11月16日に、『サッカー日本代表・男子のオランダとの親善試合』がありました。
オランダは世界屈指の強豪国なので、どうなることかと思っていました。
結果としては、2対2のドローで、日本の内容は最高レベルでした。
この試合での日本のサッカーは、先のコンフェデ杯での対イタリア戦と並ぶ出来で、長い男子代表の歴史でもベストのものの1つでした。
選手たちは、それぞれが自分の役割をしっかりと把握しており、それに加えて「与えられた役割以上の事をしてやろう」との積極性がありました。
強豪国オランダにも物怖じせずに、がんがんと前に出て行き、圧力をかけていました。
私が特筆したいのは、『先制点を入れられて、さらに追加点を入れられて0対2になったのに、日本選手から積極性とやる気が失われなかったこと』です。
これがあったからこそ、2対2のドローに出来たわけですが、今までの日本にはここまでのメンタリティは無かったですよ。
かつての日本は、格上の相手から先制されて、2点差をつけられたら、もう諦めムードが漂ったものです。
日本の選手には、自信が一貫してありました。
むしろオランダの方が、時間が経つにつれて自信を喪失し、プレイから精彩が消えました。
サッカーの内容よりも、この日本のメンタリティの向上に、私は驚きましたよ。
得点シーンについて言うと、オランダの得点シーンが個人の能力に負ったものだったのに対して、日本の得点シーンは総力を結集したものです。
日本の2点目の得点シーンは、パスが1タッチで繋がっていく、実に美しいものでした。
今年の日本代表のゴールの中では、ベスト・ゴールでしたよ。
このクオリティの攻撃をすれば、世界のどのチームが相手でも得点を奪えます。
ここからは、もう少し細かく話していきます。
まず前半ですが、長谷部さんのパスが良かったです。
良いパスを連発していました。
普通だと死角になるポジションの選手に、良いパスを供給していく彼を見て、「良いパスを出せるようになったなー」と感じました。
前半の終わりに、長谷部さんのパスから、大迫さんが得点しました。
あれは、見かけほど簡単なシュートではありません。
大迫さんは、決定力を見せましたねー。
あとは、長友さんのオーバーラップも印象的です。
彼は、ずっと良い動きを続けていて、コンディションが良さそうですね。
後半になると、遠藤さん、香川さんが出場してきました。
彼らが入ると、サッカー・スタイルが変わり、ボールがピッチ全体に広く回るようになりました。
オランダが消極的になった事もあり、後半は日本のペースでずっと行きました。
日本のボールキープ能力やパス能力は、どんどんと向上しており、今や世界でも屈指です。
それが、この試合で完全に証明されました。
「日本が、上手くパスを回したり、良いポジショニングを続ければ、一方的に攻め続けられること」は、オランダにも通用した事実から見て明らかです。
この試合が日本のペースで進んだのは、『オランダがボールを取った時に、日本は自陣に安易に引かずに、すぐにボールを奪い返しにいったから』です。
この動き(守備のやり方)は、選手たちの連係がいいと非常に有効な戦術なのですが、この試合では日本の連携はほぼ完璧でした。
この試合では、GKは西川さんが起用されました。
彼は、とても安定感があり、パス能力も高く、感心します。
私としては、川島さんよりも安心して見ていられるので、西川さんの方が好きです。
このままの流れで行けば、そのうち西川さんがレギュラーになると思います。
ボランチに起用された山口さんは、地味ながらよいポジショニングをしていました。
ボランチには他にも、細貝さんがいますが、ポジショニングの良さとか、冷戦な判断力において、山口さんの方が上だと思います。
この試合で、ただ一人精彩がなかったのが、柿谷さんです。
彼は、この数試合、どうも機能していません。
私が思うに、柿谷さんは、もっと自由を与えて、色んなエリアに動かした方がいいと思います。
真ん中でずっと張っているというのは、彼の良さであるボール・コントロール能力を活かせない気がします。
柿谷さんを入れる時は、「0トップ」みたいな感じにして、本田さんがトップの位置に入って柿谷さんがサイドに流れるとか、柿谷さんがMFの位置にまで下がって、空いたスペースに誰かが走り込むとか、流動性を持たせるといいと思います。
こうした流動性のある戦術は、高い戦術理解度が必要なのですが、柿谷さんは戦術眼がまだ不足している気がします。
彼は凄い可能性を感じるので、頑張ってほしいですね。
日本代表の出来がすごく良かったので、次のベルギー戦にとても期待しています。
ぜひ、勝ってもらいたいですねー。
オランダ戦と同じやり方で行けば、勝てる可能性は充分にあります。