女子サッカーW杯の決勝の感想 そのほかも
(2015.7.27~28.)

7月6日に、女子サッカーW杯の決勝戦「日本対アメリカ」が行われました。

超話題になっていたので、皆さんも知っていると思いますが、結果は「2対5」でアメリカの圧勝でした。

私は7月3日の日記に書いたのですが、「アメリカは信じられないほど強い。普通に闘えば、アメリカが勝つ可能性が高い」と予想していました。

だから、2対5の結果にも驚きはありませんでした。

とはいえ、前半早々に4点を次々と取られるという、あの展開はショックでしたよ。

私は深い心の傷を負い、なかなか冷静に振り返ることができませんでした。

ようやく心の傷も癒えたので、今日はその感想を中心に書こうと思います。

この試合では、アメリカが『日本を深く研究していた事』が目立ちましたね。

それを如実に示したのが、1~2点目の「セットプレイでのグラウンダーのパスの使用」です。

アメリカは高さで優位にあるのに(日本には高さがないのに)、あえて低いボールで勝負するという、裏をかく作戦を立てたのです。

あれを想定していた日本人はなかなか居なかったはずです。

私も全く考えておらず、「そうきたか!」と唸りました。

アメリカが凄かったのは、単に裏をかいただけでなく、非常に精度の高いパスを出して、
チャンスを確実にモノにした事です。

技術力の高さを感じさせたし、「本気を出した時の実力はすさまじいな」と脱帽しました。

アメリカは先制点を取っても守りに入らず、積極的なサッカーを続けて、前半16分までに4得点しました。

4点目は、センターラインからのロングシュートであり、普通は狙っていてもなかなか決まらないシュートなので「ツキがアメリカにあるなあ」と思いましたね。

日本の3失点は、岩清水さんの所からだったので、佐々木監督は彼女を前半の途中にも関わらず交代させました。

この交代劇には驚きましたが、ベンチに戻った瞬間に泣き崩れる岩清水さんを見て、「こんな状態ではまともなプレイはできない、交代は妥当だ」と思いました。

そして、岩清水さんに代えて澤さんを投入し、阪口さんをCBに置いてからは、格段に守備も攻撃も安定しました。

なでしこ達は、0対4の状況から、よく立ち直ったと思いますよ。

男子代表だったら、心が折れていたと思います。
あそこで諦めないのは、さすがです。

澤さんが入った頃からは、普段通りのサッカーができていました。

この試合では、阪口さんは素晴らしい活躍を見せていました。
多くの選手が動揺している時間帯でも、彼女は落ち着いていましたよ。

私は見ていて、阪口さんの実力の高さ(万能性の高さと、安定して活躍できる基礎技術の高さ)に改めて感動しました。

「本当に素晴らしい選手だ。この極限の状況でいきなりポジションを替えられたのに、動揺せずに活躍をしている。」と、尊敬心で一杯になりました。

阪口さんがCBに入った事で、後方からの組み立てがスムーズかつスピーディーになり、アメリカに劣らない状況になった。

パスがいい感じで回り始めて、「さあ、ここから盛り返すぞ」という雰囲気になったのですが、そこで異変が起きます。

佐々木監督は、菅澤さんを投入するという手を打ったのです。

川澄さんを下げて菅澤さんを入れるというあの選手交代は、失敗でしたね。

川澄さんは良い動きを見せていたし、日本のペースになってきていたのだから、ピッチ上の選手たちを信じるべきでした。

あの後、日本は失速してしまった。

佐々木さんは焦っていたのだと思います。
後半に入ってからの3人目の交代も、早すぎたと思う。

後半は、アメリカがペースを落とした事もあって、一進一退の攻防になりました。

日本の選手たちは、皆が精一杯のプレイをし、チャンスを何度も作っていました。
でも、なかなか決めきれなかった。

後半のアメリカは、95%くらいの力で戦っていたと思う。
