(JB.PRESSの堀田佳男さんの記事から抜粋)
先日に、退役した米軍将校と会食した。
在日米軍に長く勤務した元将校は、「米軍の見解ではない」と前置きした上で、こう語った。
「正直に申し上げれば、普天間飛行場は必要ないです。
戦略上、沖縄に海兵隊は要りません。」
決して新しい論点ではない。
元将校は、「韓国に駐留する海兵隊で、極東の有事には十分に対処できる」と言う。
ワシントンにある「ケイトー研究所」のダグ・バンドー上級研究員も、「在日の海兵隊は必要ない」とフォーブス誌で述べている。
米軍のプレゼンスが希薄になった地域に、中南米がある。
陸軍将校のジョーチム・ハゴピアンは、こう言う。
「中南米諸国は、アメリカに依存しているように思われるが、ことごとく米軍の駐留にノーを突きつけている。」
現在、中南米で米軍基地があるのは、数ヵ国だけである。
その1つ、ホンデュラスのブラボ空軍基地には、数百人が常駐しているだけだ。
エルサルバドルのコマラパ基地は、25人にすぎない。
中南米では、過去30年ほど(※実際はもっと前からです)英米を中心にした新自由主義の経済政策が採られて、社会格差が広がった。
そして、「格差の原因は、アメリカ流の経済である」との考えが生まれた。
1999年に新自由主義に反旗を翻したのが、ベネズエラのチャベス政権である。
2003年1月にはブラジルのルラ政権、同年5月にはアルゼンチンのキルチネル政権、05年にはウルグアイのバスケス政権、06年にはボリビアのモラレス政権と、続々とアメリカから独立する政権が誕生した。
彼らは、アメリカ流に染まらない指導者たちだった。
ジョーチム・ハゴピアン
「ヤンキー・ゴー・ホーム(アメリカ人よ、自国に帰れ)の叫びは、中南米に共通する心理です。」
米国は、1980年代までは社会主義国であるキューバとニカラグアを警戒し、中南米に介入(軍事介入も沢山あった)をしてきた。
ソ連の瓦解後は、ペンタゴンやCIAは中南米から関心を失った。
日本でも「ヤンキー・ゴー・ホーム」は可能だ。
だが、現時点では日本人には、中南米諸国のように米国に「ノー」を突きつけるガッツがない。
以前にワシントンで会った元政府高官は、「日本が米軍基地を必要ないと決めたら、米国は従わざるを得ない」と、何気ない顔で話していた。
(2016年1月23日に作成)