『グレート・リセット』クラウス・シュワブ&ティエリ・マルレ著の抜粋⑥
個人レベルでのグレート・リセット
(2022.4.30.~5.1.)

『グレート・リセット』クラウス・シュワブ&ティエリ・マルレ著の抜粋を書くシリーズ、その第6回目です。
最終回になります。

今回は、「個人レベルでのグレート・リセット」がテーマになってます。

なお『グレート・リセット』は、2020年6月に書かれ、同年7月に出版された本です。
そして著者のクラウス・シュワブは、世界経済フォーラムの主催者です。

抜粋の後には、私の感想を述べます。

〇『グレート・リセット』クラウス・シュワブ&ティエリ・マルレ著から抜粋

コロナ・パンデミックでは、人々の助け合いも見られた。

社会の利益のために、自分の利益を犠牲にすることが、重んじられるようになった。

パンデミックが拡大すると、「有名で金持ち」は輝きを失った。

経済が停滞すると、「頑張ればのし上がれる」との夢は消えるので、セレブ崇拝が瓦解するのだ。

パンデミックはじわじわと長期間続くので、他者に対して疑心暗鬼になりやすい。

明日に何が起きるか分からないと感じて、不安になるからだ。

パンデミック下では、噂やフェイクニュースが広まりやすく、人々はリーダーシップや権威を求める。

すなわち信頼できる人を求めるのだが、誰を信用するかが重要になる。

パンデミックでは、家族など身近な人との絆が深まりやすいが、愛国心や民族心がかき立てられ、排外主義が高まりやすくもなる。

パンデミックに連帯して対応しなければ、人類は滅びる。

だから私たちは、「良き本性」を奮い起こさねばならない。

2017年の時点で、世界で3.5億人が鬱病に苦しんでいた。

当時にWHOは、「鬱病は2020年までに主な病気の第2位になり、2030年には虚血性心疾患を抜いて第1位になる」と予測していた。

(※何を根拠に、WHOがこの予測をしたのかが気になる)

アメリカ疾病対策センター(CDC)が2017年に行った試算では、アメリカの成人の26%が鬱病だという。

コロナ・ウイルスが流行すると、報道はそれ一色になり、死亡者数や感染者数がしつこく報じられた。
センセーショナルな動画も添えられていた。

この事は、人々の心の健康を容赦なくむしばんだ。

ロックダウンが始まると、握手やハグが抑制された結果、人々の孤独感が募った。

失業した人には自殺者も出ているし、家庭内暴力も増えている。

強制の自宅隔離などで、人々はストレスに苦しんでいる。

ロックダウン中に、ビデオ・チャットが流行し、多くの人が救われた。

だがビデオ・チャットは、気疲れもする。

ビデオ・チャットでは、相手の言葉や顔の表情に集中し、アイ・コンタクトが延々と続くが、相手を怯えさせることもある。
上下関係があるなら、なおさらだ。

また、ギャラリー・ビューになると夥しい数の人が視界に入るが、脳の認知が圧倒されてしまう。

会話が終わる頃には、脳はぐったりと疲れ果て、やがて心の健康もむしばまれる。

パンデミックは、人々が内にある恐怖や不安と向き合い、自らを省みる機会ももたらす。

本当に大切なものは何かを考える機会でもある。

歴史を振り返ると、新しいタイプの個人や集団が現れるのは大概、経済や社会が混乱に陥った時だ。

パンデミックは、人々の考えや行動を進化させる、きっかけとなるだろう。

科学や芸術の分野では、特に創造性が発揮されそうだ。

かつてアイザック・ニュートンは、ペストの大流行でケンブリッジ大学が閉鎖すると、実家に戻って1年以上をすごした。

この期間にニュートンは、重力や光学の法則の発見にいたるアイディアを固めた。

シェイクスピアが1606年に多作だったのも、腺ペストの流行で劇場が閉鎖され、作品が上演されなかったからだ。

この1年間で、リア王、マクベス、アントニーとクレオパトラを書き上げた。

ロックダウンで時間にゆとりが出来た人もいるのだ。

コロナ流行が終わった後、「リベンジ消費」を予測するアナリストもいる。
やたらと買い物をすると考えているわけだ。

しかし自己抑制が働いたら、全く起きないかもしれない。

コロナ・パンデミックは、地球環境の悪化と気候変動の深刻さを知る機会になった。

(※この本は、コロナ・ウイルスの発生および流行が、環境破壊や気候変動で起きたと断定している)

