8月8日に行われたなでしこジャパンの試合、東アジアカップの最終戦となる「対中国」。
その感想と、今大会で私が気になった選手について書きます。
この試合は、0対0の展開が長く続きそのまま終わるかと思われましたが、終了間際に日本が連続して2点をあげて、2対0で日本が勝ちました。
ここまでの2戦と違い、選手全員が勝ちにいっていたし、良いサッカーを90分を通してしていましたね。
連係は良くなり、特に守備が安定していました。
なでしこの東アジアカップの総合成績は、1勝2敗となりました。
男子代表は2分1敗と、1勝もできませんでした。
今大会では、女子は若手中心のメンバー構成でしたが、男子はJリーグで活躍している旬の選手達(若手とは言えない人達)ばかりです。
それで女子のほうが成績が良いのですから、「男子代表と女子代表には差があるなあ」と改めて感じました。
見ていて思ったのですが、女子代表は試合を重ねるにつれて進化していくのに、男子代表はそれが無いのです。
男子代表は、選手たちに一体感が無い。
最近はやっている「個の力」というフレーズに惑わされて、『サッカーはチーム・スポーツである』という核心を見失ってますね。
男子代表の3試合も観戦したので、近々に感想を書こうと思います。
今大会のなでしこジャパンは、川村優理さんがキャプテンに抜擢されましたが、私は彼女を見ていて『キャプテン・マークを巻く責任の重さ』をひしひしと感じました。
チームを鼓舞したり、疲労が溜まっている時間帯でも根性で走ったりと、今までには見せた事のないプレイをする彼女を見て、「すごく変わったなあ」と。
澤→宮間と巻かれてきたキャプテン・マークは、すごい重みのある物となっており、それを受け継ぐのはとても特別な事なのだと気付かされました。
「すばらしい伝統だ。キャプテン・マークとは、そうあるべきだ。」と感心しましたよ。
ひるがえって見ると、男子代表のキャプテン・マークには、そのような重みはありません。
誰がキャプテンでも、強烈なリーダーシップを発揮する事は稀です。
私が思うに、中田英と本田圭佑がキャプテン・マークを巻いた時は、重みを感じました。
でも彼らは、長期にわたって巻き続けることをしませんでした。
男子代表も、キャプテンはもっとチームを引っ張るべきだと思う。
それができる人を、キャプテンに選ぶ必要があります。
これについては、もうすぐ書く男子代表の記事で詳しく言及しようと思います。
さて。
ここからは、東アジアカップに出場したなでしこのうち、私が気になった選手の感想を書きます。
3戦のすべてに右SBとして出た「京川さん」は、ミスを何度もしていたし、失点に繋がるミスまでしました。
でも、不思議と可能性の高さを感じてしまうんですよねー。
本当に良い選手って、ミスばかりをしている姿を見せられても、キラリと光るプレイが出るのでチャンスを与えたくなってしまう。
私は以前にも指摘したのですが、京川さんにはサッカー・センスがある。
伸びていく可能性は高いと思いますが、SBとして大成させたいならば、クラブチームでもSBで出場させていく必要があると思います。
彼女は元々FWだったし、クラブチームでは攻撃的なMFとして出場しています。
このままだと、守備力を高めていくのは難しい。
「中島さん」は、中国戦では素晴らしい動きをしていましたね。
私はだいぶ前の日記で、「中島さんはボランチに向いている」と指摘しましたが、この試合でもボランチの位置に入ると輝いていました。
彼女は、運動量が豊富なのが魅力です。守備の時にボールホルダーにしっかり身体を寄せられる。
その一方、パスのセンスと技術が未熟です。
パスが上手くなったら、代表に呼ばれる機会は増えていくでしょう。
「柴田さん」と「薊さん」は、フィジカルを高めればもっと良い選手になります。
2人は身体の線が細すぎます。
良い技術を持っているので、当たり負けしない身体をつくれば代表定着も不可能ではないと思う。
柴田さんは、8月5日の日記でも書きましたが、トラップとパスのクオリティを上げてほしい。
素晴らしい才能を持っているので、努力すれば世界レベルの選手になれます。
「上尾野辺さん」は、初戦で起用されましたが、その後は出場できませんでした。
初戦でのプレイは悪くなかったと思うのですが、「メンバー中で最年長、最も経験豊富な選手」なのを考えると、物足りない出来と言えた。
もっとピッチ上で統率力を発揮してほしかった。
