アベノミクスが始まってから、2年以上経ちました。
安倍政権は、消費増税後は景気が低迷を続けているにも関わらず、「景気は回復している、順調だ」と言い続けています。
実際には、先日の世論調査でも一般の人々は苦しい生活を続けており、「景気は悪化している」との感想の方が、「景気は回復している」という方よりも多数でした。
世論調査では、政治に求める事は一貫して、「景気を回復してほしい」が1番に挙がります。
私は、「景気が回復すれば、生活が良くなり、幸せになれる」という発想は、安直すぎると思います。
「収入が上がり、金回りが良くなれば、幸福になれる」という考え方には、物質主義に凝り固まった浅はかさを感じるし、卑しいものすら感じます。
でも、多くの国民が『景気回復』を第一の望みとしており、それがずっと続いています。
そこで今回は、私が「これをすれば景気は良くなる」と考える道を書こうと思います。
タイトルに書いているので、すでにお気付きでしょうが、「真に日本の景気を回復させたいならば、消費税を下げて、最低賃金を上げるのが、ベストだ」と私は考えます。
私は、経済にもそれなりの関心を持ち続けてきたし、本や新聞を通して様々な方の経済論に接してきました。
そうして15年くらいを経た今、思うのは「好景気とは結局のところ、より多くの国民の手元にお金が届き、それがスムーズに使われて、クルクルと市場でお金が動いていく状態である」です。
経済学者は色々と云うのですが、国民が実感できる好景気(一部の人だけが感じられるニセモノの好景気ではないもの)とは、これに尽きると思います。
国民の全員にお金がきちんと届き、それが迷い無く使われていけば、お金の流れは良くなり、自然に景気は上がります。
逆に言うと、一部の人の所に大量のお金が集まったり、人々がお金を使うのを渋ったりすると、流れが悪くなり景気は悪化します。
この『経済の究極の真実』を考えた時、自然に『消費税を下げる、最低賃金を上げる』の政策が浮かんでくるんですよ。
今の日本経済のいびつさは、「ある人の所には大量のお金が集まり、ある人の所にはちっとも届かない」ことから生まれています。
「大量に持っている人が使えば、流れが生まれるので、格差があってもいい」と言う人がいますが、お金は細かく使われたほうが(大金が一気に動くのではなく、多くの人が小金で動かしたほうが)良い流れになります。
一言でいって、『色んな人が、色んな場所で、お金を使う(動かす)と、お金は一番機能する』のです。
血液と同じ働きだと考えて下さい。
全体にきちんと行き渡って、スムーズに循環している時に、もっとも効果的な(健康的な)働きをします。
『お金』については、多くの人が勘違いをしていると思います。
人間の価値を測るものとか、大量に入手すれば幸福になれるものとか、絶対的に信頼できるものと、考えていませんか?
本質的には、お金は『流通をスムーズにするための道具』であり、『あらゆる物やサービスと交換できる便利な交換券』に過ぎません。
図書券や電車の切符と、本質的には変わりません。
圧倒的に交換性が高いので、別のものだと考えてしまう人がいるのですが、それは幻想です。
日本で流通しているお金は「日本銀行券」だし、券なので絶対的な価値はなく、インフレなどで価値が暴落する可能性もあります。
実際に、強度のインフレで紙くずになってしまう例は、近現代史を見渡せばいくらでもあります。
何が言いたいかというと、『お金は流通をスムーズにする道具にすぎないのだから、きちんと皆に分配をして、社会が効果的に機能するようにしなければならない』です。
お金に変な幻想を抱かず、「1つの道具」だと分かっていれば、国民の皆にきちんと届くようにするのが当然だと理解できます。
話は元に戻ってくるのですが、『皆にきちんと届けて、しっかりと使わせる』という観点からすると、「消費税」はどう見ても有効ではありません。
人々は消費を渋るようになるし、所得の少ない人ほど負担が強いため格差も開いていきます。
結果として、お金は上手く動かず機能しなくなって、不景気になります。
昨年4月に8%に増税されてからの日本経済を見れば、しっかりと理解できるでしょう。
逆に言えば、消費税を下げれば、人々は今よりもお金を使いやすくなり、お金は動きを増して景気は良くなります。
そして、「最低賃金を上げれば」、現在はお金をきちんともらえない(届けられない)人々の状況は改善して、彼らが経済的に機能するようになるので、日本全体のお金の流れも良くなります。
誰かにきちんとお金が届かない状況って、人体で例えると、血流がどこかで止まっている状態です。
放置しておいたら病気になるじゃないですか。
「貧しい人に分け与えると、その分だけ自分のほうが貧しくなってしまう。だから嫌だ。」と考える人が、富裕層には多いのですが、経済全体を(社会全体を)考えればきちんと分配したほうが機能するのです。
全体がきちんと機能すれば、富裕層にだって長期的には豊かさが還元されます。
率直に言って、今の最低賃金額だと、1人では生活できません。
暮らしが成り立ちません。
そんな状態を放置しているから、日本全体もおかしな事になるんですよ。
きちんとした暮らしが成立するには、時給で1300円が最低ラインでしょう。
これならば、8時間の労働をすれば1万円強になり、それを月に20日すれば月収で20万円を超えます。
これだって、ギリギリです。
これを払えないならば、その会社は機能しておらず、歪んだ構造をしているんです。
残業しないと生活が成り立たないとか、残業代が出ないなんて、とんでもない話です。
犯罪的な状況ですよ。
労働者はもっと怒り、ストライキなどの手段も辞さずに対処したほうがいいです。
最低賃金を高い値にしておけば、人々は「解雇された場合でも、新しい仕事に就けばとりあえず生活は成り立つ」と思えるので、安心感が生まれてもっと迷いなくお金を使えます。
心理的に全然違いますよ。
消費税については、それを下げたり無くしたりすると、財政が破綻すると考える人も多いでしょう。
しかし、今の政治家や官僚に任せている限り、消費税率に関係なくいずれ財政は破綻するでしょう。
なぜなら、彼らは信じられない位に無責任だからです。
財務省、自民党、公明党、民主党などは、「財政再建のためには、消費増税が必要だ」と言います。
でも、私は彼らを見てきて、「本当に財政再建を目指しているのではない」と、完全に見抜いています。
財政再建をするのならば、法人税を下げたり、やたらと補助金を色んな企業に出したり、大型の公共事業を次々としたりは、しないはずです。
今の政府のしている事を見て下さい。
国から補助金をもらった企業が自民党議員に献金する汚い癒着、東京オリンピックのためと言い訳して公共事業にバンバンお金を使う。
めちゃくちゃな事をしています。
それで「お金が足りない」と言われてもね……。
私は断言しますが、「財政再建にはどうしても消費税が必要だ」というのは、嘘です。
無駄使いが多すぎるのが、根本の原因ですよ。
最後のまとめになりますが、経済や景気回復については、難しく考える必要はありません。
国民の全員にきちんとお金が回るようにすれば、自然に上手く行きます。
それをしないから、いつまでも本当の景気回復が起きないのです。