(『しんぶん赤旗日曜版2023年7月30日』から抜粋)
沖縄県・名護市辺野古の(米軍)基地建設では、埋め立て予定地の大浦湾の側に、軟弱地盤が広がっている。
そのため、日本政府は(基地の)設計変更を迫られたが、それには沖縄の県知事の承認が必要である。
玉城デニー・県知事は承認せず、埋め立て工事は進んでいない。
防衛省は、(知事の承認がないのに)埋め立て用の土砂を置く工事の手続きを始めたため、市民が怒っている。
防衛省の工事を受注する関係者は明かす。
「辺野古側の工事はもうすぐなくなるが、防衛省は無理やりに仕事をつくっている」
沖縄平和市民連絡会の北上田毅さんは言う。
「防衛省の狙いは、工事が止まるのを避けて、順調に進んでいると見せかけること。県民の諦めを狙っている。」
元名護市長の稲嶺進さんが言う。
「辺野古の基地の埋め立ては、85%は軟弱地盤がある大浦湾側です。
自公政権(岸田内閣)の閣議決定した安保3文書で、再び沖縄が最前線の戦場にされそうになっています。
米国の戦争に巻き込まれて、沖岸を戦場にすることは、あってはならない。」
稲嶺進さんは、こうも語る。
「日本政府(自公政権)は、自分たちの都合で法律も条例も解釈し、閣議決定1つで憲法の解釈まで変える。
まるで専制国家です。
沖縄は、米軍の統治下に27年間も置かれた過去があり、その時は行政も司法も立法も牛耳られました。
そうした不条理は、日本に復帰後も変わりません。
玉城デニー知事は県民との公約を守り、辺野古の基地建設を阻止しています。
知事をしっかり支えていきます。」
軟弱地盤の改良には、349万立方メートルの海砂が必要とされる。
埋め立てに使う土砂は、県外からの外来生物の侵入防止の県条例があるため、県外から持ち込めない。
そこで防衛省が注目したのが、沖縄本島・南部の土砂である。
しかし本島南部は、かつて米軍が侵攻してきた時に激戦地だった所だ。
だから、今でも戦没者たちの骨が見つかっている。
このため沖縄タイムズなどは、「戦没者や県民を冒涜する判断だ」と批判している。
遺骨収集ボランティアの具志堅隆松さんは言う。
「沖縄戦で戦死した日本兵のうち、沖縄県外の人は6.6万人でした。
今も全国に遺族がいます。
その遺骨を土砂として、当時は敵軍だった米軍の基地建設に使うのは、裏切り行為でしょう。
本来ならば、遺骨を集めて遺族に帰すのが、国の仕事です。
防衛省のやっていることは、戦没者の使い捨てです。
昨年12月に閣議決定された安保3文書は、南西諸島の米軍と自衛隊を強化して、沖縄を相手国からの攻撃の盾にしようしています。」
(2024年5月6日に作成)