それでも互角の展開なのだから、地力の差は明らかにあった。

考えてみると、アメリカは決勝戦までずっと余力を残しつつ戦ってきました。

全力を出しながら勝ち上がってきた日本とは、器が違っていました。

私は7月3日の日記で、「アメリカの力を100とすると、日本は93」と書きましたが、
その差がこの試合では出ていたと思う。

ちなみに、今大会では4位となりましたが、ドイツの実力は94で日本よりもほんの少し上だと感じています。

現状だと、アメリカは100、ドイツは94、日本とフランスが93、イングランドが92。
こんな感じです。

アメリカの力は傑出しており、1年後のオリンピックでも優勝候補なのは間違いない。

正直な話、日本が1年間でアメリカに追いつくのは難しいと思う。
最高の伸びを見せても、アメリカに並ぶのが精一杯なのではないだろうか。

ここからは、なでしこジャパンがここからどのように強化・進化していけばいいかを考えたいと思います。

私は思うのですが、世界一になるには、『どこかの部門で世界ナンバーワンになっている』のが基本条件ですよ。

しかし、今の日本の場合、パスやトラップの技術、連係の良さ、運動量、あたりが長所なのですが、世界ナンバーワンと断言できる状態ではないです。

日本の最大の武器である『パスやトラップの技術、連係の良さ、運動量』についてすら、アメリカを上回っているか怪しい。

日本はアメリカに比べると体格や高さではかなり劣っているので、他の部門では勝っておかないとまずいのですが、残念な事に「ここでは上」と断言できる部門がないのです。

なでしこの強化については、弱点の克服を語る方も多いのですが、私としては長所である
『パスやトラップの技術、連係の良さ、運動量』の強化が重要だ
と感じました。

パスサッカーを真髄とする日本としては、特に「パスとトラップの技術およびセンス」と「選手の連係」については、ダントツの1位を目指したいですね。

この部門では、アメリカを100とすると、現状の日本は99だと思います。

これを、日本105、アメリカ100くらいに持って行きたい。

この事は、男子代表についても同じだと思う。

世界一を目指すならば、パスとかポジショニングとかをもっと磨かないといけない。

男子代表は、ザックジャパンの後期には、良い出来の日だと、パスと連係で世界で5位くらいの内容を見せていたと思います。

だから多くのファンが期待したのですが、最近はその部門ではむしろ劣化している。

先日のシンガポール戦でも、選手たちは自分のプレイばかり考えていて、何人もの選手が
ペナルティエリア内で1ヵ所に固まるなど、連係は最悪に近かったです。

もっと周りの選手を見て、献身的なプレイをしないといけないです。

最近の男子代表は、選手の積極性を打ち出していて、それがプラスに働く時もありますが、
我儘なプレイでチャンスを潰している場面をよく見かけます。

どうみても決まらない局面なのに、強引にシュートを打つのが目立ち、「決められる実力もないくせに、無理矢理に打つんじゃない」と思います。

「隣にフリーの選手がいるじゃん、シュートを打たずにそこに出せよ」という時も多い。

ザックジャパンの頃なら考えられない事ですよ。

えー、なでしこの話の戻ります。

もっとパスやトラップやポジショニングや判断力が高まれば、試合の主導権を握れるし、
攻撃のスピードがアップします。

ここを磨いてほしい。
この部分では世界一になり、その地位をキープし続けてほしい。

日本人は、どうしてもパスが好きなんです。
気質的に、パスサッカー以外で日本が世界と渡り合うスタイルは築けないと思う。

最近は「ショートカウンター」が流行りの言葉になっていますが、どんな攻撃でも精度の高いパスは必要でしょ。
パス技術(足元の技術)で世界一になっておかないと、世界の舞台では体格で劣る日本は良い試合ができないです。

