特定秘密保護法案⑥
各新聞の論説を見た その感想 NHKについても
(2013.11.29.)

特定秘密保護法案は、「知る権利」や「言論の自由」を、縮小させようとする意図があります。

つまり、メディアへの悪影響がモロにあります。

この法案が成立したら、間違いなく取材活動は今までよりも制限されるでしょう。

ですから、この法案への態度で、『その新聞がどのような信念や意識を持っているか』が測れると思うのです。

私は、昨日に図書館に行った際に、各紙の論調を調べてみようと思いました。

(図書館には、たくさんの新聞が置かれています)

そして、この法案が衆院で可決された翌日(27日)の、各紙の取り上げ方を見ました。

その感想を、ここで書きます。 各紙についての評論みたいな内容です。

まず、「毎日新聞」です。

これは私の家がとっているので、図書館に行く前にすでに知っていました。

ですから、今回は毎日を基準にして、他紙と比べるという形になります。

結果を先に言うと、毎日は、一番深く掘り下げていて、かつ分かり易い内容でした。

この法案の奥にある危険性を指摘して、「知る権利や報道の自由が担保されていないので、廃案にした方がいい」と、きちんと主張しています。

以前に日記のページで扱った事もあるのですが、毎日は紙面の構成を変えたり、活字を変えたりして、読みやすい記事にする工夫もしています。

他紙と比べると、読みやすさは歴然としています。
他紙は、この点はぜひ真似をしてほしいですね。

私は、大震災と原発事故の後、とっていた日経新聞がきちんと原発について報道を展開しないので失望し、各紙を読み比べたうえで、毎日新聞に乗りかえました。

それが間違いでなかったと、再確認できました。

次に、「朝日新聞」です。

こちらは、毎日と同じような論調でした。
でも、毎日がはっきりと反対を打ち出しているのに対して、少し曖昧な感じがしました。

言い方が、回りくどい感じがするのです。
「思っている事は、もっとガツンと主張しろよ」と思いました。

それに紙面の構成が、やや読みづらいですね。もっと読みやすさを意識するといいです。

次は、「読売新聞」です。

一応は、法案の欠陥や、曖昧な内容で恣意的な運用ができる危険性を、指摘していました。

でも、追求が弱いし、危機感を持っていないのが伝わってきます。
記事のページ規模も、少なかったです。

読売は、活字(字体)が読みづらいのも、気になりますねー。

以前からすごく読みづらいので、そのうちに直すだろうとずっと思っているのですが、一向に改善しないです。
読者はそういう点を指摘しないのでしょうか。

次は、「産経新聞」です。

大変に失望しました。
今回の読み比べの中では、最低点です。

この法案は、『取材を規制する事になる』という、ジャーナリズムにとっては重大な法案なのに、「出来るだけ触れないでおこう」との意思が見て取れます。

各紙が衆院可決を大きく取り上げる中で、わずかしか触れていません。

賛成だと明言している感じではありませんが、法案の内容や与党の強行採決についての苦言はなく、唯一の大賛成派と言えるでしょう。

紙面の構成・配置は、一番ひどいです。 とても読みづらいと思います。

新聞界の底上げのためにも、読みやすい紙面に改めてほしいです。

産経を読んでいる方は、ぜひ他紙も手に取ってみて下さい。
特に毎日については、読みやすさに衝撃を受けると思います。

最後に「日経新聞」です。

経済に特化している新聞なので、スルーしているかと思いきや、読売や産経よりも法案の問題点を指摘していました。

ただし、ボリュームとしては少なく、本気でこの法案と向き合う姿勢は無かったです。

読み比べをして感じたのは、「こんなにも論調や扱い方に差があるのか」という驚きです。

『新聞(報道)は、中立性が大切である』という金科玉条がありますが、実際にはそれは不可能なのだと、改めて感じました。

人間が運営・記述をする以上、客観的とか中立というのは、そもそも無理があります。
そういう不可能なものを、過度に掲げるのは、むしろ欺瞞だと思っています。

それでも、ここまで論調が分かれるのは、すごい。

こうした論調の違いは、報道の自由があるから成立するわけで、これからもこうした各紙の個性を発揮するためには、特定秘密保護法案は廃案にする必要があります。

それぞれの主張があるのは、大切で素晴らしい事だと思います。
それについては、何も言う事はありません。

ただ今回は、取材活動を制限する法案のため、『報道の自由』というメディアにとっていちばん大切なものが、かかっています。

だからジャーナリストが、法案について盲目的な賛成をしたり、見て見ぬふりをするのは、有り得ないと思うのです。

産経や読売の態度は、私には自殺行為に思えます。
この法案に対しては、ジャーナリズムは一致団結して反対を主張した方がいいと思うのですけど。

率直に言って、この法案に明確な反対を言わないジャーナリスト達は、私には理解できません。

27日には、NHKの「NEWS WEB」を見ました。

そこでは特定秘密保護法案について、政治部のデスクの人が出てきて解説をしました。

その解説が、法案を表面的にサラッと撫でるだけの、何の内容も掘り下げもないものだったので、大変に失望しました。

「 おいおい、そんなレベルの解説は、小学3年生でも少し調べたら出来るぞ。

  小学生の高学年でも、きちんと調べたら、もう少しましな解説をするんじゃないか。

  どうした、NHK。 」 と思いましたよ。

NHKは、ドキュメンタリー番組で面白いものを作ったり、海外制作の興味深い番組を放送するなど、私はよく視聴をしています。

しかし局としての公式見解が、このデスクのような薄っぺらいものならば、失望の極みです

NHKさん。もう少しきちんと解説して下さい。

私は見ていて、呆れてしまいました。

(12月2日に追記)

以下は、神奈川新聞2013.11.28.から抜粋

桂敬一さん(メディア研究者)のコメント

「 1985年に国家秘密法案(今回と似た内容の法案)が提出された時は、情報を
  知らされずに言いなりになった戦前の苦い記憶が、国民に残っていた。

  だから、メディアは早くから危機感を訴えて、世論も反応した。

  (その結果、廃案になりました)

  今のメディアは、感度が弱く、危機を感じ取っていないのではないか。 」

桂さんは、安倍政権が「安全保障の環境が激変した」と法案の必要性を説明する事についても、「1985年の時のソ連が、今は中国に変わっただけだ」と、疑問を呈しました。


日記 2013年10~12月 目次に戻る