TBSの土曜番組「報道特集」では、統一教会を何度も取り上げており、なかなか充実した内容です。
今日はそれを「安倍晋三・暗殺事件の勉強⑧」として取り上げます。
〇TBSの「報道特集 2022年7月30日の放送」から抜粋
2021年9月に、統一教会の関連団体である「UPF(天宙平和連合)」が開いたイベント。
そこにドナルド・トランプ元大統領が、ビデオ・メッセージを送った。
日本の安倍晋三・元首相もビデオ・メッセージを送り、こう述べた。
「朝鮮半島の平和的な統一に向けて努力されてきた、韓鶴子・総裁をはじめ皆様に、敬意を表します」
このメッセージは、オンラインで全世界の信者たちに向けて発信された。
韓国の統一教会の現役信者が、取材に応じた。
この男性は40年前に入信し、現在は幹部になっていると言う。
男性信者
「私は安倍晋三に、かなり悪い印象を持っていました。
竹島の問題、従軍慰安婦の問題、教科書の問題、軍国主義の政策が、安倍政権にあったからです。
しかし、あのビデオ・メッセージを見て、大変に驚きました。
信者の皆が驚きました。
安倍氏を否定的に見ていた信者たちが、すごく良い人なのだと、イメージを大きく変えました。」
(※こういう狂信的、かつ従属的な宗教の信者は、すごく単純な思考をしているのが分かる。
安倍が自分の利益のために、リップ・サービスで言ったことを、真に受けて評価をガラリと変えてしまう。)
この男性信者は、1992年の合同結婚式で、日本人の女性と結婚した。
今も韓国で一緒に暮らしていると言う。
男性信者
「私が結婚した合同結婚式では、中曽根康弘・元首相がビデオ・メッセージを送ってきました」
上記した安倍晋三のビデオ・メッセージは、それを依頼したのはUPF(天宙平和連合)の日本支部・会長の梶栗正義だった。
梶栗はそのいきさつを、信者に向けた動画でこう語っている。
「3人の元首相に出演を打診したが、断られた。
そこで私は安倍に対し、『もしトランプが出演するなら、あなたも出ますか?』と訊いた。
そうしたら、『ああ、それなら自分も出なくちゃ』と、安倍は2020年の春に話した。
安倍から『やりましょう』との答えが来たのは、2021年8月24日だった。
安倍政権の8年間に、6度の国政選挙があったが、私たち(統一教会)が(選挙協力して)示した誠意を、安倍はちゃんと記憶していた。」
私たち報道特集は、統一教会の内部資料を入手した。
そこには、日本人信者の毎年の献金総額が書かれていた。
1999年の献金の総額は、653億円だった。
2000年は640億円、01年は322億円、02年は520億円、03年は606億円、04年は669億円、05年は668億円、06年は469億円である。
2009年に統一教会は、(そのあくどいカネ集めが訴訟にもなったので)、「コンプライアンス宣言」(無理な献金を求めないとの宣言)を出した。
だがその後も、献金額は減っていない。
2009年の献金総額は585億円、10年は575億円、11年は594億円となっている。
統一教会の別の内部資料を見ると、TD(Thanks Donation)という文字があった。
これは「感謝献金」の意味で、『日本から韓国に送金した額』を書いたものである。
2009年には230億円、10年は255億円、11年は295億円、と送金されている。
別の資料には、韓国の統一教会の関連財団への(日本からの)送金額が、日付入りで書かれていた。
この財団には、日本から2013年度は、合計で133億円が送金されている。
また、資料に出てくる「HK」は、「Henkin(返金)」を意味している。
これは、裁判(訴訟)の結果、教団が信者側に支払った損害賠償などの金額である。
2009年は32億円、10年は27億円、11年は21億円となっている。
「コンプライアンス宣言」が出た2009年以降も、訴訟や賠償額がそれほど減っていないのが分かる。
