(以下は『東京新聞2023年2月9日』から抜粋)
東京オリンピック・パラリンピックをめぐり談合をしたとして、東京地検特捜部は、オリンピック大会組織委員会の運営局・元次長の森泰夫ら4人を逮捕した。
容疑は、テスト大会の計画立案業務の入礼、本大会の運営などで、400億円の随意契的をした事である。
特捜部は、電通を中心にして談合し、利益を分け合ったと見ている。
今回の談合は、組織委員会の理事だった高橋治之(たかはしはるゆき)が起訴された汚職の捜査で見つけた。
森泰夫の他に建捕されたのは、電通のスポーツ部門の逸見晃治、イベント制作会社「セレスポ」の専務の鎌田義次、「フジクリエイティブ・コーポレーション」の専務の藤野昌彦である。
森、逸見は容疑を認め、鎌田は否認している。
この4人は、共謀して2018年に受注予定企業を決めたという。
東京オリンピック・パラリンピックの競争入礼は、その実体は、大会組織委員会の主導で談合された、出来レースだったのか。
電達など9社と、1つの共同企業体(JV)の受注総額は、400億円に上る。
このスポーツ大会には、国と東京都のカネが8000億円も投入されている。
逮捕された大会組織委員会の森泰夫は、談合を上司に報告せず独断でやったのだろうか。
大会組織委員会の上層部の関与があったかが焦点だ。
東京オリンピック・パラリンピックでは、すでに15人が贈収賄で起訴されている。
(以下は『東京新聞2023年1月31日』から抜粋)
東京オリンピック・パラリンピックでは、関係者によると、一般競争入札の26件のうち、ほぼ半数が1社しか入礼していない。
森泰夫らが入札の調整をしたと見られる。
(以上は2024年6月2日に作成)
(以下は『毎日新聞 2025年6月23日の配信記事』から抜粋)
東京オリンピック・パラリンピックを巡る談合事件で、公正取引委員会は23日に、電通グループなど8社の独占禁止法違反(不当な取引制限)を認定し、うち7社に総額約33億円の課徴金納付を命じた。
対象企業は、電通グループと事業会社の電通、セレスポ、博報堂、東急エージェンシー、フジクリエイティブコーポレーション、セイムトゥーの7社。
ADKマーケティング・ソリューションズは、公取委に談合を自主申告したので、課徴金減免制度によって納付を免れた。
ADKを含む8社は遅くとも2018年4月2日以降、大会組織委員会が発注したテスト大会における計画立案業務の一般競争入札(契約総額5億円)と、本大会の運営業務などの随意契約(同432億円)について受注する社を調整し、競争を制限した。
具体的には、競技会場ごとに受注する社を調整し、テスト大会の落札者を本大会の随意契約でも同様の業務に振り分けるスキームを構築。
他社が落札予定の入札には原則参加しない合意をした。
合意形成では各社が直接連絡するのではなく、仲介者(ハブ)を通じて行う「ハブ・アンド・スポーク型」を採った。
ハブ役を担ったのは、組織委の大会準備運営第1局の元次長や、スポーツイベントを仕切ることが多い電通グループだった。
独禁法違反の課徴金は原則として、不当な売り上げの10%を算出する。
公取委は談合による不当な売り上げと認定。
その結果、課徴金はセレスポが約11・6億円に上ったほか、電通グループは主導的な役割を果たしたとして5割加算した算定率が適用され、約5億円となった。
この談合事件は、公取委が2023年に関係者らを独禁法違反容疑で検事総長に刑事告発し、刑事裁判が続いている。
今回の行政処分はこれとは別に、公取委が独自の判断で決定した。
電通グループは23日、「公取委の各命令は、当社及び電通の認識と大きく異なり、看過できない相違があります」とのコメントを発表。
命令の取り消し訴訟を提起することを明らかにした。
(以上は2025年6月27日に作成)