(『日本の課題40』池上彰著から抜粋)
TPPは、規模の大きなEPA(経済連携協定)である。
2006年に、ニュージーランド、チリ、シンガポール、ブルネイの4つの小国は、EPAを結んで発効した。
そこに、アメリカなどが乗っかったのである。
アメリカはTPPを、アジア太平洋地域の自由貿易圏づくりの基礎にしようとしている。
4つの小国がEPAをスタートさせた時点では、お互いを補い合う内容だった。
そこにアメリカが加わってきて、全く違うものになった。
日本がTPPに参加すれば、あらゆる面で大きな変化が起きる。
それに対して、TPP反対派は心配をし、TPP賛成派はチャンスと捉えている。
アメリカの保険会社がやってくれば脅威になるし、BSE牛の検査が甘くなったり、遺伝子組み換え食品が非表示になるかもしれない。
賛成派は、農業改革が進んだり、輸出産業が有利になると考えている。
(毎日新聞2012.12.2.から抜粋)
TPPは、シンガポール・ブルネイ・ニュージーランド・チリの4カ国が、2006年に締結したEPAを、拡大しようとする試みである。
TPPでは、物品貿易については、原則として全品目の関税を、10年以内に撤廃する。
サービス貿易、政府調達、知的財産などのあらゆる分野で、共通のルールを策定する事を狙っている。
交渉は、アメリカが主導権を握っている。
アメリカの狙いは、成長力のあるアジア太平洋地域への輸出を拡大することだ。
オバマ政権は、「輸出を拡大することが、国内の雇用改善につながる」と強調している。
2011年の日本の平均関税率は、5.3%である。
TPPの交渉に参加している11カ国の平均は、4.5%である。
日本は、工業品の平均関税率は2.6%と低いが、農産品は23.3%と高い。
そのため、農産品の関税の引き下げが焦点になる。