だから派手な消費はすたれて、何であれ最新モデルを手に入れるのは、もはやステイタス・シンボルではなくなる。

高価なモノを買い、それをひけらかして自分をアピールするのは、時代遅れになるだろう。

失業や貧富の格差に悩むポスト・コロナの世界では、冨を誇示するのは受け入れられない。

今後については、日本から学べるかもしれない。

日本の特徴は、先進国でも社会格差が小さいことと、1980年代の後半にバブル経済が崩壊して以来、派手な消費が世界でも低いことだ。

現在の日本では、厳選して少ないモノを所有するメリットや、一生をかけた生きがい探し、森林浴などが習慣となっている。

これが各国で真似されている。

(※私は日本にずっと住んでいるから分かりますが、社会格差はどんどん開いているし、東京オリンピックに向けた建設ラッシュなど、第二次・安倍政権期の派手な投資や消費は目をおおいたくなる惨状でした。

また、生きがい探しや森林浴が、人々の習慣になっているとも思えません。

欧米人の日本観は、いつも過激になりますね。
ある時はやたらと理想化し、ある時はケダモノの野蛮人と評する。

きちんと日本のことを知っている欧米人は本当に少ないです。)

大量消費をしても幸福になるとは限らない。

消費行動を変化させることが、個人レベルでの「グレート・リセット」になる。

コロナ・パンデミックで学べたのは、自然環境が、現代人を悩ませている病気のほとんどによく効く解毒薬であることだ。

様々な分野の専門家が、「自然と触れることが心身を健康にする」と述べている。

パンデミックによって、自然環境の良さが再認識され、地球の環境保護や環境に配慮した消費が、より身近になった。

パンデミックの間ずっと、人々はソーシャルディスタンスや手洗いやマスク着用が感染から身を守ると教えられた。

だが他にも方法があり、自然との接触が多いほどウイルスに対抗できるのだ。

ウイルスへの抵抗力を高めるには、免疫力を上げて、炎症を抑えなければならない。

身体がいつも低レベルの炎症を起こしていると、心血管の不調や、鬱病や、免疫力の低下が起きやすくなる。

慢性の炎症は、都市部や工業地帯でよく見られる。

自然との触れ合いが減ると、炎症が起きやすいと証明されており、「森林に2時間いただけでサイトカイン・レベルを下げられる」と研究で示されている。

自然と親しみ、食生活に気をつけて運動をすれば、若返るとの研究が多数ある。

これも個人のグレート・リセットである。

グレート・リセットは、絶対に必要なものだ。

社会の根深い問題に対処せず放っておいたら、結局は戦争や革命のような暴力的な出来事で社会がリセットされる。
それは歴史が証明している。

私たちは変わる必要がある。

肝心なのは、世界の分断をなくし、環境汚染や破壊活動を減らしながら、パンデミック前よりも寛容で公平な世界を創ることだ。

とはいえ、グレート・リセットに合意していない人もいる。

そういう人は、状況はそのうち元に戻ると考え、「これまでもパンデミックや厳しい不況はあったが克服してきた。社会は立ち直るものだ。」と言う。

リセットに消極的な人々が挙げるもう1つの理由は、「世界の状況はそれほど酷くなく、いくつか解決すれば良くなる」というものだ。

確かに世界は、昔よりも良くなった。

平均寿命、識字率、パンデミックによる死者数など、歴史を通じてどんどん改善してきた。

しかしこの事実は、いま苦境にある人にとっては無意味だ。

アメリカの黒人は、昔よりも状況は良くなっているが、それを指摘して彼らの怒りは収まるだろうか?

