(『しんぶん赤旗日曜版2022年12月11日号』から抜粋)
自民党と公明党(岸田政権)は、歴代の政権が「違憲」としてきた、「敵基地を攻撃する能力の保有」で合意した。
安保関連3文書に、これを書く方針である。
「存立危機事態」は、2015年に安倍政権が強行して成立させた、安保法制に盛りまれた規定である。
日本への攻撃がなくても、米国が攻撃されたら、「日本の存立危機事態」だとして、集団的自衛権を行使できるとする。
この規定を使って、米軍が敵国とする国の基地を、自衛隊が攻撃したならば、相手にとっては先制攻撃となる。
そして戦争になる。
防衛省は、存立危機事態を想定した作戦計画をつくろうとしている。
それを示す訓令を、しんぶん赤旗は入手した。
この作戦計画は、防衛大臣の命令に基づき、統合幕僚長が作成することになっている。
作戦内容は、ほとんど黒塗りで公開された。
すでに作戦計画書は策定していると思われ、2022年7~8月の米海軍の合同演習では、自衛隊も参加して、存立危機事態を想定した訓練を初めて実施した。
長く日本政府は、「平生から他国を攻撃するような、攻撃的な兵器を持つことは、日本国憲法の趣旨ではない」としてきた。
さらに「相手の基地を攻撃することなく、もっぱらわが国土とその周辺を防衛する」としてきた。
ところが岸田政権は、これを覆して、敵基地の攻撃能力を持とうとしている。
ASEANは、ASEAN10ヵ国と日米中など8カ国で構成する「東アジア・サミット」 を強化して、東アジアの友好条約をつくる「ASEANインド太平洋構想」打ち出している。
この構想は、特定の国を排除せずに、全ての国を包摂する平和な枠組みである。
日本共産党は、これを実現させるのを外交ビションにしている。
布施祐仁(ジャーナリスト)の話
「日米政府は、2015年改定の軍事ガイドラインで、共同作戦計画の策定を盛り込みました。
自衛隊が敵基地を攻撃する場合、米軍の情報に基づいてすることになるでしょう。
米国は、『イラクに大量破壊兵器がある』と言って、(2003年に)イラクに侵攻しました。
これは嘘の情報でしたが、当時の日本政府(小泉政権)は信じて、米国を支持しました。
だから敵基地の攻撃でも、米国の嘘を信じてしまい、他国を攻撃する危険があります。」
(2024年6月13日に作成)