女子サッカーのW杯が開幕し、日本は初戦の『対スイス』を9日に行いました。
結果は1対0での勝利となり、決勝トーナメントに進むための大きな「勝ち点3」を得ました。
とりあえず、おめでとうございます。
スイスは強豪国の1つなので、勝てて良かった。
この試合では、前半の途中で安藤さんが負傷退場し、その後の検査で足首骨折が判明しましたね。
残念な事ですが、こういう事もありますよ。
安静にして順調に回復することを願っています。
私は誰かを追加招集できるのだろうと思ったのですが、大会規定で追加招集はできないとの事。
けっこう厳しいですね。
FWは岩渕さんも負傷しており、現在は大儀見さん、菅澤さん、しかいない状態です。
1つ提案したいのは、『上尾野辺さんをMFで起用して、大野さんをFWに持っていく』というものです。
上尾野辺さんは、日本代表ではサイドバックで起用されていますが、私はなでしこリーグを観て彼女の基本技術の高さと攻撃センスの素晴らしさを知りました。
彼女は、日本でも屈指のテクニックを持っている選手で、ベンチに置き続けるのはもったいないです。
安藤さんが離脱し、新聞によると川澄さんと永里さんのコンディションは上がっていないという。
ならば、上尾野辺さんの出番ですよ。
大野さんは、最近はスピードに切れ味がありません。
でも、シュートの精度は全く衰えていない。
だから、サイドMFに置くよりも、FWとして前線に置いたほうが活きると思う。
2トップならば大儀見さんと並べて、1トップならばスーパー・サブとして彼女を使えばいい。
誰がサイドMF(もしくはウイング)になるにしても、縦への突破を積極的に仕掛けてほしいです。
最近の代表は、そこが足りないと思います。
川澄さんは、インタビューで「自分はパサーだ」と言ってましたが、縦に仕掛けないと全く輝かない人だと私は思います。
せっかくスタミナがあるんだから、動かないともったいないですよ。
上尾野辺さんは真ん中もサイドも出来る人ですが、サイドで使われたらガンガン縦への動きを見せてほしい。
左サイドの宮間さんも、もう少しドリブルを仕掛けたり、縦に抜けてボールをもらったりした方がいいと思います。
スイス戦では、後半10分に澤さんと川村さんが交代したあたりから、自陣に押し込まれてしまう展開になりました。
私は、生放送を観た時は「川村+阪口のボランチコンビが機能していないから、押し込まれている」と感じました。
でも、録画してあったので昨日にもう1度観たところ、「監督の指示で、あえて前線からのプレスに行かずに、引いて守備的に闘ったらしい」と気付きました。
1点を守りきるために、後半10分くらいからは守備を固める戦術を取ったらしい。
1対0で勝ったのだから、それが間違っていたとも言えない。
W杯では、強豪国は先制すると、守りを固めて逃げ切る策をとる場合もあります。
日本がそれをやるとは。
日本代表は前回王者だし、世界ランキングは4位で、強豪国そのものです。
だから、その策をとるのも一応理解できる。
「強豪国らしく老獪に闘った」と考えるか、「日本のパス・サッカーらしくない消極的な闘いをした」と考えるか。
微妙な所です。
私として、あれは日本らしくないし、もっと強い相手だと失点してしまうと考えます。
あれをドイツなどにしたら、失点しますよ。
日本代表の失点パターンって、男女共に、『相手のMFとSBにプレッシャーをかけられず、精度の高いクロスをペナルティエリア内に入れられた時』が多いんです。
フリーでボールを持つ相手選手を、あまり放置しないほうがいい。
スイスはパス技術があまり無かったから大丈夫でしたが、ブラジルとかドイツだったらペナ内のFWにぴったりと合うラストパスを上げてしまうと思います。
私が気になったのは、『川村さんの守備の仕方』です。
彼女の守備は、他の選手とアプローチが違っているので目立ちますね。
なでしこジャパンは、守備の時に2人~3人でボールホルダーを囲んでボールを奪うことが多い。
川村さんは、澤さんらとは違い、味方と連動してボールホルダーを囲むことを、ほとんどしません。
川村さんは、1対1での守備を続けているのに、けっこうボールを奪取できるんですよ。
だから、別の視点からいえば、個の力が高い。
あと、状況を見てカバーリングするのも、彼女は上手いですね。
熊谷さんが前線に上がっている中でボールを奪われた際、すぐさま熊谷さんの代わりにCBの位置に入ってました。