彼らの祖先は150年前には奴隷で、50年前は白人との結婚が禁じられていた。

社会的な地位が改善したかは重要ではない。
状況が改善し生活水準が高くなると、より良い生活への期待も高まるのだ。

現在の黒人の抗議運動を見れば、グレート・リセットに早急に着手すべきと分かる。

現在のコロナ・パンデミックは、人類史を振り返ると、致死率が最も低いパンデミックである。

2020年6月末の時点で、世界人口で見た致死率は0.006%に満たない。

スペイン風邪の2.7%、エイズの0.6%よりも遥かに低い。

541年に流行し始めて750年に収束したペストでは、ビザンチン帝国の人口の3分の1が死んでいる。

コロナ・パンデミックの後は、公正さが前面に出てくるのは間違いない。

そして地球環境への深い懸念や、新技術を公益のためどのように管理するかも、我々のアジェンダ(課題)に新たに加わる。

グレート・リセットに不可欠なのは、国家間の協調だ。

「志向性の共有」がなければ、人類の進歩はない。

2030年の持続可能な開発目標(SDGs)を、むしろ加速させるべきだ。

コロナ危機で、私たち(世界経済フォーラム)の失敗があらわになった。

私たちは、失敗したアイディア、制度、ルールを、早急に刷新しなければならない。

コロナ危機をきっかけに、人類を脅かす4つのグローバルな危機に対処すべきだ。

①核兵器の脅威 ②気候変動 ③資源の浪費 ④世界中に広まった生活水準の格差 の4つだ。

私たちは今、岐路に立っている。

一方の道は、より寛容で、より公平で、母なる自然に畏敬の念を抱く世界だ。

もう一方の道は、これまでの世界に逆戻りすることだ。

〇村本尚立のコメント

今回の話は、私も大いに共感できるものです。

あまりツッコミ所がありません。

とはいえ、「パンデミックに連帯して対応しなければ、人類は滅びる」とおおげさな事を言ってますが、私はコロナで人類が滅びることは無いと思います。

最後のあたりで、「コロナは人類史で最も致死率の低いパンデミックである」と言っているのに、なぜそれで人類が滅びるのか。

コロナよりも凄いパンデミックが過去にいくつもあり、世界は連帯して対応しなかったのに、人類は滅びなかった。

それが、なぜ今のコロナだと、連帯しないだけで人類が滅びるのか。

論理破綻してます。

一番最後の所で、「私たちは今、岐路に立っている」と言ってますが、『神との対話』などの偉大なスピリチュアル本からパクったフレーズに見えて仕方ないです。

「スピリチュアルの格好良いとこ、パクったろ。お前」と思ってしまいました。

金儲けばかりを考え、長く地球の破壊活動を先導してきた、各国の権力者や、多国籍企業の経営者たちや、国際金融資本家たち。
その集まりが、世界経済フォーラムです。

そんな連中が、「私たちは今、岐路に立っている。寛容な社会を創り、地球環境をきれいに保全しよう。」とか言い出すと、眉につばを付けたくなります。

ぶっちゃけた話、180度の路線変更をしているので、インチキ臭くて仕方ないです。

世界経済フォーラムに集まる連中は、悪行を重ねた者も多く、簡単に信用できません。

本人たちにも信用されてない自覚があるらしく、「有名で金持ちは輝きを失った」とか、「高価なモノを買い、それをひけらかして自分をアピールするのは、時代遅れになる」とか、コロナ・パンデミックに絡めて反省の弁と取れることを書いてますね。

『グレート・リセット』を読んでいて、上から目線の論調がかなり気になりました。

書いてることの半分くらいは賛同できるのですが、どうも文章から感じる高飛車なエリート気取りが好きになれません。

「公平とか寛容とか、数百万円~数千万円の会費をとる世界経済フォーラムを率いるお前が言うな!」と思っちゃうんですよね。


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