沖縄の米軍について
アジア・太平洋の米軍基地は繋がっており、1つの国になっている

(『なぜアメリカはこんなに戦争をするのか』C・ダグラス・ラミス著から抜粋)

(以下は、2001年に書かれた記事の抜粋です)

最近、在沖縄のアメリカ軍のアール・ヘイルス中将は、部下あての秘密電子メールで、稲嶺・沖縄県知事らを「バカで腰抜け」と呼び、世界的に有名になった。

なぜそう呼んだかというと、相次ぐ海兵隊員による沖縄の女性への犯罪に怒った県議会が『海兵隊の削減要求の決議』を可決したが、知事らがそれを阻止しなかったからである。

沖縄のアメリカ軍では、「アメリカの利益を守るのが、県当局の仕事だ」というのが、暗黙の常識になっている。

沖縄に平和研究所ができたのは、とても興味深い。

沖縄における平和研究には、いろいろな側面がある。

第二次大戦の末期の沖縄戦、戦後の反基地の運動史、アメリカ軍の市民への暴力、基地による環境破壊、沖縄への差別問題などがある。

沖縄にあるアメリカ軍を徹底的に調べれば、とても有意義なことになる。

私がアメリカ海兵隊にいた時、繰り返し言われたことは、「戦時の任務は敵を破壊すること、平時の任務は敵を破壊する準備をすること」であった。

絶対に忘れたり目をそらしたりしてはいけないのは、『軍の機能は人を殺すことであり、軍人は殺人の訓練や精神的な教化を受けている』ことだ。

従って、沖縄のアメリカ軍が誰を殺す準備をしているかが、重要な問題である。

アメリカ軍の作戦計画は、極秘文書であり、私たちには見せてもらえない。

しかし、アメリカ軍の存在は沖縄が攻撃される可能性を高くしており、沖縄の人々はそれを知る権利がある。

アメリカ軍から見ると、アジア・太平洋は1つの地域であり、アメリカの西海岸・ハワイ・グアム・日本・韓国などのアメリカ軍基地は、1つのネットワークになっている。

それらの基地の間では、軍艦も人も情報も自由に行き来しており、1つの国となっている。

もし戦争が始まれば、それらは一緒に行動する。

だから、沖縄のアメリカ軍を理解しようとすれば、ネットワークの全体を把握しなければならない。

アジア・太平洋地域のアメリカ軍は、核武装をしている。

当然ながら、核戦争の戦略計画を持っている。

日本は核兵器を持っていないが、アメリカ軍の核戦略に組み込まれている。

アメリカの戦略計画は、沖縄の人々の運命を決めることになるかもぢれない。

アメリカ軍の基地に反対する運動は、各地で展開されている。

共同での活動も可能だが、ネットワークは発達していない。

平和研究者は、ネットワークの強化に貢献できるはずだ。

非核フィリピン連盟のコラソン・ファブロスは、講演で「エシュロン」に言及した。

エシュロンはアメリカの諜報機関「NSA」が構築している盗聴システムのことで、あらゆる電子情報を盗聴している。

友好国の政府・企業・NGOも盗聴しているらしい。

(※最近になって、NSAの行う盗聴の実態が、エドワード・スノーデン氏の告発で明らかになった。友好国の日本も盗聴されていると判明した。)

ファブロスは、「フィリピンにアメリカ軍基地があった時は、その基地がフィリピンの政府や民間を盗聴する拠点になっていた」と言う。

そうであるならば、沖縄にある基地も盗聴している可能性が高い。

活動力のある研究チームならば、実態を明らかにできるだろう。

(2014年6月18日に作成)


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