1960年代から70年代にかけて、「アメリカ統一教会」(統一教会のアメリカ支部)で政治部門の幹部だったのが、アレン・ウッドである 。
彼は教団から抜けており、取材に応じて色々と証言してくれた。
アレン・ウッド
「文鮮明(統一教会の教祖)は、権力者たちを支配しようと考えました。
信者に『統一教会が世界を支配している』と信じさせるためです。
そこで、権力者たちにメッセージを送らせて、それを宣伝に使ったのです。」
1970年に日本武道館で、統一教会系の「国際勝共連合」が、「WACL世界大会」を開催した。
この大会で、ウッドは司会を務めた。
大会中に、(右翼の大物の)笹川良一が講演で言った言葉が、ウッドは忘れられないと言う。
(※笹川良一は、国際勝共連合のリーダーの1人だった)
アレン・ウッドは言う。
「笹川良一は、講演中に自分の胸を叩きながら、『私は文鮮明の犬だ』と言いました。
日本の大物右翼がこう言った時、『我々は世界を支配できる』と私は思いました。」
文鮮明ととても親しかった日本人の1人が、岸信介だった。
1982年の合同結婚式に、岸は祝電を送った。
その2年後の1984年に、岸信介はアメリカのレーガン大統領に対し、次の手紙を送った。
「大統領にお願いします。
文鮮明・尊師は、アメリカで不当に収監されています。
あなたの協力の下で、何としてでも、一刻も早く、彼が解放されるようにお願いします。」
当時、文鮮明は脱税で有罪になり、アメリカの刑務所にいた。
レーガン政権は、岸の手紙を話題にしたというが、文鮮明を釈放しなかった。
その後、刑期を終えた文鮮明は、1992年に来日した。
この時に日本政府で、文鮮明の来日実現のために働きかけたのは、金丸信・自民党副総裁だったという。
そして来日中に、文鮮明と中曽根康弘・元首相は会談した。
アレン・ウッド
「アメリカ統一教会は、1970年代に反共産主義を掲げることで、(アメリカにおいて)影響力が増した。
特に共和党と深く繋がりました。
(共和党の)レーガン大統領は、ワシントン・タイムズを見せながら、『私が読んでいる新聞はこれだけだ』と言いました。
ワシントン・タイムズは、文鮮明がオーナーの(統一教会系の)新聞です。
この新聞は、プロパガンダのための新聞です。
統一教会は、アメリカ政界に入り込もうとして、共和党に対しては大成功しました。」
アレン・ウッドは、選挙協力についても証言した。
「共和党の大統領候補になった、レーガン、ブッシュ親子、トランプは、統一教会の大々的な支援を受けました。
信者が資金を集めたし、信者が全米各地で戸別訪問して支持を広げました。
父ブッシュは、『統一教会の信者がいなければ、私の勝利はなかった』と発言しました。」
アレン・ウッドは、大物政治家が統一教会のイベントに出席したり、メッセージを送る際に、多額の報酬が支払われていたと語る。
「ブッシュ大統領が任期を終えて、韓国に行って統一教会で講演した時は、1回の講演で100万ドルが支払われました。
レーガンにも、1回で100万ドルを支払いました。」
このカネは、統一教会が洗脳した信者たちから巻き上げたものである。
2021年9月の統一教会のイベントに、トランプ前大統領がビデオ・メッセージを送ったことは前述したが、アメリカ共和党と統一教会の繋がりは現在も続いている。
アレン・ウッドは言う。
「文鮮明は、『イデオロギーで心を掴めなければ、カネで買収するのだ』と言ってました。
統一教会は政治団体であり、そのゴールは権力を握ることです。」
アレン・ウッドは、統一教会を脱会した後、アメリカ議会の公聴会で証言している。
2年前に、トランプ支持者たちが連邦議会に突入する事件があった。
この時、文鮮明の息子である文亨進が創った「サンクチュアリ教会」の信者も、突入に参加していた。