彼女の才能の高さを知る私にとっては、残念な結果です。
このままだと、来年のオリンピックのメンバー入りは難しいでしょうね。
「田中明日菜さん」は、中国戦では素晴らしい活躍を見せました。
守備陣を統率し、細かく指示を与えて最終ラインを安定させていました。
彼女と川村さんは、W杯に出た選手らしく指導力を発揮し、ピッチ全体の事を考えて、経験不足なチームメイト達をサポートしていました。
試合を重ねるごとにチームの連係が高まっていったのは、この2人の存在が大きかったと思います。
中国戦で得点を決めた「横山さん」は、個人技がありますね。
あの得点は、トラップもシュートも完璧でした。
私は彼女をぜんぜん評価していなかったのですが、あれを見て「良いものを持っている」と気付きました。
とはいえ、私はまだ懐疑的です。
彼女がチームメイトときちんと連動・連係している姿を、まだ1度も見た事がないからです。
代表で出場するには、個人技が高いだけでは無理です。
まずチームにフィットする連係力(適応力や戦術理解力など)がないと。
2試合で得点した「杉田さん」は、まだ把握しきれていません。
彼女は特に際立つ技術を感じないし、キック力もある感じではない。
それなのに難しいロングシュートを決めてしまう、不思議キャラです。
2得点はしましたが、私はあまり好印象を持ちませんでした。
守備力を全く感じないからです。
でも、もしかしたら凄い選手なのかもしれない。謎めいたところのある選手です。
最後に「川村さん」です。
私は彼女のプレイを見ていて、3つの弱点に気付きました。
彼女は、今でもかなりのクオリティにありますが、以下に述べる3つを克服すれば完璧な選手になり、バロンドールを獲れます。
さらに進化するんだ川村!
そして、澤、宮間の後を継いで正式なキャプテンとなり、日本をW杯優勝に導くのだ!
私が見つけた3つの弱点とは、これです。
① スタミナが不足している
② ボールホルダーへの寄せが甘い
③ パスをもらうと必ずトラップをして、ボールを足元に置く
まず①ですが、彼女はCBで出場する場合は大丈夫なのですが、ボランチで出ると90分間ずっと安定して働く事ができていません。
現状だと、代表戦のようなハードな試合では、スタミナが続くのは70分ほどだと思います。
スタミナ切れを起こすために、凄い技術を持っているのに、重要な場面(試合の終盤)で活躍しきれないのです。
90分続くスタミナを獲得したら、今よりもはるかに存在感のある選手になれる。
次に「② ボールホルダーへの寄せが甘い」です。
彼女は守備の時に、ボールホルダーの一番近くにいるのに、それを放置する時があるのです。
これは、スタミナに自信がないためもあると思う。
味方が前線から戻っていない時は、あえて寄せずに時間を稼ぐ事も重要です。
でも、味方の数が揃っているなら、きちんとボールホルダーに近づいて圧力をかけないと。
川村さんの守備力があれば、ガツッと厳しく寄せればかなりの確率でボールを奪えると思うのです。
だからサボらずに守備をしていけば、「川村すげー」という評価になるはず。
あと、味方がボールを奪いにいって、「自分が救援に行って2対1になれば、この状況ならボールを奪える」と感じたら、サポートしに動いた方がいいです。
その動きが、澤さんは抜群に上手いんですよ。
あのスキルを盗んでほしい。
最後に「③ パスをもらうと必ずトラップをして、ボールを足元に置く」です。
これは、別に間違ったプレイではないのですが、彼女の能力をもってすれば1タッチでダイレクトに味方にパスする場面を、もっと増やせるはずです。
常にピッチ全体の把握をしておけば、ボールを足元に置く作業をせずに、ダイレクトパスで味方に繋げます。
これについては、阪口さんが上手いので、彼女からスキルを盗んでほしい。
川村さんは、パス技術の高さをまだ完全には活かしていない。
私としては、右サイドから渡されたボールを、ダイレクトで左サイドの味方に繋いで、2~3秒でサイドチェンジできる存在になってほしい。
(この素早いサイドチェンジをするには、蹴りやすい位置に味方がパスをしてくれる事も重要ですけどねー)
彼女は、日本女子では屈指のキック力を持っています。
それを活かして、ボールを大きく動かすのを主導してもらいたいのです。
ロングシュートの精度が上がれば、あのキック力があればかなりの距離からでも決められると思う。
そこも磨いてほしいな。