川村さんは、良いものを持っているのですが、味方との連係という部分では物足りないのです。
でも、2~3人でボールホルダーに寄せるというのは、デメリットもあるんですよ。
3月にあったアルガルベ杯では、日本はボールホルダーに複数の人数で寄せた時に、ボールを奪えずパスを出させてしまい、ピンチを招いていました。
2~3人でボールを奪いに行く場合、そこでボールを奪えずにパスを出されてしまうと、日本選手の数人が1ヵ所に固まっているだけに、相手選手にはドフリーの人が出てしまいます。
複数の人数でボールを奪いにいく時は、確実にボールを奪わないといけません。
これを、肝に銘じておきましょう。
ボールを奪えそうにないなら、川村さんのように1対1でマークするほうがいいです。
要するに、川村さんの守備の仕方を間違っているとは言いづらいんです。
でも、もっと味方との連係を上手くやれば、さらにボールを奪えると思う。
川村さんについては、『4月7日の日記』に書いたのですが、私は凄く高く評価しています。
彼女は、パス技術も優れていて、ゲームを組み立てられる能力を持ってます。
スイス戦で見せたパフォーマンスよりも、もっともっと活躍できるはずです。
菅澤さんもそうなのですが、W杯に初出場だからといって遠慮してはいけない。
日本国民の中で試合に出られるのは11人~14人なのだから、その恵まれた境遇に感謝しつつ、自分の全てを出さないといけないです。
同じく初出場だった有吉さんは、好プレイを見せたため一気に評価を上げた観があります。
でも、もっとやれると思う。
グループリーグだから本気を出していないのかもしれませんが、スイス戦と同じパフォーマンスだとドイツ等に勝てないのは明らかです。
それを自覚していればいいのですが。
明日にカメルーン戦がありますが、カメルーン対エクアドル戦のハイライトを観た限りでは、かなりの攻撃力を持った相手ですよ。
油断したら、負けてしまうと思います。
エクアドルは弱いので、カメルーン戦に勝ったら、対エクアドルではメンバーを変えて、主力を休ませつつ若手に経験を積ませればいいでしょう。
最後に、個人的な事柄を少し書こうと思います。
スイス戦を観戦した際、私は楽しむよりも、神経をすり減らすような状態で観ている事に気付きました。
前回のW杯の時は、純粋に楽しく観ていたので、えらい違いです。
昨年の男子のW杯の時も、同じような感覚でした。
なぜなのだろうと考えてみたところ、このウェブサイトを立ち上げてから、日記でサッカーについて記事を書いているうちに(様々な提言をしているうちに)、責任感を感じるようになったからだと気付きました。
今回のW杯についても、4月7日の日記で、「澤さんらを代表に入れてほしい」「川村さんはゲームの組み立てが出来る傑出した選手だ」「サイドバックは有吉さんと上尾野辺さんがファーストチョイスだ」「近賀さんは最近いまいちの時がある」「高瀬さんと永里さんは代表から外したほうがいい」といった事を書きました。
それで、提言のうち半分くらいは実現した形になっています。
澤さんは代表入りし、川村さんはボランチに起用されてゲームの組み立てに深く参加し始め、スイス戦では有吉さんが先発出場し、高瀬さんは代表メンバーから外れました。
男子代表についても、様々な提言をして、それがけっこう採用されている感じです。
私は、最初のうちは提言が活かされた展開になった時に、「よしよし!」と単純に喜んでいました。
それが、ここ1年くらいで、責任感(ある種のプレッシャー)を感じ始めたのです。
スイス戦を観ている時も、自分が推した澤さん、川村さん、有吉さんあたりのプレイが気になり、胃が痛むような切実な気持ちで観てしまうのです。
「サッカー関係者じゃないんだし、自意識過剰だろ」と思われるかもしれませんが、気持ちを止められないのです。
ふとした時に、代表から外れた高瀬さんの顔や、先発から外れた近賀さんの顔が浮かんだりもします。
別に罪悪感を持っているわけではないのですが、女性に対して厳しい事を言ってしまったために、気になっているようです。
次のカメルーン戦も、楽しむよりもハラハラしてしまうでしょう。
そして、今回に提言した「上尾野辺さんをMFで使う」というのが実現したら、上尾野辺さんのプレイを祈るような気持ちで見守ってしまうのは間違いないです。
スポーツは、一部の人しか勝者になれないので、本当に大変だと思います。
深くのめり込むと、心臓に(身体に)良くないですねえ。