、ますます人が集まらなくなる。」
安倍政権は、保育士の処遇改善については、「5月をめどに出す、一億総活躍プランで応えたい」とし、先送りした。
猪熊弘子(待機児童問題に詳しいジャーナリスト)
「保育士の処遇改善をせずに、規制緩和をするなんて、あり得ない。
子供5人に保育士1人の基準は、保育所と自治体が努力した成果です。
それを元に戻し、詰め込みで解消しようとするのは、あまりに乱暴だ。事故が起きかねない。」