サッカー日本代表 W杯最終予選
オーストラリア戦の感想
(2013.6.7.)

6月4日のオーストラリア戦で、サッカー日本代表がブラジルW杯への出場を決めました。

劇的な展開で1対1と引き分けて、W杯への切符を手にしました。
日本全国が、かなり盛り上がっていましたねー。

とりあえず、無事にW杯に出られる事になったので、おめでとうございます!

出場枠が増えているので、日本が出られるのは当然になっている状態ですが、やはり決まると安心しますね。
もしW杯に出られなかったら、日本のサッカーの火が消滅すると思うし…。

色々と感じる事があったので、書いていきます。

すぐにコンフェデレーションズ・カップがあるし、日本代表が前進するために、私なりの提言をします。

試合を観ていて強く思ったのは、「日本は、良いサッカーをしているなあ」という事です。

結果は1対1でしたが、今までの日本代表でもベストといえる位のサッカーをしていたと思います。

オーストラリアは、韓国と並ぶアジアでは強いチームで、これまでも苦戦してきました。

今回は、そのライバルに対して、日本のホームというアドバンテージがあったにせよ、ほとんどの時間は日本が有利に進めていたし、ずっと押し込んでいました。

日本を見ていて一番いいなーと感じたのは、『ディフェンス・ラインを高く保つように心掛けていたため、相手にボールを奪われても、すぐに奪い返せていたこと』です。

特に、前半35分~後半30分までは、ほぼ完璧でした。

この時間の日本は、ディフェンスの最終ラインをセンターラインのあたりに置き、全体をコンパクトにしていました。

高い位置からどんどんプレスをかけていたので、オーストラリアは攻撃をできずに、日本にすぐにボールを奪われていました。

オーストラリアは、この時間帯はほとんど何も出来ていませんでした。

日本が失点した時間帯は、日本は疲労のために、ディフェンス・ラインの押し上げが遅くなっていました。

疲れていても頑張ってラインを上げ続けていれば、あの失点は無かったと思います。

ずっと日本が押していたので、めったにない形で失点した後も、「多分、同点に追いつけるだろう」と、私は思っていました。

PKという形で同点になるとは、さすがに予想できなかったですけど。

この試合は、とにかく本田さんと遠藤さんがすばらしかったです。

本田さんがボールをキープしてくれるので、香川さんはとても活き活きとプレイしていました。

本田さんについて、多くの人は「フィジカルが強いから、ボールをキープできる」と言うのですが、彼はいま足の状態が悪くて、フィジカルが強いとは言えない状態です。

それなのに常にボールを維持できるので、「まじに凄えよ」と感嘆しました。

私が思うに、本田さんがボール・キープできるのは、ボールの置く位置や、身体の入れ方が上手いからです。

フィジカルで決まるなら、オーストラリアの選手の方がはるかに凄い身体をしていますから、彼らの方がキープできるはず。

純粋にテクニックの問題なので、日本の他の選手も本田さんから技を盗めば、同じ様にキープできるようになると思います。

次に、遠藤さんについてですが、本当に最高でした。

完全にゲームをコントロールしていましたねー。

この試合の遠藤さんは、シャビなどと比べられる位に、うまくボールをさばいていました。
今までの代表戦で、一番の出来だったんじゃないでしょうか。

あまりに見事な配球をしているので、見ていて「ここを徹底マークで止められたら、日本は終わるんじゃないだろうか」とすら思いましたね。

見ていて痛感したのですが、遠藤さんに皆が頼りすぎです。

頼れるだけのパスセンスを持っているのは事実ですが、本当はもっと他の人もゲームの組み立てに参加した方がいいです。

長谷部さんがもっとパスセンスを磨いてくれると、最高なんですけどねー。

日本代表の皆さんは、本気で世界一を目指しているようなので、あえて厳しい事も言わせてもらいます。

『遠藤さんの他にも1~2人がゲームの組み立てを出来るようにならないと、世界の頂点には立てない』です。

いま世界最強のスペインは、ゲームを組み立てられる人が、シャビ、イニエスタ、ブスケツ、シャビ・アロンソと、何と4人もいるのです。

4人もいるために、相手はターゲットを絞れずに、やられてしまうのです。

もしシャビ1人しかいなかったら、そこを徹底的にマークされて、スペインのパス・サッカーは機能しないでしょう。

日本が今の状態でW杯に出た場合、勝ち上がっていくと研究されて、「遠藤がゲームを作っている。彼を止めれば日本は機能しなくなる」という事が分かってしまうと思います。

遠藤さんが厳しいマークされても、他に組み立てられる人がいれば、そこから展開できるし、遠藤さんが犠牲になる事で他の選手たちは自由にプレイできる状態になります。

長谷部さん、本田さん、香川さんが、ゲームを組み立てられるようになれば、かなりスペインに近づいていけると思います。

控えの中村さんや清武さんあたりも、有力な候補でしょう。

最後に、「日本が得点をどんどん出来るようになるには、どうすればいいか」を説明します。

一般的には、「シュートが下手だから得点できない」とか「ラストパスが通らないから得点できない」と思われているようですが、私はそうじゃないと思います。

日本が得点できないのは、『攻撃の展開が遅いから』です。

この試合では、「良い所まで攻め込みながら、最後の崩しが出来ずに相手の最終ラインに止められる」というパターンが、とても多かったです。

ぱっと見ると、「おしい! 次はラストパスが通りそうだ」と思うのですが、実は相手の守備を崩しきっていないので、何度やっても決められないのです。

では、どうすればいいのか。

答えは、『もっと1つ1つのパスを速くすること(速いペースでどんどんパスを繋ぐこと)』です。

日本の場合、シュートに持ち込むまでに、7~12本くらいのパスを繋いで、相手の守備を崩していきます。

これ自体はいいのですが、パスを繋いでいくスピードが遅いので、相手が対応してしまうのです。

もっとパス・スピードを速めて、相手チームが混乱したりマークする選手を見失うように、洗練させていく必要があります。

具体的に言うと、『現在の1.3倍くらいのパス・スピード』で繋いでいけるようになれば、相手が対応しきれなくなり、ラストパスが「スッー」と通ると思います。

単純に「パス・スピードを上げろ」と書きましたが、これを実行するには「判断力」や「パス技術」「連動性」「最適な位置にトラップするセンス」「広い視野」「受け手が空いているスペースに飛び出すセンス」など、様々な分野での向上が必要になります。

今の日本代表の選手たちは真面目そうなので、地道に努力をしていけば、出来るようになると思います。

もし日本のパス・スピードが1.3倍だったなら、今回の試合は4対1くらいで日本が圧勝していたでしょう。

今回のオーストラリア戦では、何度か日本のセンターバックが(吉田さんと今野さんが)、ドリブルで相手陣内の深くに入り込む時がありました。

あれはFCバルセロナがよくやる事なのですが、すごく良かったと思います。

あれをやると、相手の陣形が崩れるので、膠着している時はかなり効果的です。


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