日本維新の会、馬場代表の正体

(『週刊文春2023年8月10日号』から抜粋)

日本維新の会は、「身を切る改革」や「政治資金の透明性」を揚げてきた。

だが、代表をつとめる馬場伸幸氏や、党本部を調べると、実態は違うと分かった。

表向きは企業・団体献金を禁止する維新だが、馬場氏が代表の「衆議院大阪府第十七選挙区支部」は、経営者からの献金が目につく。

旧村上ファンド代表の村上世彰氏は、2020年10月に第十七支部に150万円を献金し、同時期に党本部にも2000万円を献金している。

政治資金規正法では、政党への個人献金は年に2000万円が上限である。

上記の献金額の問題を『赤旗』が報じると、馬場氏は弁解して、収支報告書を訂正した。

ラブホテルの運営などをしている、「プラザアンジェログループ」。

その会長が、矢部嘉宏氏である。

矢部氏は2020年に120万円、21年に500万円を、第十七支部に献金した。

業界関係者によると、矢部氏は2009年に禁止地域でラブホを営業して逮捕され、風営法違反で有罪判決を受けている。

日本維新の会は、国会議員に月100万円支給される「文書通信交通滞在費」について、使途の公開を訴えてきた。

だが馬場氏は、自らが受給した中から、2016~21年に5318万円を、代表をつとめている政党支部「衆議院大阪府第十七選挙区支部」」に寄付している。

こうすることで、支出先が辿りづらくなる。

上脇博之・神戸学院大教授は言う。

「税金が原資の文書通信交通滞在費は、使途は国会活動に限定されています。

だが馬場氏ら維新の議員は、政党支部などに横流して、選挙などに充てている。

これは公金の私物化です。」

政治団体「日本維新の会本部」は、2016~21年の6年間に、9億6400万円を「日本維新の会・国会議員団」に支出している。

さらにそこから、「馬場伸幸」個人に2億4300万円を支出している。

その先の使途は不透明だ。

上脇氏が解説する。

「維新の会は、党本部から国会議員団という独自の政治団体への寄付を介して、馬場氏らにカネを渡している。

これはマネーロンダリングのようなもので、馬場氏らが政治資金を私物化できる仕組みだ。

情報公開とは真逆の態度です。」

(以下は『週刊文春2023年8月17,24日特大号』から抜粋)

