安倍政権を見極める③ 地方創生
(2014.12.10.)

(毎日新聞2014年12月9日から抜粋)

今年の5月に、1つのリポートが衝撃を与えた。

『2040年には、896の市区町村が消滅している可能性がある』

発表したのは、民間有識者でつくる日本創成会議である。

来年の統一地方選挙のために地方向けの政策を探していた自民党は、このリポートを契機に「地方創生」を打ち出した。

そして衆院解散の当日(2014年11月21日)に、「まち・ひと・しごと創生法」を駆け込みで成立させた。

だが、政策の具体化はこれからだ。

鳥取県は、19市町村のうち、13町が消滅可能性都市に挙げられた。

その中の1つである若桜町は、2年前から65歳以上が人口の4割を超えている。

対応策として、保育料の完全無償化を開始した。

だが町の財政収入の8割は、地方交付税や国庫支出金に依存している。

町税などの自主財源は、1割しかない。

地方の人口減少の原因には、東京への一極集中がある。

首都圏への人口集中度が3割というのは、諸外国に比べて高い。

安倍首相は、遊説先で当地の特産品を持ち上げ、地方創生をアピールしている。

「新潟は、おいしいお米も野菜も魚もある」
「和歌山のかんきつ類はすばらしい」

しかし実は、地方の活性化は以前から取り組まれてきた。

竹下登内閣(1987~89年)は、「ふるさと創生事業」を打ち出し、全国の市町村に1億円を交付した。

使途は自由で、自由の女神像、金のしゃちほこ、温泉掘削など、計画性のない使い方が話題になった。

小渕恵三内閣(98~2000年)では、2万円分の「地域振興券」を交付して、消費を刺激しようとした。

第1次・安倍内閣(2006~07年)では、「頑張る地方応援のプログラム」を行った。

意欲的な自治体に、地方交付税の一部を配分した。

民主党の菅内閣(10~11年)は、「地方自主戦略交付金」をつくり、補助金の一部を自治体の裁量にまかせた(一括交付金にした)。

第2次安倍内閣(12年~)は、一括交付金を13年に廃止し、各省庁の「ひもつき補助金」に戻した。

鳥取県智頭町の寺谷町長は言う。

「東京一極集中を創ったのは政治。

偽物の政治を続けた結果、地方の人口減につながった。」

○ 村本のコメント

自民党政権は、ずっと「地方を豊かにする」と言い続けてきました。

しかし、土建業と結びついて無意味な公共事業をくり返すなど、本当に地方を活性化する政策をしてきませんでした。

第1次・安倍政権でも、実体はともかくとして、「地方応援プログラム」をしたわけです。

でも、状況は変わりませんでした。

これを見れば、自民党には真の地方創生ができないのは、明らかだと思います。


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