日本版NSCと特定秘密保護法案の真意は、
戦争をできる体制にしていくこと
佐藤優さんの解説②(2013.12.4.)

(佐藤優さんの「くにまるジャパン」でのお話しの紹介、後半です。)

質問者

今回、石破茂・自民党幹事長は、「国会議員も特定秘密保護法案の対象者だ」と発言しました。

佐藤優

現在は国会内には秘密会がありませんが、法案が通ったら秘密会が行われます。

こうなるんです。

例えば、国会議員の奥さんが外国人だった場合、その議員は秘密会への参加資格がない、という事になります。

あるいは、かつて学生運動で逮捕歴があるとかね。
これは自民党にもいます。

そういう人たちは排除される可能性があります。

こうなると、国民の代表である国会議員が、選挙以外の理由によって排除されます。

こんな事が認められていいのか。

質問者

そうなると、国会そのものの存立も危なくなりませんか?

佐藤優

正にその通りです。だから『統帥権』なんですよ。

統帥権という発想は、民主的な政治となじみません。

NSCと特定秘密保護法案の発想(思想)は、突き詰めていくと、必ず民主主義になじまなくなります。

国家権力がいちばん暴走するのは、戦争の時(戦争に向かう時)なんですよ。

だから、NSCと特定秘密保護法案については、まず国民は考えなくてはいけません。

『本当は、戦争の問題なんだよ。
 日本は今、戦争できる体制に転換しようとしている
 (安倍政権がしようとしている)。』

 これが、本質なんです。

安倍内閣が戦争への体制を作っている事に対して、
「国際情勢が変わっているから仕方ない」と考えるのか、
「どんな情勢でも、戦争という手段はとらない。これが敗戦から学んだことだ」と考えるのか。

これは、国民的な議論をした上で、選挙を経て決めなくてはいけません。

それなのに、なし崩しになっちゃっているのです。

そのうちには、秘密会の多数決で、議員を除名にする事だってできるかもしれません。

そうなれば、合法的に野党を全部追い出すことだって出来るわけです。

私は、特定秘密は必要だと思います。

特定の公務員に、特に重い義務をかける必要はあると思うんです。

でも、一般人に共謀などがかかるようにしてはいけない。

秘密を漏らすかどうかを調査(監視)する機関は、警察になるでしょう。

だから特定秘密保護法案が成立すると、急速に警察に力が付きます。

ですから、警察が戦前の内務省化していく可能性があります。

外務省や防衛省の人たちは、これに気づいていない。

警察の目にいつもビクビクしながら、外交や防衛活動をする事になります。

こうなれば、今度は防衛省が、「情報保全隊を、憲兵組織にする」と言い出すかもしれません。

戦前は、軍事機密は特高警察も触れなかった。
国防保安法に関するものは、憲兵の管轄でした。軍法会議がありましたから。

「じゃあ、軍法会議を作ろう」となる可能性もある。

自衛隊は、「警察の目があると、うまく活動できない。軍のことは、軍で自立的にやりたい」と言い出すかもしれない。

戦争をするためのボタンは、従来は心理的な部分での厳重なカバーがありました。

そのカバーが、ボロボロになりかけています。

それを証明しているのは、宮崎駿・監督の『風立ちぬ』への評価・反応なんです。

風立ちぬは高く評価されていますが、あの作品の最後の方では、主人公のライバルが作っている飛行機が、一瞬だけ映ります。

あの飛行機は、実在した海軍の爆撃機で、中国の重慶で無差別爆撃をした戦闘機です。

この重慶の無差別爆撃は、世界初の無差別爆撃で、国際社会から大指弾を受けました。

そして、東京大空襲や、原爆の投下や、沖縄への大空襲を、アメリカが正当化するのに使われたのです。

風立ちぬは、「美しい戦闘機を作るんだ」というストーリーの中で、『爆弾を落とされる側の視点』が消えています。

最後に爆撃機が出てくる場面で、「爆撃機は美しい飛行機だ」という結論になっている。

そして、皆がその事に違和感を覚えない。

爆弾を落とされる側の視点がない状態だと、NSCとか特定秘密保護法案は簡単に通っちゃうんです。

日本国民の多くは、「負け戦」になった時を考えていません。

攻撃する側になる事しか考えていない。ここが僕は怖いです。

こうした感覚には、「サブ・カルチャー」も関係しています。

サブ・カルチャーに、軍事・戦争へのリアリティが無くなっている。

「戦争はきれいだ、兵器はきれいだ」という感覚は、怖い事です。

○ 村本尚立のコメント

佐藤さんの話を聞いていたら、「安倍晋三さんは、ヒトラーを目指しているのか?」と思えてしまいました。

冷静に見つめると、今の自民党はファシズムの色が濃いです。

ぜひ自民党には、他者の意見にきちんと耳を傾けるという、常道に戻っていただきたいです。

佐藤さんは、「特定秘密は必要だ」と言っていますが、私はそうは思いません。

ここは、考え方が違いますね。

風立ちぬについては、私は観ていないので、佐藤さんの指摘している事が妥当なのかが分かりません。

面白い話なので、書いておきました。

「世界初の無差別爆撃は、日本がした」というのは、衝撃です。

こういう日本の暗部・恥部は、なかなか日本では知らされないのですね。
私も今まで知りませんでした。


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