(『日本の課題40』池上彰著から抜粋)
『FTA(自由貿易協定)』とは、相手国を指定して貿易自由化を行う協定である。
FTAは、お互いに強みの違う国同士が、お互いの不足を補い合うかたちで取引できるため、リスクの小さい貿易協定である。
『EPA(経済連携協定)』は、FTAに「投資の自由化」や「人的交流の拡大」などを加えたものである。
EPAを結べば、日本企業は相手国に投資したり進出したりし易くなる。
その代わりに、相手国からは投資されたり労働者が来たりする。
FTAとEPAは、21世紀に入ってから急増している。
その理由は、スピーディーに交渉をまとめられるからだ。
WTOなど加盟国の多い組織での交渉は、新興国の発言力が高まった事もあって、調整が大変である。
そこにきて、途上国の多くが経済開放路線へとシフトしたため、FTAが加速した。
FTAやEPAは、相手を特定して優遇するというスタイルで、WTOの「平等主義」とは矛盾するものだ。
FTAは、交渉が進まないWTOにしびれを切らした国々が進めている。
韓国は、アメリカやEUという大きな相手とFTAを結んだ。
しかし韓国では、FTAへの反発が高まっている。