食糧自給率は40%
日本は農産物の輸入大国で、その原因は贅沢な食生活にある

(『日本の課題40』池上彰著から抜粋)

日本の食糧自給率は、40%しかない。

農水省の試算では、TPPに参加すれば自給率は14%にまで下がるそうだ。

日本は、1960年~2009年の50年間で、農産物の輸入を7.3倍(金額ベース)にまで増やした。

この伸びは、肉や油脂をたっぷり使った料理・食品を、食べるようになったからである。

パンや肉を減らして、もっと米や国産の野菜・魚を食べれば、自給率は高まる。

日本は、人口は世界の2%弱だが、農産物の輸入では5.1%のシェアを占め、世界第5位である。

特に、小麦・トウモロコシ・肉では、世界第1位である。

大豆では、世界第2位である。

輸入先は、1位がアメリカ、2位は中国、3位はオーストラリア、4位はカナダ、5位はタイである。

この5ヵ国からの輸入が、全体の6割を占めている。

トウモロコシに至っては、96%をアメリカから輸入している。

アメリカのトウモロコシは高値が続いており、日本の畜産農家は別の飼料を必死に探している。

コメが飼料として注目されているのは、このためだ。

野田佳彦・内閣は、「TPPに参加して、同時に自給率を50%に上げる」と主張した。

これを実現するには、農業改革が必要となる。

(2013年8月8日に作成)

(毎日新聞2013年4月25日から抜粋)

自民党(安倍政権)は、今夏に行われる参院選の公約として、「農業・農村の所得倍増10ヵ年戦略」をまとめた。

農業の6次産業化の規模を、現在の1兆円から10兆円に拡大させ、輸出を倍増させるという。

農地の集約を進めて、経営効率を上げることで所得の倍増を目指す。

この10ヵ年戦略は、農水省の進める農地集約や規模拡大に、自民党が足並みを合わせた内容だ。

だが具体的な政策はなく、TPPへの農家の懸念を払拭するためのスローガンに近い。

現在は稲作の場合、作付け面積が1ヘクタール程度だと年収は110万円である。

10ヘクタール以上だと年収は500万円を超える。

自民党は「平均10ヘクタール以上」を目指すが、日本政府はこれまでも大規模化の政策を進めてきた。

その一方で、生産調整や戸別所得補償制度などで、零細農家が支えられ続けている。

日本政府は、1993年のGATTのウルグアイ・ラウンド合意を受けて、8年間で6.1兆円を農業対策に投じた。

しかし73%が公共事業や施設整備に使われ、農業の衰退を止められなかった。

(2022年9月1日に加筆)


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