大阪府堺市で4つの保育園を営む、『ドレミ福祉会』。
これを1代で築いたのが、西侑子(仮名、81歳)だ。

ドレミ福祉会の元理事のA氏が言う。

「馬場伸幸君は、認知機能が衰えた西さんを追い出し、理事長に収まっています。
非道な形で乗っ取ったという人もいます。」

ドレミ福祉会の年収は4億円ほどで、法人資産は15.7億円だ。

「日本維新の会」の馬場伸幸・代表は、2017年6月にドレミの理事となり、西侑子・理事長に次ぐナンバー2になっていた。

そして詳しくは後述するが、2023年6月に西氏を辞めさせて自分が理事長に収まったのである。

A氏が解説する。

「馬場事務所が、ドレミの法人資産と西さん個人の銀行通帳や印鑑を管理していると分かり、大変に驚きました。

西さんは老人ホームに入り、月45万円の支払いも馬場事務所が西さんの口座から出しています。

西さんは2億円の個人資産があり、土地も所有しているが、身寄りはありません。

馬場君は法的な後見人でもないのに、西さんを老人ホームに入れて、西さんの資産を管理しています。
しかも西さんに認知症の診断も受けさせていません。」

A氏は、弁護士を交えた話し合いを馬場氏に要求して、2023年4月10日に話し合いがもたれた。

A氏は、西氏が認知症が要介護3の認定を受けていることをふまえて、「後見人をどうするのか」と質問した。

馬場氏は、「西さんの財産管理は、西さんから一筆頂いています。西さんには成年後見人の制度はそぐわない。」と答えた。

成年後見人の制度は、判断能力に支障のある人の財産管理などを、後見人が代理する公的な枠組みである。

弁護士が、「ドレミの土地は、西さん個人の土地だが、将来的に誰の名義になるのか」 と質問した。

すると馬場氏の秘書が、「西さんの自筆で、亡くなったらドレミに寄贈すると書いてます」と答えた。

弁護士が「自筆証書遺言の形で?」と確認すると、「そうです、3年くらい前です。西理事長の物忘れが激しくなり始めた時に。」と秘書は答えた。

馬場氏側はこの話し合いで、西氏に認知症が出てきて、判断能力が落ちてきたのを知りながら、成年後見人制度を避けて、西氏に遺言書を書かせたり、自分たちに財産管理を任せるよう説得したのを認めた。

生田秀・弁護士が解説する。

「西氏の権利保護のため、成年後見制度を利用し、裁判所の監督の下で、 財産管理を行うのが望ましいです。

特定の人に財産管理を任せる意向が西氏にあった場合でも、任意後見制度を利用できます。

後見制度を利用しないと、適切に財産管理が行われているのかを第三者がチェックしないため、透明性に欠けます。」

2023年6月25日に行われた、ドレミ福祉会の理事会で、馬場伸幸・理事はこう切り出した。

「西先生は施設に入っているので、僕が代わりに理事長になります。」

定款では、理事長の選任・解任は、理事会の決議で可能となっている。

理事の大半は、保育園の園長やスタッフだった。

保育園のスタッフたちには、西氏の現状や、遺言書のことは、何も知らされていなかった。
理事のメンバーには判断材料が無かった。

こうして馬場氏の主導で、2023年6月25日付で馬場氏が新しく理事長になり、馬場氏の秘書が理事に就いた。

西氏と長く親交のあるB氏が、施設に入っている西氏を訪れたのは、2023年7月28日である。

B氏は言う。

「馬場氏に理事長が代わったと伝えると、西さんは『馬場に譲るなんて私が言うわけない。取り返そうと』と気色ばんだ。

施設の人に聞いたが、馬場氏らは西さんに報告に来ていません。

このままだと西さんの死後に財産は、ドレミ福祉会のトップにいる馬場氏のものになります。

乗っ取りが行われたとの懸念が強いです。」

ドレミ福祉会は、社会福祉法人であり、所得税が非課税になったり、国からの補助金を受けたりする組織だ。
だから高い透明性が求められる。

馬場氏に直撃取材したところ、「あなたに説明する必要はないから!」と言って、目線を合わせずに去っていった。

(以下は『週刊文春2023年8月31日号』から抜粋)

日本維新の会のトップは、馬場伸幸・代表だが、彼に「ドレミ福祉会の乗っ取り疑惑」が生じている。

ドレミ福祉会の元理事長である西侑子氏(仮名)と長い付き合いのA氏は、次のように説明する。

「私たちは馬場氏と会談して、認知症の出た西さんに成年後見人をつけるべきだと伝えました。
馬場氏は改めて報告すると、その場で約束しました。

ところが2023年6月25日に何の連絡もせずに、馬場氏は西さんを理事長から退任させて、自分がドレミの理事長に就きました。
そして馬場氏の秘書が理事になりました。」

取材をするため、西氏のいる老人ホームを訪ねた。

馬場氏がドレミ福祉会の理事長になった事を伝えると、彼女はこう話した。

「ウチ(ドレミ福祉会)を取るためや。なんで理事長があの人になるのか。

絶対に許せん!
そんなん認めてない。認めた書類はどこにあるのか。

一筆書いた憶えもない。了承もしていない。

私の個人財産は、死後は公けの所にいったほうがいい。
成年後見制度を活用したい。」

西氏の認知症は進行しているが、それでも意志表示が無効になるわけではない。

生田秀・弁護士が解説する。

「認知症であっても、本人が後見人をつけたいと考えれば、家庭裁判所に申立てをして、成年後見人を選任できます。」

西氏と古い付き合いのB氏は言う。

「A氏ら仲間と共に、後見申立てに協力していきます。

馬場氏の行っている事には、様々な疑義があります。」

(2024年6月16、25日に作成)


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