ぶれずに、流行に流されずに、パスとトラップの技術とセンスを追求し続けてほしいです。

男子のスペイン代表を超えるレベルを目指しましょう。

数日前に、8月初めにある東アジアカップの登録メンバーが発表されました。

海外組がいないのはともかく、宮間さんら国内組の中心メンバーも選ばれなかったのには驚きました。
「若手にチャンスを与えよう」との強い意志を感じる選考です。

W杯に出たメンバーは、上尾野辺さんや川村さんら、数人しか入っていません。

年齢的に見ても、今回はこの2人が中心になり、キャプテンも任されると思います。

私は、前から書いているのですが、川村さんの才能に惚れ込んでいます。

宮間さんらが居ないのだから、今こそ彼女が中心になる時です。

私は、「日本人がバロンドールを獲るならば、一番可能性があるのは川村だ」と思ってます。

それ位に、輝くものを持っている。

上記したようにW杯の決勝戦では、阪口さんがCBに入って、そこから長短のパスを出して攻撃の起点となりました。

あれは、本来は川村さんにやってほしい事だったんです。

川村さんには、「女版のベッケンバウアー」を目指してほしい。

判断スピードを速めていき、常にピッチ全体を把握できるように視野を拡げていけば、
ベッケンバウアーみたいな知的でスケールの大きなプレイをするスーパーCBになれると思います。

今度のメンバーには、「柴田華絵さん」も初招集されましたね。

4月7日の日記に書いたのですが、彼女も素晴らしい才能を持っています。

すごく期待していますよ。

同じく私が期待の星としている「清家貴子さん」は、残念ながらA代表には選ばれませんでしたが、U-20に入ったそうです。

なでしこリーグでは得点王争いに絡んでおり、A代表に入る日も近いでしょう。

ちなみに、川村さんはボランチで出場しているのに、リーグの得点ランキングで3位につけています。

彼女は凄い才能を持っているから、謙虚に努力を続けてほしい。
まだまだ伸びしろはあると感じています。
成長を続けてバロンドールを獲るんだ! お前なら出来る。

ここからはテーマを変えて、なでしこリーグについて書きます。

宮間さんはW杯の間ずっと、「なでしこリーグを盛り上げるためにも、W杯で結果を出さなければいけない」と言ってました。

そして決勝戦の後に、「優勝できなかったので、なでしこリーグへの良い影響はないかもしれない」みたいな事を言いました。

宮間さんには、国内リーグについて危機感がかなりあるらしい。

最近は入場者数が千人未満の時も多かったし、未だに多くの選手がプロ契約になっていないという事実もある。

とはいえ、なでしこジャパンに過度の責任を負わせてはいけない。

私は、宮間さんは大きな誤解をしていると思う。
ぶっちゃけた話、代表の成績は国内リーグの観客動員数にあまり影響しないと思うのです。

実際に、男子の場合、代表の成績は良くないですが、観客数は多いじゃないですか。

国内リーグが盛り上がるかどうかは、各試合のクオリティが6割、宣伝が2割、代表の成績が2割といったところだと思う。

要するに、試合のクオリティを上げない限り、観客数が伸びていくのは難しい。

私はなでしこリーグの試合をテレビ観戦していますが、クオリティの点ではまだ物足りないと感じています。

一言でいって、ワクワク感があまり無いのです。
現状だと、代表が好成績を出し続けても、なでしこリーグが大きく盛り上がる事はないでしょう。

正直に言いますが、私は観客が千人くらいでのんびりしているなでしこリーグの風景が結構好きです。

選手たちが男性並みにガツガツやり合って、多数の観客がJリーグ並みに熱く応援したら、引いてしまうと思う。

なでしこリーグにはレギュラークラスの選手でも、お腹や太もものタプンタプンしている人が、少数ですがいるんですよ。

私の目には微笑ましいものと映るし、女性は脂肪が多いんだし、プロでない人が多いのだから別に悪い事とも言えない。

でも、プロリーグを目指すならば、あのタプンタプンの姿は排除しなければならない。

タプンタプンを排除するストイックな世界に進むのか、まったりのんびりで楽しむのかを、
選手たちは決めなければならないと思います。

この選択の方が、代表の成績よりも大きな影響があると思うのです。

選手たちを見ていると、ほとんどはストイック路線(プロ化)を望んでいる気がする。

そうなると、タプンタプンは近日中に見られなくなるのだろうか。

私としては、女性同士が激しくやり合い、骨折などの怪我をしながら選手生活をする姿は、あまり見たくないです。

でも、のんびりしたリーグであり続けたら、各国は強化を進めているので、代表の成績は下がっていくでしょう。

難しい問題です。


日記 2015年7~9月 目次に戻る