(毎日新聞2013.5.24.から要約)
1965年の『日韓基本条約』では、付属協定の中で賠償請求権については「完全かつ最終的に解決された」と明記した。
日本政府はこれを根拠に、「元従軍慰安婦への補償は、解決ずみだ」としてきた。
一方で、1993年の河野洋平・官房長官の談話では、旧日本軍の関与を謝罪して、「道義的な責任を果たす」とした。
そして、95年に財団法人「女性のためのアジア平和国民基金」を設立して、「償い金を送る」などの活動をした。
同基金は、2007年に解散している。
韓国は、「元慰安婦の賠償請求権は、基本条約の対象外だ」と主張している。
韓国の憲法裁判所は2011年8月に、「請求権について政府が十分な努力をしていないのは、違憲である」との判断を下した。
維新の会の橋下徹・代表は、「賠償責任と道義的責任の間の、法的責任を考えたい」と言っている。
橋下は、「日韓基本条約があるので、賠償金を支払うのは難しい」とし、「責任と賠償金は、法的には別にできる」と述べた。
彼は、元慰安婦に対する国の責任を明記した上で、支援金の形で給付する法案を考えているようだ。
また、安倍晋三・首相は2013年5月23日の演説で、「わが国はかつて、アジア諸国の人々に多大な損害と苦痛を与えた。その事への痛切な反省が、戦後の日本の原点だった。」と発言した。
○村本尚立のコメント
50年近くも前の『日韓基本条約』に、絶対的な価値を置くのは、あまりにも思考停止的な発想だと思います。
単純に謝罪して、補償もすればいいと思うのですが。
1995年からの償い金は、「女性のためのアジア平和国民基金」という曖昧な名前にしたのが良くないです。
こういうごまかしを感じさせる名前は、かえって誠意の無さを相手に感じさせかねないです。
きちんと「元従軍慰安婦の方々に謝罪をするための支援金」と命名していれば、韓国の方々もかなり納得し、現在のようなこじれ方はしなかったと思います。