なでしこジャパンの試合、5月8日のニュージーランド戦、5月14日のオーストラリア戦を観ました。
私はこの2試合を見て、『なでしこは良い流れになってきている。新しいサッカー・スタイルに向かい始めている。』と感じました。
4月1日の日記は『なでしこジャパン アルガルベ・カップを観た感想 なでしこの課題』とのタイトルで書き、「なでしこは、パス・サッカーにもっと徹して、パス・ワークをもっと向上させないといけない」と指摘しました。
その点が、この2試合において見事に実践されており、以前よりも主導権を握って(ボールをキープし攻撃の時間を増やして)サッカーを出来るようになってきています。
私は今の流れを大変に評価するし、「このまま進めば、なでしこジャパンは強くなっていく」と確信しました。
以前のなでしこジャパンの問題点は、パス・サッカーを志向しながらもそれに徹しきれず、厳しい局面(相手が押し込んでくる時間帯)になるとどん引きになってしまう事にありました。
どん引きになると陣形が崩れ、精度の低いボールクリアーを連発する状況に追い込まれてしまいます。
そのためボールを奪ってもキープ出来ず、すぐに相手ボールになってしまい、相手の波状攻撃を受け止め続けることになり、結局は相手のフィジカルの強さや高さにやられて失点してしまうのです。
今回の2試合では、相手が押し込んできても安易に下がらず、ボールを奪ったら落ち着いてボールを回して、ディフェンス・ラインを一定の高さにキープしていました。
その結果として、試合の主導権を握り、日本のペースで試合を進められました。
私がもう1つ評価するのは、『新しい有望な選手が出てきていること』です。
この2試合では、今までとは出場メンバーが変わってきており、高瀬さん、木龍さん、川村さん、などが起用されたのですが、彼女達がなかなか良いのです。
高瀬さんは、ポストプレイでしっかりボールをキープできていた。
木龍さんは、トラップやドリブルに非凡なものを(センスの良さ)を感じさせます。
川村さんはCBですが、ヘディングの競り合いに強く、カバーリングにも良いセンスを感じさせます。
彼女たちは、まだ未熟な所がありますが、成長していけば非常に良い選手になると感じました。
つまり、なでしこジャパンの選手層が厚くなってきているのです。
あとは、『宮間さんがとても成長していること』も目に付きます。
彼女は、前回のW杯ではまだテクニックに難があり、「根性の人」という印象でした。
つまり、メンタルの強さで勝負するタイプだったのです。
それがこの2試合では、FCバルセロナのシャビ選手を思わせるような、見事なパス配給(ゲームの組み立て)をしています。
私は心底から驚きました。
絶妙なロングパスやスルーパスを通す彼女の正確なパスワークには、感心することしきりでした。
私が気になったのは、ボランチの阪口さんなんです。
彼女は、ボールのキープ力やパス配給力にまだ未熟な部分があり、オーストラリア戦では何度もボールを奪われて、ピンチを招いていました。
彼女が宮間さんくらいに落ち着いて良いパスを供給できるようになれば、なでしこは一気に強くなると思います。
あとは、GKの山根さんも、私は見ていてまだ不安です。
山根さんは、187cmと大柄なのを買われているのですが、セービング技術、判断力、パス能力、精神的な落ち着き、というGKに必要なものがまだ十分でないと思います。
試合を見ていると、「大丈夫だろうか…」と心配になる事が多いです。
本人が自覚をしていると思うので、これからの成長に期待します。
色々と書きましたが、なでしこジャパンが停滞期を脱して、新たなステージに入ったのは間違いないです。
彼女達のプレイぶりからは、以前よりも活気を感じます。
ぜひトラップとパスの精度をもっと高めて、華麗なパス・サッカーを築き上げてほしいです。
そうすれば、W杯の連覇も夢ではないです。