米軍基地
普天間は返還する約束が成されている
思いやり予算は毎年2000億円以上

(『ニュースを読む技術』池上彰著から抜粋)

沖縄には、日本にある米軍基地の75%が集中している。

とりわけ大きな基地は、「嘉手納基地」と「普天間基地」である。

嘉手納は空軍の基地で、普天間は海兵隊の基地である。

普天間に居るのは、主にヘリコプター部隊である。

1995年に沖縄で、米兵3人による少女暴行事件が起きた。

小学生の女児が、車に連れ込まれてレイプをされた。

沖縄の人々は激しく抗議し、これをきっかけにして、1996年に『普天間基地の返還』で合意した。

この合意で、5~7年以内に返還される事になった。

本当は2003年までに解決しなければいけなかったが、解決しないまま(返還されないまま)ズルズルと来ている。

民主党の鳩山政権は、「普天間を無くして、嘉手納と一緒にしたらいいんじゃないか」と提案した。

アメリカ政府が反対して、このアイディアは頓挫した。

嘉手納基地は、とにかく広大である。

基地内には、ゴルフ場、巨大なショッピングセンター、大学など、たくさんの施設が充実している。

ゴルフ場などの維持管理費は、日本の税金で負担している。

これを、『思いやり予算』という。

かつて円高が進んだ時に、米軍は「駐留の経費が高すぎる、何とかしてくれ」と日本政府に言った。

そして、日本政府(自民党政権)は経費を負担する事にした。

「負担しなければならない根拠は、どこにあるんだ?」と、報道陣に聞かれた自民党の金丸信(防衛庁長官)は、「根拠は思いやりだ」と答えた。

だから、『思いやり予算』と呼ぶのである。

思いやり予算は、当初は年間に62億円だったが、どんどん増え続けて、現在では毎年2000億円以上を日本が負担している。

鳩山内閣は、2010年5月に「普天間の機能の大部分を、県内の名護市の海兵隊キャンプ・シュワブ沖合に移設する」という方針を打ち出した。

「最低でも県外」という公約は実現できない事になり、鳩山内閣の支持率は下がった。

(2013年8月14日に作成)

(『東京新聞2021年12月11日』から抜粋)

日米の政府は、2022年度から5年間の「在日米軍・駐留経費」の日本側負担(思いやり予算)を、年平均で2100億円にすることで合意した。

(※5年の合計で1兆円を超える)

思いやり予算は、現行よりも100億円の増額となる。

日米政府は、この合意の特別協定を結ぶ予定だ。

思いやり予算は、在日米軍の駐留経費のうち、日米地位協定で日本に支払い義務のない負担を指す。

具体的には、米軍基地の電気・ガス・水道の料金や、従業員の給料などだ。

日本政府(自公政権)は、アメリカ政府の意向もあって、防衛費(防衛予算)を増やし続けており、7年連続で過去最大を更新させている。

自公政権は、アメリカ政府に逆らわない「いびつな関係」を続けている。

2015年に自公政権(安倍政権の時)は、日本国民の反対を押し切って、新安保法制を国会で成立させた。

そして自衛隊と米軍の一体化を進めてきた。

日本における米軍の駐留費は、ドイツや韓国に駐留する米軍に比べて、突出して高い。

(2023年10月2日に作成)


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